COTE D'AZUR / VALLAURIS
コート・ダジュール/ヴァロリス

2/19/2003


今日でいよいよプロヴァンス滞在も最終日だ。あと数日ゆっくりとしたいところだが、明日から残りの3泊はスイス行きだ。

さて、今日は、メールマガジンの読者であり、サロン・ド・ミューズの会員でもあるニース在住のY子さんとランチをご一緒することになっていた。カンヌのホテルまで来てくださるとのことなので、午前中はカンヌの町をふらりと散策。

ランチを挟んで午後は、陶器の町、ヴァロリスに行くことにした。Y子さんも今日は予定がないというので、一緒にバスに乗って出かけた。


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朝からまたまたお菓子の店。ここはパリに本店を持つ有名な高級菓子店「ルノートル LENOTRE」の支店。さすがにひとつひとつの菓子が洗練されていて、美しく、バランスよく、ディスプレイされている。

レストランやお菓子屋の店内を撮る場合、たいてい、こっそりと撮る(誰もいないときは普通に)。取材でもない限り、写真撮影を依頼するのも変だし、かといって無闇に撮るのは好ましくない。従って、フラッシュなし、デジタル音も消去、場合によってはファインダーを見ずに、パシリ。なかなかに難しいのよ。熟練の技なり。

今朝の朝食もクロワッサンとカフェオレ。ちなみに背後の小さなバッグは街角のブティックで気に入って購入。革製ながら68ユーロ(約70ドル)とリーズナブル。小さいのにたっぷり入るのがうれしい。ちょっとした外出に便利。

●1997年よりニースにお住まいで、今、大学に通っているというY子さんとランチを共にする。Y子さんはメールマガジンを創刊時から読んでくれていて、『街の灯』も読了しているとのこと。ワシントンDCとは離れた場所で、わたしのことを知っている見知らぬ人に出会うというのはとても妙な気分だった。彼女はわたしの「概要」を知っているだろうからと、主にわたしが尋ねるばかりの会話だったが、とても楽しいひとときだった。●彼女はこちらで出会ったニース出身のフランス人パートナーと一緒に暮らしているとかで、これから先も、多分、ずっとニースに住むだろうとのこと。自分が生涯住む場所としてこのプロヴァンスを見ると、また違った視点、違った感受があるだろうなと思う。●今日は学校がお休みだということで、午後、一緒にヴァロリスへ行った。彼女のフランス語通訳のお陰で、訪れる店々で突っ込んだ話が聞けてよかった。フランスじゃ英語はほとんど通じないから、本当に、必要最低限の意思伝達しかできないのだ。●カンヌの駅からバスに乗って、ヴァロリスへ。クネクネの山道を経由して、小さな町にたどり着いた。

かつてピカソもヴァロリスで陶芸をしていた時期があるという。町の広場に面した場所にピカソ・ミュージアムがある(帰り際に入ろうとしたらちょうど閉館の時間だった!)。ちなみにこの像(ヤギを抱えた人)もピカソの作品らしい。ピカソはこの地域をうろうろとしていたのね。
ちなみにわたしはバルセロナにあるピカソ・ミュージアムが好き。建物といい、所蔵の作品といい、とても味わい深い。あと、ダリの住まいがあったカダケスに、ダリとピカソの小さな合同ミュージアムがあるが、ここは奇想天外でちょっとふざけた雰囲気で、かなり楽しい。

町の随所に陶器の窯があるヴァロリス。目抜き通り沿いには陶器をはじめ、テキスタイルや石鹸など、プロヴァンスの土産物を扱う店が並んでいる。

プロヴァンスのキッチンの有り様が目に浮かんでくるような陶器の数々。新鮮な食材がよく似合いそうだ。

陶器も見比べてみると、アーティスティックなものから安っぽいお土産仕様のものまでさまざま。いろいろな種類をじっくりと見ているうちに、だんだん目が肥えていく。ような気がする。

大きなセミ。わたしの目にはあまり魅力的には映らないのだが、いちおう、セミはプロヴァンスのシンボルの一つらしく、かなりあちこちでセミをモチーフにしたものを見かける。

しかし、巨大なセミって、不気味だと思うのだが……。

壁に飾りたいとは……、思わないな。

素焼きの部分を残した壁用のポット。白い壁によく似合う。これを植木鉢にして花を添えると、白い壁がみるみる華やかになるのだろう。

卵ケースを象った陶器。たくさんの卵をこの器に入れて、キッチンの片隅に置いたらかわいいに違いない。たくさんの卵といえば、わたしの好きな映画のひとつ「ひまわり」を思い出す。主人公の二人が結婚の儀式の一つとして、卵ばかりを食べるシーン……。あと、ポール・ニューマンがゆで卵50個食べる映画もあったな。

こちらは「お土産」仕様の陶器。ニンニクのすり下ろし皿と、オリーブオイル入れ。少々安っぽい。

窯元の古びた建物。ここはギャラリーになっていたが、開館時間のタイミングをはずして、結局、見ないままだった。まるでスペインの「シエスタ」みたいに、この町の店々の「昼休み」は長い。2時過ぎに訪れたときは閑散としていて驚いた。3時を過ぎて、ようやく店が開き始めた。

陶器を焼くときに出る煙で、家の上部が煤けた建物をいくつか見かけた。古びた建物が、よりいっそう古めかしくみえる。

他の店とはちょっと雰囲気の違う、ギャラリー風の店舗を見つけた。全体にブルーを基調にした陶器類が店内を埋め尽くしている。わたしの好みではないけれど、でも何となく興味をそそられる。

ランプシェードもアーティスティックでユニーク。これも好みじゃないけど。

食器類に施された青い鳥が、まるまるとしていてとてもかわいい。これが黄色とかアイボリーが基調だったら買うのに! と思う。インテリアにするのならいいけれど、ブルーは基本的に料理をおいしく見せる色ではないから、食卓に供するのには、ちょっと向かない気がする……。

でも、この店のオーナーはとても気さくでフレンドリー、やさしい雰囲気のおじいさん。店の奧の工房で、作品を作っていた。

おじいさんなのに少年のような表情をしていて、とてもチャーミングだ。

彼の目は、彼の作る陶器と同じブルーだった。

彼のお父さんは、結構、著名な画家だったらしく、彼の作品のが載った画集の一部を見せてくれた。彼はお父さんに「お前は画家としての才能がないから陶芸をやれ」と言われたらしい。ということをニコニコと語っていた。(Y子さん通訳)

中段左端のモノクロ写真は彼のお父さん、その隣は彼のお母さん、その隣もお父さん。一番下の写真は、若い頃の彼とお母さん。

そして右側の下の写真は、ピカソと彼のお父さん。二人は友人同士だったらしい。それにしてもピカソさん。相変わらず上半身裸。

こちらはテキスタイルの店。テーブルクロスにランチョンマット、エプロンなど……。布だけも売っている。

よく見ると、ほら、青い部分にセミの模様が!

広い庭があったなら、こういう植木鉢をどしどし置いて、プロヴァンス風ガーデンを作るのもいいかもしれない。でもこんな大物は持ち帰り不可能だな。ここに住むしかないだろう。

日暮れ近くになってカンヌに戻ってきた。Y子さんからテラコッタに入ったヨーグルトがおいしいとの話を聞いたので、帰りにスーパーマーケットで探すが見つからず(売り切れだった模様)。それにしてもヨーグルトの種類の多さには驚いた。

夕食は、気分転換についつい、本当についつい、チャイニーズを選んでしまって失敗。チンタオビールまではよかったが、料理はいまいち。あっさり料理を選んだつもりがこってりだったりして。A男もわたしも自らの選択の過ちを悔やむ。

●おいしい発泡水●フランスのボトル水はおいしい。特にわたしは発泡性(ガス入り)のミネラルウォーターが好きだ。ペリエは世界的におなじみだけれど、フランスならではのものもたくさんあった。

そんなに飲み比べたわけではないが、今のところ、わたしは右側のQUEZACが気に入っている。なんだかほんのりとした甘みが感じられる水なのだ。ボトルの形もなんだかいい感じ。

●番外編●旅行から戻ってきたあとの我が家。ヴァロリスのショップで衝動買いしたテーブルクロスをダイニングテーブルにかけてみた。わたしの好きなひまわりの花がモチーフになっていて、濃い黄色とオレンジという組み合わせもとてもいい。裏返すと濃い黄色だけになり、リバーシブルで使える。サイズもちょうどぴったりで、部屋の雰囲気がとてもよくなった。

ちなみに右側の壁にかかっているのは、その後スイスを旅行したときに購入した鳩(カッコウ)時計。兼ねてからA男が欲しがっていたものだ。これもまた、あれこれと悩んで購入しただけあり、部屋の雰囲気にしっくりと合った。

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