STOW-ON-THE-WOLD, COTSWOLDS/ APRIL 14, 2005

4月14日(6)何百年も変わらぬ世界で、現在を生きることの、光と影

食後、ちょうどキッチンからシェフ、ピーター・ロビンソン氏が出てきた。ジェイミー・オリバーに10歳と10キロ加えたような風貌だ。気さくな彼はゲストのテーブルを回り、「今日、手に入れた地元のチーズなんです。味見してみませんか?」と小皿を差し出す。

夫は、「ぼくたち、一昨日初めて来て、ラム肉がおいしくて感動したから、また来たんですよ!」とうれしそうに話す。フィラデルフィアで鉄人森本に会ったときと同じように、たいそううれしそうである。

店を出たあと、「一緒に写真を撮ってもらえばよかったねえ」と残念がっていた。

さて、わたしたちは、せっかく訪れたストウ・オン・ザ・ウォルドなので、この周辺を散策することにした。アンティークショップやブックストアをのぞきながら歩く。

ブックストアの店番をしていた女性と話をしていたら、彼女はかつてインドを数カ月かけて一周旅行したことがあるとのことだった。

ここは古くて美しい町ですね。と言ったら、

「伝統を守るにも、善し悪しがあるけれどね……」

と、一言、少し苦笑いをしながら言った。その苦笑いの中に、さまざまが含まれているように思えた。

束の間、訪れる旅人にとっては、この古い佇まいは新鮮で美しいばかりだけど、これを守る頑なさの中に日々身を置いている人、特に若い人にとっては、光と影の「影」の部分についてを意識せずにはいられないことも多いのかもしれない。

 

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