JUNE 16, 2005/ DAY
4
AMARILLO (TEXAS) -
SANTA ROSA (NEW
MEXICO)
ニューメキシコ州サンタロサにて。乾いた風と、ルート66と、よく冷えたバドワイザーと
EASTERN TIME
ZONEに位置するワシントンDCを出発したわたしたちは、イリノイ州に入ったところでCENTRAL
TIMEに合わせ、時計を1時間戻した。さらにテキサス州からニューメキシコ州に入ったところで、MOUNTAIN
TIMEに合わせるべく、もう1時間戻す。
わずか1時間ずつの違いだが、先へ先へと走っている身には、とてもありがたい1時間である。飛行機で東から西へ飛ぶ時には、機内で腕時計の長針をするすると3周させるばかり。これといった感慨はないが、いつまでも沈まない太陽を追いかけながら、もう少し先まで、もう少し先まで、と走る最中に1時間を得られるのは、ありがたい。
地球の丸さと、大陸の広さを肌に感じながら、ただひたすらに、茫洋とした大地を走り抜けて行く。
やがて日差しが琥珀色に染まりはじめるころ、地図を見る。当初はアルバカーキを経由してサンタフェに入る予定だったが、ルート285経由の近道を選ぶことにした。となると、その手前の町は、サンタロサしかない。無理をしてサンタフェまで走るのではなく、今日はこの町に宿を取ることに決めた。
ここにもまた、BEST
WESTERN やHOLIDAY INN
EXPRESSなどのチェーン店がぽつぽつと点在している。今日はオープンしたばかりとのサインを掲げたHOLIDAY
INN
EXPRESSを選んだ。3カ月前にできたというこのホテルは、真新しく清潔で、部屋も広く、設備も整っている。
リネン類もまっさらで、非常に気持ちがいい。ベッドも、もはや「横長」で、キングサイズ以上の広さ。これで1泊70ドルしないのだから、うれしい限りだ。
チェックインを済ませたあと、フロントでお勧めのレストランを尋ね、2マイル先にあるメキシカンレストランへ行く。ルート66に面したここは、ダイニングの隣にルート66関係のグッズを売る店を併設しており、店のインテリアにも"ROUTE
66"の文字が踊る。
夫はマルガリータを、そしてわたしは、本当にもう珍しいことに、バドワイザーを注文した。
山口県下関市の大学に通っていた20歳のころ、初めてロスへ行った直後に「アメリカナイズ」され、そのころ入り浸っていたサーファーが集う海辺のカフェ&レストランで(福江海岸の「パプア」という店)、バドワイザーばかりを飲んでいた。
ソニープラザで仕入れてきたM&Mもよく食べていた。ドリトスのナチョスもよく食べた。鮮やかな赤や黄色やオレンジや緑が青が好きだった。
村上龍、鈴木英人、大瀧詠一、ポップアート、海と風と青空……。そして恋。
うわ〜、もう、気恥ずかしさに叫びだしたくなるような青春だ。気恥ずかしさに陶酔できたあのころ。それもまた、楽しかったな。っていうか、今もあんまり変わってないな。
今、あのころみたいな若さはないけれど、あのころよりも色々なことを知って、世界の広さを知って、こうして走ることができることはすばらしい。あのころとは違う楽しみが満ちている。
普段は「味が薄くておいしくない」などと言い、飲むことのないバドワイザーが、この空気のなかではとてもおいしく感じられる。そういえば、去年、ボルティモアのカムデンヤードへベースボールの試合を見に行った時に、バドワイザーを飲んだのだった。あのときも、おいしく感じられたなあ。ってことは、バドワイザーは、おいしいのか?
バドワイザーはさておき、メキシカンなメニューから、おなじみワカモレ&チップスとビーフのファヒタ(炭火焼き)、タマレスを注文する。タマレスはいまひとつだったが、ファヒタもワカモレもおいしかった。
さて、いよいよ明日はサンタフェだ。
[DAY 4/
Miles Driven: 567 (1772)]
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