ZION NATIONAL PARK
●ザイオン国立公園●

6/23/2003

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■エンジェルズ・ランディングへ約4時間のハイキング

アメリカの国立公園へ来るたびに感心するのは、老若男女問わず、身体障害者でも何らかの形でトレッキングや散策が楽しめるよう、設備がきちんと整えられていることだ。

入園時に利用料を支払うと園内地図をもらえる。それには、見どころの案内やわかりやすい地図が記載されている。地図には要所要所の設備を示すピクトマーク(トイレ、車椅子可、飲料水ありなど)が記入されており、非常に機能的で使いやすい。

わたしたちの宿泊したスプリングデールの町の随所(ホテルやロッジの前)にバス停があり、国立公園入り口までのシャトルが約5分から10分おきに運行している。

排気ガスによる公害を防ぐためにも、極力、車を使わず、シャトルで移動するのが望ましいというわけだ。

また、広大な国立公園内にも約5分おきに発着するシャトルバスが巡回していて、見どころやトレイルの入り口など随所に停まる。ともかく身軽に、行きたいところへ行けるのがいい。

さて、早朝からスジャータ、ラグバン、ロメイシュの3人は朝7時頃、トレッキングに出かけた。いやはや、元気である。

ちなみにスジャータは毎朝3時間、ラグバンも1時間半、ヨガをやっているらしい。無論、旅の途中は端折っているようだが、それにしたって敬服ものである。ヨガは心身に非常にいいとかで、影響されたA男やわたしも、最近、スジャータに習って始めている。

しかしさすがに、今日はやる気にならず、8時頃まで寝ていた。もう少し寝ていたかったが、休日になると俄然張り切るA男にたたき起こされ、しぶしぶ起床。軽く朝食のあと、いくつかのルートのうち、中級クラスの「エンジェルズ・ランディング」というルートをトレッキングすることにした。

「トレッキングの際には大量の水を持参のこと」という注意に過剰反応のA男、「一人2本で十分だよ」というわたしの言葉を振り切り、一人4本(中サイズボトル)相当を購入。

重すぎて、肩が凝って、疲れるってば!

A男、5本、わたしは3本の水をバックパックに詰め込み、いよいよ出陣。トレイルの入り口には、「自己管理は事故責任のもとに」という但し書きが赤い文字で記された看板がある。自分の身の危険は自分で守れということだ。

わたしは、こういうシステムが、この上なく好きだ。その簡潔であっさりしたセンテンスを見るたびに、(実にいいものだ)と感じ入る。

国立公園は、できるだけ「素のままの自然」に人々が触れ合えるよう、必要最低限の加工しか施されていない。よほど危険なところ以外は柵などなく、うっかり足を滑らせたら崖下にまっさかさま、というところがごまんとある。

軽装で行くか、重装備で行くか、水1本で行くか、4本で行くか、すべては本人の判断次第である。判断を間違えれば命を落とす危険も十分にある。なにしろ相手は、人間には太刀打ちできない、とてつもなく壮大な大自然なのだから。

さて、鋭い朝日を浴びた山並みを仰ぎつつ、まずは平坦な道を進む。目指すエンジェルズ・ランディングは標高1765メートル。山肌に沿ってクネクネと蛇行する、かなり険しい、しかし整備された細道を、踏みしめるように歩く。

時折、足をとめ、周囲の風景を見渡す。10分おき、いや5分おきに、あたりの表情は変わり、歩いていて飽きることがない。

幸か不幸か例年に比べると気温が低いこともあり、あまり暑さを感じず、従って喉も乾かず、結局、約2時間かけてスコット・ルックアウトと呼ばれるポイントに到着するまで、二人でボトル1本も飲まなかった。

本来は、エンジェルズ・ランディング、つまり「天使の降り立つ場所」と呼ばれる、その尖った赤茶色の独立峰に上ってこそ、このトレイルは完結する。

しかし不用意なわたしたちは、水に気を取られてランチを用意しておらず、これ以上時間をかけると空腹になる可能性があることに加え、A男が高所恐怖症気味で、険しい道だと非常にスローになることもあり、たとえ挑戦したとしても、日が暮れてしまう可能性があるため、スコット・ルックアウトで引き返すことにした。

無論、ここからの眺めもすばらしく、吹きすさぶ風もやたらめったら心地よく、気分爽快。充足感はたっぷりである。だいたい2時間以上もかけて上ってきただけでもたいしたもんなのだ。

A男が、「ここでおにぎりが食べたいねえ〜。あと、卵焼きも」とつぶやく。

味覚が日本人化しつつある夫よ。

それにしても、なんて荒削りで、奔放な風景であることか。腰をかがめ、じわじわと崖の際に行き、眼下を見下ろすと、その絶壁ぶりに背筋がゾゾッとする。実にスリリングだ。

エンジェルズ・ランディングに向かう急峻な尾根を、ちょっとだけ上ってみようと鎖づたいに歩いてみるが、案の定、A男はかなり萎縮してなかなか進まず。他の登山者の邪魔になりつつあるので、やはり途中で引き返した。

上りに比べると、下りは楽ちん。でも、膝や腰には、下りの方がダメージを与えられやすいので、調子に乗ってすたすた歩かず、できるだけゆっくりと、踏みしめながら歩くように心がける。

ちなみに、道中、当然ながらトイレはない。こういうとき、男性はいい。茂みでささっと用を足せるからな。無論、女性もそうするしかないのだけれど。だから、よほど喉が乾かない限り、水はたくさん飲みたくないのよね〜。

というわけで、ボトル1本を開けただけで入り口にたどり着いた。

 

■ランチのあと、一段落して夕方のトレッキングへ

2時過ぎに国立公園入り口に到着し、ランチはスプリングデールのどこかで食べることにした。ところが半端な場所でバスを降りてしまい、ランチタイムには閉まっている店ばかり。

しかたなく、開いていた「パンダ」という名のチャイニーズレストランに入る。予想どおり、失敗の味。こんなところでチャイニーズを食べるとは、わたしたちの判断力も鈍っている。と食後に後悔。

その後、カフェでコーヒーを飲み、ぼーっとする。ハミングバードがせわしなく翼を羽ばたかせながら水を飲むのを飽きずに見たり、ただひたすら山並みを眺めたり。

ともかく日中(2時から5時くらい)が一番暑いので、この時間帯はおとなしくしているのがいい。というわけで、一旦ホテルに戻り、4時過ぎになって再び国立公園へ。ちなみに園内のシャトルは夜11時まで巡回しているとか。便利なものだ。

ヴァージン・リバー沿いのトレイル(リバーサイド・ウォーク)を歩いていると、ちょうど戻ってくる途中のラグバンとスジャータと鉢合わせた。彼女らはトレイルをはずれ、ザ・ナローズと呼ばれる峡谷の川を歩いてきたのだという。

川歩きをして上流まで歩くには、少なくとも往復4時間は必要だとのこと。リバーサイド・ウォークを歩くだけでは、風景はたいして変化はないとのことなので、今日は諦め、明日の朝、早起きして出かけることに決めた。

なお、川歩きには杖が必要で、靴もしっかりしたものを履く必要がある。帰りにレンタルショップで頑丈な杖を借り、スーパーマーケットで朝食・昼食用の食料を買い、明日に備えた。

 

■夕食はメキシカン料理。ビールがおいしい

夕食はホテルの向かいにあるメキシカンレストランのテラスで。夜になると格段に風が涼しくなり、肌寒いくらいだ。それにしても、乾いた空気がビールのおいしさを倍増させる。

毎日重めの食事なので、今夜は豆入りのソフト・タコ(煮込んだ豆を柔らかいトルティーリャで包んだもの)をオーダー。これがなかなかにおいしくて、非常に満足。

豆料理は消化が早く、お腹にもたれず、食後も気分がいい。肉や魚が好きだから、ついつい夕食はしっかりと食べてしまいがちだが、夜はベジタリアンの方が身体にいいのだろうなあ、と思ったりもする。

ちなみにこの界隈ではナバホ・タコ(ナバホとはインディアンの一種族)という料理が有名だとのこと。

ナバホ族のタコス料理らしいが、肉やチーズがたっぷりで、かなりボリュームがあるようなので、結局わたしは食べなかった。

明日は6時起床で「川歩き」をするので、早めに就寝。この日は久しぶりに熟睡できた。


トレイルの出発点にはルートの状況などを示すガイドの看板が立てられている


朝日を浴びてそびえる岩山、エンジェルズ・ランディング


道脇にはサボテンが


↑岩山の表面。幾重もの層になっている。←山肌を伝うトレイルは歩きやすいよう整備されている


極めて軽装、軽々と斜面を歩く人々。一方、高所恐怖症のA男はしっかり内側を歩く


いつだって、内側を歩く


何が何でも内側を歩く


かなり高いところまで来た


道中の植物


小さなシマリスもいる


ついに高台に到着


見下ろすと、足がすくむ!


ほんの少し、エンジェルズ・ランディングに近寄ってみた。鎖づたいに歩く尾根だ


エンジェルズ・ランディングは目前。しかしここで断念


最終ポイントで記念撮影


A男、早くおいでよ!


岩肌は滑りにくいから大丈夫だよ〜! 平気だってば〜! 


美穂が何といおうと、何が何でも内側を歩くのだ!



子供を道はずれのこんな所に行かせて記念撮影をしている母親がいた。呆然

小さな町、スプリングデールには、ロッジやレストラン、民芸品店などが点在する。

インディアンの工芸品、ビーズ製品などが多い。

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