わたしが彼女、マリアムと初めて出会ったのは、2003年夏のバンガロールだった。まだ米国在住時、インド移住を考えはじめたわたしたちが、結婚式で渡印して以来、2年ぶりにインドへ訪れたときのことだ。 ある日、デリーから訪れていた義父ロメイシュと義継母ウマが、旧友たちと会うとのことで、一緒に出かけようと誘われた。待ち合わせのゴルフクラブのレストランで、わたしたちはロメイシュの旧知の夫妻、そしてマリアムとその母親、ゲイリングと初めて顔を合わせたのだった。 最初、その母娘を見た時、その肌の白さに、生っ粋のインド人ではないだろうことが察せられた。しかし、彼らはインドなまりの英語を話す。彼らのバックグラウンドが気になった。 グリーンを見渡しながらビールを飲み、スナックを食べ、一同は久しぶりの再会に会話も弾む。ほどなくして、ダイニングルームに移りランチタイム。マリアムの隣に座ったわたしは、互いの仕事のことなどを話した。 そのときに、彼女の父親がムスリム(イスラム教徒)で母親はクリスチャン、彼女の夫はヒンドゥー教徒だと言うことを知り、彼女の家族に興味がわいた。
やがて2005年の秋、わたしたちはバンガロールに移住し、マリアムとは何度か顔をあわせることになる。いつも笑顔でフレンドリー、家族思いの彼女。インド人インタヴューを開始すると決めた時、まっ先に彼女のことが思い浮かんだ。 わたしの申し入れを快諾してくれたマリアム。彼女が経営するブティックのそばにあるカフェで、モンスーンの雨音をBGMに、ファミリーストーリーを聞いた。 |