SCENE 25: スパイスが茂る木の下で
KUMARAKOM, KERALA, OCTOBER 31, 2004

庭を散策していたら、昨日、湖の向こう岸から手を振り返してくれたお兄さんに会った。
彼は欧州から訪れた一家のコーディネーターのようである。

わたしを見つけるなり、フレンドリーに微笑んで、手招きをする。

「ペッパーの実、いる?」

そう言いながら、木の周囲に、ツタのように絡み付いた植物の実をちぎって、
わたしの手のひらに載せてくれた。それはまだ鮮やかな緑の、胡椒の実だった。
まるでぶどうのミニチュアのような、房になった実。

「これを乾かすと、ブラックペッパーになるんだよ。齧ってごらん。ペッパーの味がするから」

ひと粒ちぎって、少し齧ってみた。本当だ! 胡椒だ!

胡椒の実が、どんな植物で、どんな風になっているのかなんて、
今まで一度も、想像したことがなかった。

びっくりした。

これが胡椒の実。ぴちぴちと堅い実。齧ると胡椒の風味がする

リゾートで飼育されている、なぜか七面鳥。インドと言えばクジャクではなかったか。


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