SCENE 16: 湖から、ラグーンをたどってゆく
KUMARAKOM, KERALA, OCTOBER 30, 2004

 リゾートのはずれにある船着き場から、モーターボートに乗る。
ぷかぷかと浮かび、流れ寄せてくる水草をかき分けながら、ボートは行く。
朝の光をきらきらと弾いている、広大なVembanad Lakeの湖面。
その上を、すいすいと滑りながら行く。
帽子を手で押さえながら、まばゆさに目を細めながら、水面をわたる風に包まれる。

やがて、河口にたどりつき、そこから水路巡りの旅が始まる。

これはKettuvallamsと呼ばれるハウスボート。本来は米を運んだりするのに用いられているが、ホテルにあるハウスボートはゲスト用。わたしたちも1泊は、ここに寝泊まりしたかったが予約でいっぱいだった。

ホテルおすすめのバックウォータークルーズは、小型のモーターボートに乗って出かける。ちなみにボートは「スヌーピー号」である。かわいいのである。

湖をかっとばして来たボートは、河口にたどり着いた途端、スピードを落とし、エンジン音を下げた。ここからは、ゆっくりと進む。


10月30日(土)

■モーターボートに乗り込んで、水辺の旅へ出発。

朝食をすませ、リゾートのはずれの湖畔まで歩く。日差しは鋭く、水面をキラキラと白く輝かせながら照りつけている。

インドに来て以来、普段よりも動きがスローになった夫は、ことごとく、時間に遅れる。のろのろと身支度をする彼を待っていたら、予定の出発時間を20分ほども遅れてしまった。しかし船着き場では、やはりのんびりと石の上に腰掛けて、他のスタッフとおしゃべりをしていた船頭のお兄さんがゆっくりと腰を上げた。

船着き場から運んで来た「SNOOPY」という名のボートに我々を誘い、湖へ出る。スピードを上げながら湖面を走るその、爽快感といったら!

椰子の木が茂る湖畔を望みつつ、青空。のんびりとカヌーを漕ぎながら荷を運ぶ人、質素な布を張ったばかりの帆船の傍らをすり抜けるように走りながら、まもなく河口へとたどりつく。

河口の左手に、幾棟かのコテージが見える。ガイドによると、ここは「ココナツ・ラグーン」と呼ばれるリゾートらしい。「ココナツ・ラグーン」は10年前に、わたしたちの宿泊している「タージ・ガーデン・リトリート」は9年前に創業し、以来、この周辺は観光客で賑わうようになったようだ。

また、数年前には界隈に「レイク・リゾート」というホテルもオープンしたらしい。ケララ州には、このクマラコムばかりでなく、魅力的な滞在先がいくつもあるようだが、ことにこのバックウォーターエリアは欧米人にも人気があるようだ。

さて、水路に入るとボートはエンジンを緩め、カヌーと同じようなスピードで、ゆっくりと走りはじめた。


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