SCENE39: 婚姻の証。マンガルスートラを、今更ながら。
DELHI SEPTEMBER 12, 2005/ DAY 14

チャートも食べたし、夕方だしで、
「もう、今日はいいよ。家に帰ろう」というのに、
携帯電話で自宅に電話をし、ウマに別のジュエリーショップ情報を聞く夫。

今までは、プレゼントを積極的に買ってくれたことなどあまりなかったが、
今回はわたしが「節目な年齢」ということもあり、真剣なのか。
それとも、わたしが知らず知らずのうちに、プレッシャーを発しているのか。

ウマの指示に従い、再び、GK-Iへ。マーケットのはずれにあるジュエリーショップへ。
バングル、指輪、ネックレス……。ガラスの向こうに並ぶきらきらとしたもの。

ゴールドと黒いビーズの、コンビネーションのネックレスに目がとまった。

他のジュエリーと同様、どれも一つ一つが手作りで、他に同じものはない。
気に入ったペンダントヘッドと、気に入ったネックレス部分を組み合わせてもらった。

店の人が言うには、これはマンガルスートラ(Mangalsutra)というもので、
「婚姻の象徴」「婚姻の証」なのだという。
西欧に於ける「婚約指輪」に似た存在感。

通常マンガルスートラは、婚姻の際に、夫から妻に贈られる。

妻は生涯、これを身につけておかねばならないという。
黒いビーズは「悪魔から身を守ってくれる」のだという。
そして妻がこれを身につけることにより、夫の命は守られるのだという。

結婚4年目にしてようやく、贈られる婚姻の証。

これから先、妻は悪魔と闘って、夫の命を守らなければならぬのか。


GK-I にあるジュエリーショップで「婚姻の証」を購入。実はウマも、結婚後数年たってようやくマンガースートラを買ってもらったとかで、ダディマから「今ごろ買ってもらったの?」と呆れられたという。

ウマ(ロメイシュの再婚者)の娘の子供たち。つまりウマの孫。続柄上はわたしの甥と姪。彼らは今、ドバイに住んでいるのだが、母子で里帰り中なのだ。もう、お人形のようにかわいい二人。

わたしたちにもスジャータ夫妻にも子供がいないので、血のつながりがなくても、この二人は非常に貴重な存在。ダディマは実の曾孫がほしいらしいが、もうこの二人で満足してもらうしかないだろう。

マルハン親子三代。なにもそんなにぎゅうぎゅう詰めに座らなくても。満員電車じゃないんだから。

本日購入したスカートを着用。何段も切り替えがあってかわいいのだ。ものすご〜くみっしりとプリーツが寄っていて、スカートの裾の端と端を握って万歳をすると、まる〜く広がって、中国の土産物なんかにある折り畳み式団扇(扇子?)みたいになるのだ。

ダディマは毎回、訪れるたびに、ジュエリーを一つずつくれる。彼女とわたしの指のサイズが同じだと知り、今回は、この小さな指輪をくれた(一見おもちゃみたいだけど)。これは、彼女がマルハン家に嫁いだ日、つまり結婚式のときにつけた指輪らしい。70年前のもの。遠い将来、わたしは、これら絆の証を、いったい誰に、受け継ぐのだろう。

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