THE WEDDING IN INDIA
インドで結婚式

7/17/2001

★下部に写真があります。


イベントその2:カクテルパーティーの夜

この日、A男とわたしたち日本勢はインドの工芸品店の一大コンプレックスへ行き、日本へのお土産などを下調べする。パシュミナのショールや絹製品、銀の食器など美しい品々をあれこれと見る。

さて、ニューデリーは、首都とはいうものの、近代的な建物がほとんどない。インド最大の都市、ボンベイに行けば、高層ビルなどが立ち並んでいるらしいが、この街を見る限り、「汚い」「混沌」という言葉以外、的確に言い表す形容が見つからない。

妹夫婦は工芸品のコンプレックスを離れ、界隈を散策し、マクドナルドに行った。ジャガイモそのものがおいしいせいか、フライドポテトがとてもおいしかったという。後日わたしも行ってみたが、マクドナルドに一般庶民の姿はなく、海外からの旅行者や、上流階級の人たちが出入りする「気取った場所」だった。

さて、遅めの昼食を取ろうと、英国統治下時代に立てられたインペリアル・ホテルのレストランへ。白亜の建物は、イギリスとインドの建築文化が融合して成った独特のコロニアル建築。優雅な空間に、わが母はご満悦。ゆったりとランチを楽しんだ。

さて、この日のメインイベントは、A男の叔父が主催するカクテルパーティーだ。近い親戚ばかり100名近くを招いた欧米スタイルのパーティーということで、わたしは黒いイブニングドレス、A男はスーツ姿で参加する。

親戚の大半は、海外に留学経験を持つ人ばかりで、学者や政府の高官などが多い。日本を訪れたことのある人も少なくなく、日本に対する理解を持つ人たちが多かった。ラグバンの父は、ラグバンと同様に科学者で、日本にも何度か訪れたことがあり、現天皇や森(元)総理とも何度か会談したことがあるという。

外交官だという遠縁の女性は、日本へ出張した際、外務省に、京都、大阪などに連れていってもらったという。おいしい日本料理もたくさん食べたと言っていた。

妹は日本の着物を着て参加していたのだが、予想していたほど珍しがられなかったのも、本場日本で着物姿の女性たちを見たことがある人たちが多かったからかもしれない。

欧米では、立食のカクテルパーティーは一般的だが、このような場が初めての両親や妹夫婦は、その新鮮な環境を大いに楽しんでいる様子。父はもっぱら通訳を介して話しているが、母は英語を話せないにも関わらず、強引に日本語と和製英語を駆使して、誰彼となく楽しげに話をしている。

そんな母の姿を見た、タイのバンコックから祝いに駆けつけてくれた初老のフェミニストらしき学者がわたしに向かって言う。

「あなたのお母さんはとてもエレガントですね。それに、普通、日本の女性は、夫の後ろにくっついて、ほとんど何も話さないのに、あなたのお母さんは、お父さんの前を歩いている。すばらしい」

と、しきりに褒めてくれる。

パーティーの中盤になると、ホールの一画でインド料理のビュッフェが用意され、参加者は一同、どやどやと食べ物の周囲に集まる。欧米のパーティーの場合、比較的控えめに、スマートに料理に向かうのが常だが、インド人の場合、食べ物に向かって一直線、という感じ。食に対して、一切の気取りがない。

山盛りに料理を載せた皿を持ち、ばくばく食べながら、おしゃべりに興ずる。

パーティーを終え、日本の家族をホテルに送ったあと、わたしとA男は家に戻って服を着替え、空港へ向かった。A男の大学時代の親友、マックスが、深夜到着の便でやって来るのだ。

彼はイタリア出身の好青年。マサチューセッツ工科大学の大学院まで進んだ後、ボストンで友人たちとIT関連の会社を興している。やはりイタリア出身のガールフレンド(学者)も一緒に来たかったらしいが、今回は無理だったようだ。(注:その彼女とはこの直後別れ、別の女性と知り合い、2003年夏、結婚した)

深夜のデリー国際空港は、到着便が重なっているようで、昼間とはうってかわって、たいへんな喧噪である。でも、マックスを見つけるのは簡単だった。

なにしろ身長が2メートル7センチもあるからだ。


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蒸し暑くてごちゃごちゃ汚いニューデリーの街。高級ホテルこそが、まさにオアシス!
外の喧騒がまるで幻のように、ホテル内には涼しげな静寂が漂っていた。

ホテルロビーの一画。ショップやレストランも優雅。しばらくここでくつろぎたいと思うが、そうも言っていられず、ランチだけ食べる。

ここでも父はカレーにナン。
「ナンがおいしい! 
小麦粉が違うんやね!」

A男のおじさん主催の本日のメインイベント、カクテルパーティー。どこぞのクラブの一室で行われた。主に近い親戚を招いての顔会わせ的なイベント。

昼間とはうってかわって、気取る一家。

こちらがA男のおじさん。亡母の兄。彼らは二人兄弟だったため、数少ない「近い親戚」だ。ちなみにロメイシュは一人っ子なので、近い親戚は非常に少なく、A男は遠い親戚をまとめて「いとこ」と呼ぶ。大ざっぱである。

似たような背丈の三人衆。K夫は、会う人会う人から「いい体格をしている」「なにかスポーツをしているのか?」「かっこいい」とうらやましがられていた。しかも主に男性から。インド人男性が好むタイプなのか??

A男の姉、スジャータ。その隣はスジャータの夫、ラグバン。非常に優秀な生物学者である。彼の姿を見るや、あゆみ妹がわたしに耳打ち。「ねえ、ラグバンの髪型、あれでいいの?」。セットして差し上げたい!

ラグバンと談笑するA男。その向こうでこちらをにらんでいる怖いおじさん見つめている知的な紳士はラグバン父。日本には何度も訪れたことがあり、天皇陛下と懇談したこともあるという日本通。

一日たったメヘンディーの手。強烈な赤茶色で、かなりのどぎつさ。自分でもぎょっとする。

父ロメイシュとその隣はA男の従兄弟。このパーティーを主催してくれたおじさんの一人息子で、A男たちとは兄弟のようにして育った。

A男従兄弟の妻。彼女の着ているサリー、アクセサリーは本当にすてき。

マルハン家が手配してくれた日英の通訳者。かなりおぼつかない日本語で誤訳連発。全然、話がかみ合っていない! 聞いているだけでハラハラする。でもかわいいから許す。父は彼を子分のように従えていた。子分になってくれただけでも、感謝だな。

メヘンディーの足。これもクジャクの頭を模した絵柄。

この写真を見た友人が一言。

「演歌歌手(ex. 八代亜紀)みたい」

本人としてはオスカー・ファッション(ex. ハリウッド女優)のつもりなのだが……。

演歌歌手ならこっちでしょう。

夫婦善哉。ってかんじ。

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