乾いた大地を走り続ける。単調な風景の中に、突然現れた賑やかな店。あちこちにルート66の看板や、色あせ、錆び付いた、古い広告のプレートなどが掲げられている。 昭和30年〜40年代の日本の田舎町で見かけた、「金鳥(蚊取り線香)」とか「オロナミンC(大村崑)」とか「アース渦巻き(由美かおる)」とか「ウララ(一部地域のみ。トイレットペーパー、ティッシュ普及以前のちり紙)」の看板みたいなものだと思う。 車を停めて店に入る。ルート66をモチーフにしたTシャツやキャップなどの土産物、雑貨類が並んでいる。スナック菓子や飲料もあるけれど、あいにく併設のホットドッグショップは臨時休業。ランチは諦めて、しばらく敷地内を散策することにした。 この近くの丘の上に、1870年代に操業開始されたハックベリー鉱山とハックベリーの町があった。1881年に鉄道駅が開通してからは、町の中心地は丘の下の線路際に移動し、周辺は羊や牛などの家畜の輸送基地として賑わったようだ。1950年代に、列車がディーゼル車に変わる前までは、ここにある貯水池の水が、蒸気機関車へ給水されていたという。今でもその貯水池が残っていた。 途中で、大型バイクに乗ったお兄さんたちが休憩に現れた。まるで絵に描いたようなルート66の情景だ。店にいた若い母親が、幼子をライダーの一人に抱きかかえてもらい、写真撮影をしている。 "Have a safe trip, you
guys!" 砂塵を巻き上げながら、轟音と共に走り去る男たちに、母親が大きな声で呼びかけ、笑顔で手を振る。 時計はすでに3時を回っている。さあ、わたしたちもそろそろ出かけよう。
JUNE 24, 2005/ DAY
12
HISTORIC ROUTE 66
(ARIZONA)- KINGMAN (ARIZONA)
ルート66の象徴的風景が凝縮された場所、ハックベリー・ジェネラルストア
キングマンの町でようやくランチ。Jack
in the
Boxというファストフードの店にて。わたしが選んだのは新発売、チアバッタ・ブレッドを使用したチキンのグリルサンド。日本のモスバーガー、とまではいかないけれど、結構、おいしかった。あまりに空腹だったから、ということもあるけれど。