SCENE 61: マリーゴールド
BANGALORE, NOVEMBER 14, 2004

追い立てられることなく、好きなだけ眺めている。

そこに、広く深い宇宙があることに、気づく。

そうして、そこに浸っていると、

日常のあらゆる囚われが、

懸念や焦燥や不安や杞憂が、

ここからは遠い概念になる。

青空の下で、草の上に腰掛けて、風に吹かれることの幸福。

その求めるものは、望むものは、

自分の掌で、本当に掴み得るのだろうか。

掴むべきだろうか。

それでも、何か欠片でもを掴むごとに、

掴み得た自分を慈しもう。

自分と、自分を取り巻く人々のために。

掌に刻まれていく、歳月。

 

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