10月29日(金)
■喧噪のムンバイから、別世界へと降り立つ
蒸し暑いけれど、都会で感じる蒸し暑さとは異なる。それはいかにも「南国のリゾート」を演出する気候で、独特の味わいがある。
ケララでの滞在先はタージ・ガーデン・リトリートだ。夫がタージ・グループのメンバーになっているので、滞在先は大抵、タージ系のホテルを選んでいる。
タージがインド人によって創業されたことは「インド彷徨(2)」にて、ムンバイのタージ・マハル・ホテルの説明を書いたところで触れているので詳細は略するが、このホテルはインド人に対して安めの料金設定をしている。夫はアメリカに住んではいるもののインド人であるので、外国人よりも少々安いレートで宿泊できるのだ。
さて、車を降り、オープンエアのレセプションでチェックインをしていると、椰子の実の上の方を切り、ストローを刺した「ココナッツウォーター」を差し出された。スポーツ飲料にも似た味わいのそのほのかに甘い透明のジュースは、乾いた喉を瞬く間に潤し、身体の中に吸収されていく。
わたしたちはコテージを予約していたけれど、広いヴィラにはプールもついていると聞いて、部屋を見せてもらうことにした。プール付きのヴィラの方がいいけれど、湖畔のヴィラはすべて満室らしく、ずいぶん離れた場所にある、眺めが今一つの部屋しか空いていなかった。
眺めのいい部屋の方が魅力的。というわけで、予定通り、小さな水辺に面したコテージにチェックインする。
部屋の大きな窓を開けると、そこには小さな湖。そして向こう岸には鬱蒼と茂る森があり、幾羽もの鳥たちが高みで羽を休めている。なんともいえず、のどかで平和な光景だ。
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