グランドキャニオン・ヴィレッジは、ルート40沿いにある町、ウィリアムズと鉄道で結ばれている。1901年の開通以来、昔ながらの風情を漂わせながら、蒸気機関車は旅人を乗せて走る。その鉄道が開通した直後の1905年に創業したグランドキャニオン最初の宿が、エル・トヴァール
(EL
TOVAR)。夫の提案により、ここでランチを食べることにした。 丸太組みと石壁の、広々としたダイニングルームには、ナヴァホ、ホピ、アパッチなど各インディアンの習慣が描かれた大きな絵画が飾られ、サンド・ペインティングなども架けられている。わたしたちは、シーザーサラダと、新メニューだというヴェジタリアンサンドイッチを注文した。 今回の旅をはじめる前、わたしたちは食に不自由することを懸念していた。米国では、一旦、田舎に入ると、カロリーの高い不健康な料理がメニューを占めるから、体調を崩すのではないかと思っていたのだ。しかし、かつて旅したときよりもはるかに、最近は健康を意識した料理が観光地などでも用意されているように思われた。 ダイナーにしても「軽め」のメニューを設けているところも少なくない。これまでの道中、できるだけ軽そうな料理を少なめに注文し、二人でシェアすることを心がけてきたこともあり、二人とも胃のもたれや身体の不調は見られず、いい感じだ。ここのヴェジタリアンサンドイッチもまた、新鮮な野菜、おいしいパンで味わいがよく、満足のランチだった。 ランチのあと、出発するころになって、豪雨が降り始めた。それはもう、「豪雨」以外の何者でもないくらいの激しい雨で、行き場をなくした観光客たちはロビーで立ち往生である。すさまじい勢いで地上に打ち付ける雨をしばし眺める。やがて小降りになったところで車に乗り込み、さて、セドナへ向けて出発だ。
JUNE 22, 2005/ DAY
10
GRAND CANYON NATIONAL
PARK, SOUTH RIM (ARIZONA)- SEDONA (ARIZONA)
蒸気機関車の汽笛が鳴る。百年前に開業したリゾート「エル・トヴァール」でランチ
ホテル前ではインディアンのダンス。イーグルの踊りに親近感。 エル・トヴァールのエントランス
山あいのロッジの温もりが感じられるエル・トヴァールのダイニングルーム。
唐突ですが、この界隈のドライブ旅行に目薬は必携!!! 目が乾いて乾いて、たいへんなのである。 付け合わせはフレンチフライで、と言いたいところだが、フルーツで。この小さな努力(!)が胃腸の調子を守ってくれるのだ。
サラダを注文するときも「ドレッシングは軽めに」あるいは、「ドレッシングは別添えでお願いします」と頼むのがポイント。 インディアン作、サンド・ペインティング。砂で描かれた絵。
食後、出発しようと思ったらたいへんな雨が降っていた。小降りになるまでホテルのロビーで雨宿り。 小雨の降る中、機関車を見たくて近くまで駆け寄ってみた。ちょうど出発するところだった。
汽笛を鳴らし、蒸気を吹き上げながら走り出す機関車。 乗ってみたい……。
さて、わたしたちは再びアコードに乗って走るのである。灰色の雲間からのぞく青空は、まるで特別なもの、のような美しさ グランドキャニオンからまずはルート64を南へ向けて走る。
途中からルート180に移って、フラッグスタッフ(Flagstaff)へ。 徐々に緑が色濃くなってゆく。