SCENE 29: 贈り物のような一日。
CHENNAI (MADRAS), APRIL 27, 2004

朝食のあと、しばらくホテルの周辺を散歩する。
遠くの海辺に、漁師たちの姿が見える。双胴船の姿も見える。
部屋に戻った夫はデスクの上でコンピュータを広げ、仕事を始める。
わたしは、ハンモックに揺られて。風に吹かれて。

午後にはスパへ行き、滑らかなオイルでマッサージをしてもらう。
それから、一人でぽつぽつと海辺を散歩する。
そんな風に、ひたすらにのんびりと一日を過ごす。

夜はまた、海辺のテラスで夕食。
隣の漁村で釣られたばかりの魚を、そのまま塩焼きにしただけの、
しかしそれが一番おいしい。
ビールを飲みながら、海風も夜は軽く、星がきらめく。

食後は、小高い丘の上にある、まるでピクニックグラウンドのようなカフェで、
アイスクリームを食べながら、コーヒーを飲む。

丘の上の、大きな岩の上に寝転がる。温かな岩が、身体を優しく包み込むみたいに。
そうして空を見上げると、星が降ってくる。
「あなたもここに寝転がりなさいよ」と、夫を岩の上に誘う。
しばらくそうして、岩に抱かれながら星空を仰ぐ。波音を微かに聞きながら、夢のごと。

まるで、思いがけない、贈り物のような一日。


スパといえば、水盆に浮かぶ花。

野良犬が、庭に遊びに来た

歓声を上げながら海で遊ぶ女性ら


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