4月14日(9)さよならコッツウォルズ。またいつの日にか チッピン・ノートンを出て、帰路に就く。 冷たい風が吹きつける。 「楽しかったね。でも、ぼくは、羊に砂糖をやれなかったのが、どうしても心残りだ」 夫はそう言いながら、ポケットから角砂糖を取りだして、草原に放り投げた。 またここに、来ることがあるだろうか。 この次は、リゴン・アームズに泊まろう。 ただし、ラム肉を食べる前に、羊に砂糖をやろうね。 10年後。遠い先のことのような気もするし、さほど遠くない将来のことのようにも思える。
COTSWOLDS/ APRIL 14,
2005
バックミラーに夕映えが反射する。
路肩に車を停めて、草原に出る。
これが最後の寄り道。
震えながら、沈みゆく太陽を眺める。
それはいつだろうか。
ひょっとして、また10年後だったりして。
そのときもまた、夫と一緒だろうか。
そうだといいな。
もっとガーデンも巡ろう。
ピクニックもしよう。
あのシェフのラム肉をまた、食べに行こう。