■ご近所をサイクリングなど。
今日もまた、ゆっくりとランチを食べ、サイクリングに出かけ、ジャーナルを書いたり、本を読んだりして過ごす。電話もしない。コンピュータも開かない。テレビも見ない。ここは「電器関係」や「情報関係」が、とても似つかわしくない場所で、そして必要性も感じない。新聞すらも、開く気にならない。
いつものテーブルで、小さな湖を眺めながらランチを食べていたら、朝のバードウォッチングで一緒だったカップルに会った。なんと彼女は「超短い」短パンを履いていた! トップもピチピチの露出度高いTシャツだ。誰だ、インドの女性は足を出さないなんて書いたのは。あ〜驚いた。
午後はサイクリングに出かけた。リゾートから一歩外に出ると、そこは田舎とはいえども人通りの絶えない、活気のある村の風景。細いながらも主要な道路だから、バスやトラックがたびたび行き過ぎる。
椰子の木の向こうに田んぼを眺め、牛の声を聞き、車のホーンに追われながら、互いに「車が来たよ!」「気を付けて!」と声を掛け合いながら自転車を漕ぐ。全然、のどかではない。サイクリングにはふさわしくない道だ。というか、はっきりいって、危険である。
とはいえ、すぐに引き返すのもなんなので、近くにある「レイク・リゾート」を訪問。ここもまた、とても素敵なリゾート。各コテージを結ぶように、運河を模したプールが横たわっていて、部屋のテラスから直接プールに出られるようになっている。グレートバリアリーフとか、カリブなどに見られる欧米型リゾートのデザインだ。
わたしたちの宿よりも規模が大きく、やはり欧米人客の姿が圧倒的に多い。というか、インド人を含むアジア系のゲストの姿はそのときは見当たらなかった。
リゾートを出て、村の中の小道をくぐり抜け、路傍に鶏やらひよこを眺め、ご近所の洗濯物が翻る様を眺め、ときに自転車を押して歩き、ぬかるみを走り抜けて、帰還。
我々のホテルでは、新しいテレビコマーシャル用の撮影が行われていた。照明やカメラなどの機材を抱えた人たちが行き来して、なんだか慌ただしいいムード。と、またしても、朝のカップルに遭遇。今度は彼女は長いスカートにインドのシルクの素材で作られたかわいらしいトップを着ている。
「すてきなファッションね」と言うと、「わたしがデザインしたの」とのこと。彼女はデザイナーだったのだ。なるほど。だからジーンズの裾をまくったりするのは、美的感覚が許さなかったのかも知れない。と納得。
さて、わたしたちは2度目のアーユルヴェーダのマッサージを受けに行く。夫は昨日、頭部のマッサージを受けたのだが、これがかなり奇抜である。頭部のマッサージにはじまり、耳にオイルを流し込むなどいくつかの行程があるようだが、躊躇するのは鼻腔関係。
鼻の穴にオイルを流し込んで鼻腔を洗ったあと、今度はオイルでうがいをするらしいのだ。
昨日はうっかり、うがいをしているときにオイルを少量飲み込んでしまい、むせかえって辛い思いをしたらしい。が、今日もやるらしい。なんだか鼻の通りがよくなった気がするらしい。
わたしは昨日と同様、ボディマッサージだけを受けた。トリートメントのあとは、本当にリラックスする。
■音楽と、踊りと、マーシャルア−ツ(格闘技)の夜
夜はまた、コマーシャルフィルムの撮影のため、庭でケララならではの踊りやマーシャルアーツが披露されていた。わたしたちゲストも撮影の様子を遠巻きに眺める。空港で買ってきたワインを注いだグラスを片手に、もう一方の手で舞い飛ぶ蚊を追い払いつつ。
中でも見ごたえがあったのは、「カラリパヤトゥ(Kalaripayattu)」という武術。柔軟な身体をバネのように曲げたりのばしたり弾んだり回転したりする。カンフーにどこか似ている。一人が素手で行う動きのほか、刀などの金属、大きな石のような武器を用いた二人での戦いなど、どれも興味深いものであった。
この地方にはまた、400年以上の歴史を持つ伝統的な舞台演芸「カタカリ(Kathakali)」がある。歌舞伎や京劇のように、顔に派手なペイントを施し、ふんわりとボリュームのあるスカートのような派手な衣装を身につける。頭部の装飾も金色が主体できらびやかだ。
カタカリは、村の寺院で夜通し上演されているらしく、夫はわたしにぜひ見せたいと言ってくれたのだが、寺院までは自動車で1時間ほどもかかるうえに、小雨も降っていたので今回は見送った。ちなみにケララ州の州都であるコチ(コチン)のホテルなどでは、カタカリを上演しているところもあるようだ。
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