SCENE 57: 旅人の木
BANGALORE, NOVEMBER 13, 2004

この木を初めて見たのは、24歳のとき。
シンガポールで、だった。

Traveller's Palm。旅人の木。

こんな名前の木があることに、心を打たれた。
そのころのわたしは、旅人であることに憧れていたので。

歯の付け根に貯えられた水が、
乾いた土地でさまよう旅人の喉を潤した。
だから旅人の木。

ホテルの庭の随所で、旅人の木が、その大きな葉をゆらゆらと風に揺らしている。

ホテルの敷地のはずれには、さまざまな植物を苗から育てている一画があった。

庭の一隅にあった小さなヒンドゥー寺院。ホテルのスタッフたちが往来の折、祈りを捧げて行く。

マリーゴールドにもさまざまな種類がある。これは鮮やかな山吹色。ボールみたいにまんまるで愛らしい。


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