グループツアーではなくてよかったのは、二人だけで、静かに自然に向き合えたこと。ガイドのおじさんからも、個人的に興味のあることを尋ねられたのはよかった。彼はかつて、炭坑で働いていたらしいが、数年前からこの仕事に変わったと言う。 「会社は保険も出してくれるし、年収も5、6万ドルあって、とてもいい暮らしができています。仕事は楽しいし、いい暮らしです」 とても前向きで、やさしげなおじさんである。英語と、ナヴァホの言葉を話す。ナヴァホの暮らしや習慣についても、あれこれと話してくれた。 けれどこのツアーに参加していたときのわたしは、心ここにあらずの上の空で、あまり彼の話を聞いていなかった。2時間以上もあれこれと話していたのに、よく覚えていない。彼の名前すら思い出せない。ただ、周りの風景を、自分の視覚を通して体内に取り込むことで、精一杯だった。 2時間半の約束だったけれど、3時間を過ぎてしまった。明らかに、わたしたちがのんびりしすぎたせいである。オフィスは超過料金を請求されることはなかったので、おじさんに多めのチップを受け取ってもらった。 ここにはまた、来たいと思う。今回訪れそびれたANTELOPE
CANYONにも、ぜひまたいつか行きたい。この次は、乗馬ツアーに参加するのもいいかもしれない。ゆっくりと時間をかけて、巡りたいものだ。
太陽の瞳。昔は1年に一度、正午、太陽が瞳の真上に位置する日があったという。そしてその日が「夏のはじまり」で、祭りが催されていたという。今では、太陽が真上に来ることはなくなったという。それは地軸の傾きが変わったから? 詳しいことはよくわからない。 ガイドのおじさんが勧めてくれた撮影に好適なスポット。「フォトグラファーはここからのショットを好むんですよ」とのこと。
JUNE 21, 2005/ DAY
9
MONUMENT VALLEY:
NAVAJO TRIBAL PARK & THE NAVAJO RESERVATION (UTAH)
太陽の瞳、風の耳。
ナヴァホ・インディアンがこの地に暮らしはじめる前、紀元前から2000年近くもの間、アナサジ・インディアンがこの一帯を含む北米の南西部に暮らしていた。1300年ごろに姿を消したというが、このペトログリフは彼らが描いたものだという。 そしてこれは、"EAR OF THE
WIND"
風の耳。熱い砂丘を、ずんずんと歩いて、耳に近付いて行く。
これもまた、大きな耳。ありんこみたいな夫。 こちらはBIG
HOGAN。ホーガンとは、ナヴァホの人たちが暮らす家屋のこと。天窓があり、中央に暖炉があり、入り口は東向き。モンゴルのゲルと同じだ。 ビッグ・ホーガンの全容もまた、カメラにおさまりきれない程の大きさ。
ジョン・ウェインと名のついたハンバーガーを注文。アヴォカドとチーズが載っている。それからナヴァホの揚げパンにサラダ。 さて、次の目的地へ向けて出発。今日は2370マイルから。