いよいよマンハッタンを立ち去る日。1カ月旅の最終日。外は冷たい雨が降る。飛行機は夜の便だから、最後の一日もまた、外に出る。

ホテルの近くのCafe Europeで朝食。今回、ジャケットを持参し忘れていたため、ナパのパタゴニアでフリースのジャケットを購入していたのだが、これが重宝した。ニューヨークの春は突然寒くなるから、油断できないのだ。

昨日、SHIZUKA new yorkでトリートメントしてもらったネイル。きれいに形を整えてもらって、春らしく、ちょっとおもちゃみたいなピンクのエナメルを塗ってもらった。1週間は持つだろう。

アッパーウエストサイドを歩き、ついつい、かつて住んでいたアパートメントを見に行く。毎度、懐かしむ我々。ついでに懐かしい店でランチを食べようと、SHUN LEE CAFEで点心を。

SHUN LEE CAFEにて。他にお客がいないのをいいことに、自らの「干支」の前で記念撮影。ちなみにヘビ年ね。

「僕も〜」と夫が指差すはねずみ年。

ヘビの妻。ネズミの夫……。

ごめんね。

飲み込まないように気をつけるからね。

十年前の七夕の夜に我々が出会ったバーンズ&ノーブルのスターバックスカフェに、毎度来たがる夫。懐かしがるのはいいが、来るたびに小汚くなっている。

「ここで出会ったっていうの、最早、あんまりいい感じじゃないね」

「出会いの話を作り替える?」

「そうしよう! リンカーンセンターでオペラを見に行った時に、隣り合わせていた、っていうのはどう?」

「いいよ。」

「でも、すでに僕達の出会いのいきさつを知っている人には、どう言えばいいかなあ」

いや、誰も気にしていないから。それにわたしも、本気じゃないから。

ホテルに戻り、荷物をタクシーに詰め込んで、JFK空港へ向かう道すがらは大雨。そういえば、去年の帰り道も、こんな雨だった。ただ、帰る場所が、違うだけで。

インドから、太平洋をこえてここに来て、さて今度は大西洋をこえて帰るのだ。

地球をぐるりと一周して、さて、明日からはまた、インドでの日々が始まる。

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