COTE D'AZUR / BIOT&ANTIBES
コート・ダジュール/ビオット&アンティーブ

2/18/2003 PART1


今日もまた、爽やかな青空が広がるいい天気。これでこそ、南仏に来たかいがあるというものだ。

今日はカンヌから列車で10分ほど東に走ったところにあるANTIBES(アンティーブ)と、そこからバスに乗って内陸へ30分ほど走ったところにあるBIOT(ビオット)を訪れることにした。まずはアンティーブからバスに乗って、ガラス工芸や陶器で知られる小さな村、ビオットに向かった。

注★今回の旅行の写真に、あきれるほど菓子類の写真が多いのは、お菓子作りのビジネスをしている友人から「お菓子の写真をいっぱい撮ってきてね!」と頼まれたこともあって、のことである。なにもお菓子にばかり情熱を傾けているわけではない。ということを、一応、言い訳しておく。


★写真をクリックすると拡大写真が現れます。

 

ホテルの近所にあるメンズのブティック。なかなかにお洒落なニットのセーターが割引されていたので、夕べ、A男は2枚ほど購入した。右下はそのうちのひとつ。薄いピンクのサマーニットにデニムの襟が付いていてかわいいのだ。レディスもあれば買ったのにと思う。

駅までの道すがら、チャイニーズレストランが点在する一画を通る。ここにはインド料理レストランもあった。

フランスはベトナム料理もおいしいと聞いたが、このあたりにはないのだろうか……と探しつつ歩く。結局見つからず。

駅の近くでマルシェ(市場)を発見! 思わず吸い込まれるように入る。

魚介類や野菜、果物などの生鮮食料品の他、チーズやハム、ソーセージ、そして花などの店が賑やかに並ぶ朝市だ。庶民的な衣類や雑貨などの露店も市の半分ほどを占めている。

さすがに海に面した港町だけあって、シーフードの種類も多く新鮮だ。特にエビ類は大きくておいしそうなのが揃っている。

ヨーロッパの大抵の町には、街の中心地に広場があり、こうして昔ながらの朝市が開かれるところが多い。午後には店は片づけられ、広場のままだったり、あるいは駐車場に使われたりする。

昼間働く人達には利用できない時間帯の営業だが、専業主婦ならば毎日、新鮮な食材が手に入れられるというものだ。

うちの近所にも、こういうマルシェがあるといいのに。

果物はオレンジやリンゴなど、見慣れたフルーツが多い。野菜や果物、みんな量り売り。

土地の人々の食卓が思い浮かぶようだ。

アメリカのものに比べると、ポテトなども全体に小振り。旨味がぎゅっと詰まっているという感じだ。

しっかりとした歯ごたえの甘酸っぱいイチゴをはじめ、ベリー類も何種類か並んでいた。

写真を撮ってくれとゼスチャーをしているお兄さんを記念に一枚。

短い旅の期間だったが、プロヴァンスの人たちは、とてもフレンドリーで親切な人が多いと感じた。

チーズ王国だけあり、並んでいるチーズの種類もバラエティ豊か。人々は夕食後、デザートの前にもチーズを何種類か味わう。チーズにバター、ヨーグルト、フランスはともかく乳製品がおいしい。

こちらはソーセージ。各種腸詰め類がぶら下がったり並んだり。

スパイスの種類も豊富だ。さまざまな香りのハーブは、フランスのキッチンに欠かせない。

ちなみにペッパー・ミル(コショウ挽き)はフランスのPUGEOT(プジョー)製に限る!らしい。あの、自動車メーカーのプジョーだ。金具に耐久性があって、削りやすい。

「産み立て」という感じの、茶色くて小振りの卵。なんだかおいしい卵焼きが出来そうだ。

これはウサギの肉。レバーの部分がそのままくっついている。このあたりではウサギ肉の料理も一般的。

収穫したばかりの野菜が朝日を浴びて、よりいっそう瑞々しい。おいしいサラダのための葉野菜たち。

元気いっぱい! という感じの豆類など。

木製の素朴なカトラリー類。優しい手触り。

花屋でいちばんの場所を占めているのは、今が盛りのミモザの花だ。

チューリップは、まだ季節が早いせいか、そこはかとなく、寒々しく見える。

日本の温州みかんを思わせる葉付きのオレンジ。多分、かなり種が多いタイプのオレンジだと思う。

さて、そろそろ駅に行かなければ、朝食を食べる時間がなくなってしまう……。

列車が来るのを待つ間、駅前のカフェで朝食。やっぱりクロワッサンとカフェオレ、もしくはエスプレッソが朝の定番になる。なんだかビタミンが足りない気がする。

フランス人の朝食は、クロワッサンをはじめ、チョコレートを挟んだパンやデニッシュなど甘いものも多い。

デリみたいなところでヨーグルトでも買ってくればよかった。いや、さっき市場でフルーツを買えばよかったのだ。眺めてばかりでうっかりしていた。

カンヌ駅のプラットホーム。この2階だて列車は長距離を走る観光列車だろう。ヨーロッパの鉄道駅は、わたしの大好きな場所のひとつ。特にアーチ型の高い天井をもち、いくつもの線路がずらりと並んだ終着駅が好きだ。

アンティーブはカンヌから東へ快速で一駅の、海辺の街。

ここがアンティーブの駅。改築されたばかりのようで全体にすっきりときれいだ。

鉄道駅から街の中心地まで5分ほど歩いてバス乗り場へ。ここから約1時間おきに、ビオット行きのバスが出ている。これはバスの車内。主には土地の人たちが乗客だが、観光客の姿もちらほら見られた。

バスは狭くて急な山道をぐんぐんと登る。瞬く間に海が眼下広がる。すばらしい景色だ。

深い緑の山肌を彩るのは黄色いミモザの花と赤茶色の瓦を載せた小さな家々。

30分ほどのバスの旅を終え、丘の上の小さな村、ビオットに到着。

小さい村ながら、観光客のためのインフォメーションがあり、レストランも観光客仕様。

それでも訪れる人は少ないから、のんびりと、静かな雰囲気が漂っている。

ビオットのガラス作りの歴史は意外に浅く、1956年に始まったという。

これはガーリックおろし皿。食卓で各自、ガーリックをおろして調味するのに使うようだ。魚のスープやブイヤベースなどにもガーリックのすり下ろしをいれるとおいしそう。

陶器ショップの店頭。入ってみずにはいられない。

素焼きの陶器にオリーブなどが絵付けされた、プロヴァンスらしい食器の数々。

ついつい買い物をしたくなるけれど、食器は重いし割れやすいから持ち帰りにくい。

欧州を旅行するたび、小さめの陶器ばかりを購入するから、我が家にはやたらと小皿が多い。今回は、見送ろう……。

陶器は、実際に食卓に供するのもいいし、壁に飾ってインテリアにするのもいい。素焼きの皿は、キッチンの壁によく似合う。

我が家のキッチンの壁にも、17年前、初めてスペインのアンダルシアを取材で訪れたときに買った絵皿が、飾られている。

一緒に買った両手ほどの大きさのボールは、シリアルを食べるのに丁度いい。

犬。

車。

猫。

「影があってこその光の存在」を、瞬時に感じさせてくれる穏やかな日差し。

路地をぐるぐると歩きながら、心のリズムがどんどんなだらかに、なっていく。

目抜き通りをはずれて路地に迷い込めば、そこに観光地の表情はない。

石畳を駆け回りながら、ボールけりをして遊ぶ子供たち。正面の、古びた家のバルコニーには、小さな女の子が立っていて、ボールけりをする子供たちを眺めている。

男の子と、おばあちゃんと、犬。

階段があることが、うれしくなってしまうような階段。

坂道ばかりの路地を、杖をつきながら、買い物帰りのおじいさん。

老人や、子供や、犬や猫がよく似合う風景。

わたしが生まれる500年前に造られた、石の門。

陶器で作られた、味わいのある町地図。

この店は少しモダンなデザインの陶器が多かった。ラベンダーの紫が爽やかな食器類。

こちらは太陽のような、大地のような、強さのある色味の陶器。

テラスにテーブルを出したレストラン。それぞれのテーブルに、たっぷりの生花がいけてあるのがいい。

誰かの家の、黄色い窓辺。

ランチはどこで食べよう。雰囲気をとるか、場所をとるか。本当はテラスのある店で食べたかったのだが、どうしてもこの店のクレープメニューにひかれて、ここに決めた。

「ノルマンディー風」と名付けられたクレープ。グラン・マニエでフランベされたクレープは、青白い炎をあげつつ、テーブルに供された。中にはとろりとしたカマンベールチーズがたっぷり。グラン・マニエの香りがなんともいえずいい。サラダとともに味わう。

ビオットの村から周囲を見渡す。風景に黄色いアクセントを添えるミモザの木が見える。鳥のさえずりがよく似合う午後。

丘の上にあるビオットの村を離れ、坂道を下り、ガラス工場を訪ねることにした。丘の麓に二つの工場が並んで立っている。こちらは大きめの工場で観光客も多い。(La Verrerie de Biot)

工場内ではガラス作りの現場を見学できる。それにしても、左のおじさんは軽装すぎるのではあるまいか。プロはやけどをしないのか。

肝となる作業はこのおじさんが担当しているようだ。キャンディーのように柔らかなガラスを、棒をくるくると回しながら形作っていく。

ガラス工芸をやっている知人いわく、いかに棒をうまくくるくると回し続けることができるか、も、肝要な技術なのだという。手のひらに豆ができそうだ。

これはお隣の工場(というよりは小さな工房)の壁に備えられたガラスの電球カバー・夜、どんな風に辺りを照らすのか見てみたいと思った。(Silice creation)

大きい方の工場はお土産コーナーも充実している。世界各地への配送も承ります!

この店のショップはあまり光が入ってこなくて、ガラスの美しさが今ひとつ伝わらなかった。ガラスは光を浴びてこそ、表情が読みとれると思うのだけれど。

なんとか光があたっているところを狙って撮影してみる。

工場から少し歩いたところにあるバス停からアンティーブ行きのバスに乗る。麓からビオットの村を見上げる。小さな城塞の村。

バス停近くにあった工房、Verrerie Farinelli。

店頭のテーブルに出されたグラスは、太陽の光を浴びて気持ちよさそう。

海のブルー、空のブルー。

30分から1時間に一度のバスは、ぴったり時間通りにやってきた。午後はアンティーブの街を散策しよう。

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