SCENE 21: 降りしきる雨と、稲妻と
KUMARAKOM, KERALA, OCTOBER 30, 2004

今日もまた、4時を過ぎたころに、雨が降り出した。
鳥たちが、叫びを上げながら、舞い飛び木立のなかに消えて行く。
雨は瞬時に猛烈なスコールとなり、激しい勢いで、湖面に打ちつける。
稲妻が、光る。雷鳴が、轟く。

そんなさまを、テラスのチェアに二人腰掛け、眺めている。
ピカッと光るたびに、耳を塞ぐ。
遠のいたかと思えば、また近付いてきて、とてつもなく大きな音。

「ここに落ちてくることはないよね」
「多分、避雷針がついてるだろうから、大丈夫だよ」
「金属は危ないよね。指輪、はずした方がいいかな」
「そこまで恐れるなら、部屋に入った方がいいんじゃない?」

とりとめのない会話を、漫然と繰り返しながら、
しかし、自分たちが包まれている、独特の空気が楽しい。

しばらく静かだったので、もう雷は去ったかと思いきや、
光と音が同時に炸裂!

母屋のそばに、稲妻が落ち、木々の向こうに赤い閃光が!
生まれて初めて、雷が落ちる瞬間を見た。

あまりのすさまじい音に、しばし呆然とする。

30分ほどして、傘をさしたホテルのスタッフがやってきた。
「先ほどの落雷で、電話が使えなくなりました。ご了承ください」


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