荷造りをすませ、階下に下りる。 フライトは午前2時半。ここから空港までは30分。 渋滞になることを予測して、早めの11時、家を出た。 案の定、途中から大渋滞。車はほとんど動きをとめた。 「まだまだ、時間には余裕があるから、大丈夫よ」 そう言いながらも、乗り遅れたらそのとき、と思いながらも、気が気ではない。 やがて第一の川。 冷や冷やしながらも、ようやく空港への一本道にたどりついたかと思いきや! 空港に向かう途中らしき人たちが、動かない車を前に、携帯電話をかけている。 わたしたちの車は、大丈夫? 夫は傍らで寝息を立てている。この期に及んで、熟睡している。 「ちょっと、起きなさいよ! 見てご覧! 窓の外を!」 今にも車は溺れそうなくらい、深いところを、波をかき分けて走っていく。 「大丈夫、これは日本車だから。」 と、自らにいい聞かせ、濁流を眺める。 辛うじて、車は濁流を渡りきり、無事に空港へ着いた。 荷物をカートに積み込み、出発ロビーへ向かう。 飛行場。 延々と続く道の上に、繰り返し現れる、出口と入り口。 4年前、初めて降り立ったときから、何度となく、出入りしてきた地点。 次の、その次の、我々の出入り口は、果たしてどの飛行場だろう。 まだもうしばらくは、視界の悪い道の上を歩いていく。
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DELHI SEPTEMBER 12,
2005/ DAY 14
ロメイシュが開けるワインを飲み、語らい、
今日はケサールの料理を、心ゆくまで味わい、
さて、いよいよ出発の時刻。
だから12時ごろに出ても、普通なら間に合う。
けれど夕方から降り始めた雨は、かなり強い雨足で、大地を打ち付けている。
ドライヴァーのティージビールの、困った様子が伝わってくる。
水にやられて、立ち往生する車が、あそこにも、ここにも。
それらをよけながら、進んでいく。
右に、左に、動かなくなったオートリクショーを押して歩く男たち。
次はより深い第二の川。
あそこでも、ここでも。
ティージビールの真剣が、ハンドルを切る腕に、背中にほとばしっている。
ティージビールが、満面の笑みで手を振る。
この飛行場もまた、同じ場所にありながら、最早、同じ場所ではない。
あの初めてのときから、どれほどの道のりを進んだだろう。