SCENE 36: 街角では、ディワリの準備が始まっている
DELHI, NOVEMBER 5, 2004

ホテルの近くにある、カーン・マーケットまで歩いて行った。
横断歩道がないので、車の途切れた瞬間を縫うようにして道路を横切り。
ムンバイで、3度も流血を見ているので、今回はかなり慎重だ。

カーン・マーケットもまた、デリーに来るたびに足を運んでいる場所。
来るたびに、新しい店が増えていて、「あか抜け」している。
相変わらず汚らしいには変わりないのだけれど。

マーケットの一画は、「電灯関連商品」を売る店が連なる。
そしてインドの新年、光の祭り、ディワリを目前にして、どの店も大忙し。
店頭にはたくさんの段ボールが詰まれている。

花屋はディワリ用のアレンジメント、食料品店には贈答用の菓子箱が並ぶ。
「年の瀬」の活気が、あちこちに散らばっている。


11月5日(金)

■日がな一日、ホテルで過ごす。明日は、再びの、タージ・マハル。

ニューデリーには、それなりに観光名所があり、多分見るべき見どころもある。そういうところにも、訪れておいた方がいいのかもしれないが、今まで訪れないまま来ている。

今回は、市内観光の一日を設けようと思ってはいたのだが、ホテルが快適なこともあり、つい出無精になってしまった。それに明日からは、1泊2日でタージ・マハル観光である。悪路長距離ドライブに備えて体力を温存しておく必要もあろう。

さて、夫が出席していたカンファレンスは昨日、今日の二日間で終わる。今日は、米国の関係者らもデリー入りし、いよいよ明日から「ビジネストリップ」へ切り替えだ。

今回のビジネストリップの主催者は、米国でヴェンチャーキャピタル会社を経営するインド系米国人のヴィノド・ダム氏、通称ヴィンである。ヴィンは今回、彼の会社に関係のある米国の、やはりヴェンチャーキャピタル会社の役員らを招き、「インド視察旅行」を企画した。

夫の会社の西海岸オフィスのボス、マークも数日後に到着する予定で、インド市場に詳しい夫は、今回ボスをサポートする役割も含め、旅行に参加することとなった。

「タージ・マハル1泊2日の旅」は、そもそも、ビジネストリップ開始前の、いわば「親睦旅行」として企画されたものだ。ヴィンは最初から、夫に「奥さんも一緒に」と言ってくれていたので、「もしかすると行くかも」という心づもりではいたが、場合によってはマルハン家に1泊する予定でいた。

ところが、マークは直前まで上海出張につき、明日までにデリー入りは不可能で、他の参加者も大半が、多忙ゆえに参加できなくなった。

結局のところ、ヴィンと他の会社の役員1名、そして夫の3名だけとなってしまった様子。なんだか物寂しい親睦旅行である。ヴィンより改めて「奥さんもぜひ一緒に」と誘われたこともあり、ならばと同行を決めた次第。

行く、行かないを、直前まで決めかねていたのは、夫の仕事関係者と一緒だから、ということだけが理由ではない。3年前の結婚式旅行の際、わたしたちはタージ・マハルを訪れた。その経緯はここに記しているが、ともかく、あれは辛かった。あのときのことが蘇っての、戸惑いだったのである。

今は気候もいいし、あのときとは状況がまったく違うし、車の乗り心地もいいだろうから、それに1泊するから前回よりましなはず、と考え、同行することにした。

さて、どんな旅になるのだろう。

商店街を見上げれば、ディワリに向けてたくさんの電球がぶら下げられている。

ディワリ用の贈答ナッツ類。

こちらはキャンドルやオイルランプの器など。宗教関係の小物を扱うカラフルな店にて。


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