BURFORD, COTSWOLDS/ APRIL 12, 2005

4月12日(3)そしていよいよコッツウォルズの村へ。バーフォードでティータイム

今日はひとまず、オックスフォードから一番近いコッツウォルズの町、BURFORD(バーフォード)へ行ってみることにした。オックスフォードの市街を出て、ルートA40に移る。ちょうどそのあたりに、今夜宿泊する予定のホテルが立っているのが見える。チェックインせずにそのまま通過して、西に向かって走る。

時折小雨が混じる冴えない天気だが、あたりの風景は見渡す限りの牧草地で、とても穏やかな気分だ。30分ほど走った先に、石造りの家並みが見えてきた。バーフォードの町だ。町はずれの駐車場に車を停め、傘を持って町に出る。

静かな家並みを歩きながら、メインストリートへ。パブやカフェ、ベーカリー、アートギャラリー、アンティークショップ、雑貨店、食料品店などが軒を連ねており、観光客や土地の人たちがのんびりと行き交っている。

メインストリートは、ルートA40そのものであるため交通量が多いが、一歩脇道に入ると、驚くほど静かな空気に包まれる。

教会の庭を散歩したり、家々の庭を眺めたりしながら、町はずれまで歩く。小川に架かる橋を越えると急に視界が開け、一面の牧草地が広がった。牧草地の柵を越え、更に丘の上に向かって歩いて行く。

コッツウォルズではたいていの牧草地が「公道」になっていて、旅行者も柵を越えて歩くことができる。"PUBLIC PATH(公道)"という標識があることが多い。

緑の草の面(おもて)をすべる風は、瑞々しい草の香りをはらんでいる。心地よく吹きすさぶ風に包まれながら歩くことの気持ちよさ。思わず「口笛はなぜ〜、遠くまで聞こえるの」と口ずさんでしまう。アルプスでもないのに。

緑の草原を散歩したあとは、町に戻ってティーハウスへ。わたしはスコーンと紅茶の「クリームティー」にしたかったのだが、夫が「エクレアがいい」と言い張るので、エクレアを一つ。大振りなのでこれもまた、わけて食べる。濃厚な生クリームの風味がとてもおいしい。

「これ、これまでの人生で食べたエクレアの中で、一番おいしい!」

出た、出たぞ〜。夫の「これまでの人生で一番」攻撃。ちょっとおいしい物を口にすると、これだから。

この間は、わたしが焼いたエクレアが、「これまでの人生で食べたエクレアの中で一番おいしい!」と言っていたではないか。もう忘れたのか。それともそんなにたやすく記録は塗り替えられるのか。「これまでの人生」じゃなくて、「ここ数カ月間」くらいにしといたほうがいいんじゃないか。

ともあれ、人生最高のエクレアを食べた幸せ者な夫と共に、車へ戻る。さて、まだ日暮れまで時間はある。どこへ行こうか?


どの村、どの町にも、中心地には教会があり、尖塔が天を射るようにそびえ立っている。

メインストリートは車の往来が多いが、一歩路地へそれると、格段に静かな町並みが現れる。

厚い雲の隙間から太陽の光が少しこぼれただけで、あたりの風景が一変する。冷たく見えた石の建物が温かな色にかわり、くすんだ緑が鮮やかになる。

何百年もの時を刻む無口な墓石でさえも、日差しに照らされるとやさしげな景色となる。

牧草地などに見られる石を積み重ねた塀は"Drystone Walls"と呼ばれる。大半は18世紀から19世紀にかけて造られたという。

町はずれまで歩いていくと、やがて視界が開け、広大な牧草地が現れる。緑の中に伸びる小径を、てくてくと歩いていく。お天気がいいともっとよかったのに……。

どの家にも前庭があり、季節の花が育てられている。5月、6月になると、バラの花が庭や壁を鮮やかに彩ることだろう。

CREAM TEAS……。クリーム・ティー。なんて魅惑的な響き。ジャムとクリームが添えられたスコーンと紅茶のセットを「クリーム・ティー」と呼ぶのである。語感からして、おいしそうなのである。

アフタヌーンティーに欠かせないジャム。ローカルの食料品店には、手作り風のジャムやレモンカードがいくつも並んでいる。

コッツウォルズの名産だというハンドメイドのメレンゲの焼き菓子。

メインストリートのカフェ&ベーカリーへ。おいしそうな食パンが並んでいる。

夫好物の、今度こそは生クリーム入りのエクレアを。温かい紅茶と共に、非常に幸福そうに食べていた。

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