BIBURY, COTSWOLDS/ APRIL 13, 2005

4月13日(4) 炎が揺れる暖炉の傍らで、至福のクリームティー・タイム

そのホテル、BIBURY COURT(バイブリー・コート)は、村の中心部とは反対方向の、広大な緑の敷地のただ中にあった。1633年、エリザベス王朝時代に建立されたチューダー様式の建築物で、どっしりとした風格を漂わせている。

ラウンジの、暖炉のそばのソファーに腰掛けてメニューを開く。夫はとても「暖炉好き」なのだ。幸い今日は寒いので、暖炉のそばに座り甲斐がある。ランチタイムにはもう遅すぎるし、今たくさん食べると夕食が食べられなくなるから、アフタヌーンティーのメニューから選ぶことにした。

サンドイッチやケーキなどが並ぶ中から、Traditional Cream Tea(スコーンにクロテッドクリームとジャムが付いたものと紅茶)と、Hot Buttered Toasted Teacake(ティーケーキと呼ばれる丸いレーズン入りのパンに、バターを塗ってトーストしたものと紅茶)を注文する。

スコーンはまだしも、ティーケーキに至っては、普通のレーズンパンにバターを塗って焼いただけ、という食べ物であるにも関わらず、ティーポットとともに恭しく供されると、いかにもおいしそうに感じるから本当に不思議。実際、風味のよいダージリンティーと、これら「お茶菓子」の相性はとてもよい。

ともあれ、テーブルの主役はクロテッドクリーム(Clotted Cream)。これは別称デヴォンシャー・クリームと呼ばれるもので、デヴォンシャー牛の濃厚な牛乳から作られている。

こってりとしたクリームの風味は、たまらなくいい。このクリームを味わいたいがための、スコーンの存在ともいえる。ジャムとクリームのコンビネーションがまた、味わいを相乗効果で高めてくれる。

子どもの頃、ストロベリージャム(明治屋)とバター(雪印)をたっぷりとトーストに塗って食べるのが、ぜいたくな味わいに思えて、とても幸せだったが、その感覚ととても似ている。と書いているうちにも、また食べたくなってくる。

ティーポットにお湯をつぎ足しながら、何杯もお茶をお代わりしつつ、のんびりと味わう。ずいぶんと長いことくつろいだあと、ホテルの敷地内を散歩することにした。

「あそこに大きな魚がいたんだよ」
「あの柵を越えると、向こうに牧場があるよ」

やたらと周辺情報に詳しい夫。わたしが彼を探している間、彼はのんきにこのあたりを散策していたらしい。平和なことである。


クロテッドクリームがあってこそのクリームティー

暖炉の傍らで、うっかり眠ってしまいそうな夫。

ホテル内のバーカウンター

ホテルの外観。緑の上には鴨。

BACK NEXT