OXFORD/ APRIL 12, 2005

4月12日(1)レンタカーを駆って、西へ約1時間半。まずはオックスフォードへ

今日からいよいよ郊外ドライブの旅だ。曇り空だが、雨は降っていない。昨日と同じ店でフレッシュな野菜ジュースを買い、COSTAで朝食をすませ、ホテルをチェックアウトし、タクシーにスーツケースを詰め込んで、レンタカーのオフィスへ。

車を借りる手続きを完了し、出発したのは午前10時。予定より1時間遅れだけれど、オックスフォードまでは車で1時間あまりだし、慌てることもない。

今回、わたしだけがワシントンDCのトリプルA(AAA)で国際免許証を取得してきたので、運転はわたしが担当である。実はトリプルAに行って初めて、夫の運転免許証のコピーさえあれば、彼の分の国際免許証も発行してもらえるということがわかったのだが、時すでに遅しであった。

わたしは日本時代、ペーパードライバーだったので、日本ではほとんど運転したことがない。つまり左ハンドル、右車線に深くなじんでおり、反対の英国にて運転するのは、少々、緊張が要された。

レンタカーオフィスを出るや、ついつい左に寄りすぎてしまい、道路工事のフェンスに左側のバックミラーを「ガガガガーッ」とぶつけてしまった。「うわ〜っ!」と叫ぶ夫。気付いたら、ミラーのカバーが外れていた。ま、保険がカバーしてくれるからいいだろう。気を取り直して走る。

狭い道では何かと左端にはみ出そうになりながらも、しばらく運転しているうちに少しずつ慣れてきた。それはそうと、ロンドン市街は道が狭いし、標識もわかりにくいから、しっかりとしたナヴィゲーションが必要なのだが、なにしろナヴィゲーターは方向音痴なハニーである。

ニューヨーク時代。彼と付き合い始めてまもなかった数年、休暇のたびに欧州を二人で旅した。地中海沿岸は列車で巡ったが、ベルギー一周旅行やスペインのアンダルシアなどは、車で巡った。そのころ彼は運転免許を持っていなかったので、やはりわたしが一人で運転し、彼がナヴィゲーターをつとめたのだが、もうどれだけ道に迷って、もうどれだけ大げんかしたことか。

何度となく、わけのわからぬ路地に迷い込んだり、なかなか町から脱出できなかったり、反対方向に突き進んでいたり。早朝や夕方は太陽の方向で東西南北の見分けがつくからいいが、昼間は太陽、真上だから、参考にならないし。そんなトラブルも、思い返せばいい思い出……。とは決して言い難い、旅先での迷い道である。

それでも車での旅は、電車よりも身動きが楽だし、行きたいところへ気軽に出かけられるという、大いなる魅力がある。道に迷おうがどうしようが、やはりドライブ旅行の魅力は大きい。今回のコッツウォルズは特に、公共の交通機関が少ないから車は大切だ。それに田舎道を気ままにドライブすることこそ醍醐味である。なんとしてもレンタカーは必要なのである。

さて、我々が目指すCOTSWOLDS(コッツウォルズ)とは、ロンドンの西部に広がる丘陵地帯の総称で、面積は東京都と同じくらい。コッツウォルズには、バス(お風呂)の語源となった町、BATH(バース)やCHELTENHAM(チェルトナム)といった大きな町のほか、いくつもの小さな町村が点在している。

この一帯は古くから羊毛産業で栄えたところで、「コッツウォルズの羊毛は英国一、英国の羊毛は世界一」とも言われていたという。

温かなハチミツ色のライムストーン(Limestone)で造られた、素朴な石造りの家々と、季節ごとの花に彩られた庭、広大な牧草地帯、なだらかな丘陵地など、何百年も変わることのない光景が広がる。まさに"The Heart of England"(英国のハート)と呼ばれるにふさわしいカントリーサイドである。

わたしがコッツウォルズを初めて訪れたのは、10年前、英国南部の海辺の町に3カ月ほど語学留学していたときのことだ。5日間ほど学校を休み、日本の雑誌の取材のために訪れたのである。そのときは国際運転免許証を持っていなかったため、電車、バス、タクシーを乗り継いでいくつかの町や村を巡った。

10年前はまずロンドンから列車で、コッツォルズの北部にあるSTRATFORD UPON AVON(ストラットフォード・アポン・エイヴォン)へ行った。ここはシェークスピアの生家があることで知られる、活気ある観光都市だ。この町を起点にして、バスやタクシーで南下しながらコッツウォルズの村々を行き、最終地点バースで旅を終えた。

今回は、コッツォルズの東部にある学園都市、オックスフォードを起点にして、西へ北へ南へと車を走らせる予定である。夫が子どもの頃、一度行ったことのあるオックスフォード大学を、もう一度見てみたいということもあり、わたしも行ったことがなかったので、訪れることにした。


コッツォルズの公式サイト(日本語あり)
http://www.the-cotswolds.org/

どこでランチを食べようか……と店をのぞきつつ、オックスフォード中心部のCORNMARKET STREET(コーンマーケット・ストリート)沿いを歩く。

こぢんまりとした静かなカフェに入る。今日は、今回の旅で初めての「英国の味」フィッシュ&チップス、それからトマトスープを注文。1皿を二人でシェアして十分のボリューム。魚もポテトもカラッと香ばしく揚がっていておいしい。

オックスフォード大学のライブラリーに向かう途中、マーケットを通過。マーケットはどうしたって、見過ごすことのできない場所なのだ。

活きのいい魚介類がたっぷりと並んでいる。英国も海に囲まれているから、魚は新鮮なのよね。うちの近所にこんな魚屋があったらなあ、と、またしても思う。

CORNISH PASTIES(コーニッシュ・パスティ)の店。パイ皮の中に肉や野菜の煮込みなどの具が詰まった物。そもそもはコーンウォール地方の名物で、労働者たちのランチだったという。

「オリジナル」の他に、インド風のチキンティッカや、地中海風、ホウレンソウとピーカンナッツにチーズ……とさまざまな具のバリエーションがある。一度試してみたいと思いつつ、食べる機会がないままだった。

BODLEIAN LIBRARY。初期の建物は1320年に設立されたというオックスフォード大学の図書館。

図書館のメインビルディング。定期的に館内のツアーも行われていたけれど、参加せず。

NEW COLLAGE(ニューカレッジ)内のチャペルにて。

ニューカレッジ付近の建物。イタリアはヴェネツィアの「ため息の橋」に似ていると思ったら、それを模して建設されたのだという。

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