昨日の「サリー・ショッピング」で、サリーへの情熱に火がついてしまった。 (ラルは今日もいるだろうか……。他のお客を乗せてるだろうか……) ■またしてもサリー。そしてサンダルウッドオイルにカシミア、パシュミナ。 前回、スジャータと一緒に行ったSofina
Plazaに、確か何軒かサリーショップがあった。あそこはローカルの店だから、リーズナブルでいい商品があるかもしれない。その旨をラルに伝えた。すると彼曰く、 「Sofina
Plazaのサリーは、さほど品質がよくないよ。それに安いわけでもない。サリーが本当に欲しいなら、他にいい店を知っているから連れていきますよ。ほら、この貿易商は、その店で何十万ルピーも使ったんです」 そう言いながら、アラブの国の貿易商の名刺をわたしに示す。言葉巧みな彼。やはりコミッションをもらっているのか。だからって、わたしが余計に払うわけではなし、気に入らなければ買わなければいいだけのこと。別に急ぐ用事もないのだから、彼の言葉を信じて連れていってもらおう。 彼は大通りから少し外れたところにあるSt.
John's
Rdで車を止めた。あたりに数軒、土産物屋とサリー店が集まって立っている。 店は薄暗く、店員もだらけたムードだけれど、サリーの品数は豊富だし、質やデザインのよさそうなものも多い。結局、この店で1枚購入。隣のマイソール・シルク専門店は、また一段とリーズナブルな上に、シルクの質も抜群。ただ布を買う、と考えるだけでも相当に安い。これで何か、別のものを作りたいくらいだ。 そんなこんなで、本日もサリー2枚を購入。いずれインドに住むかもしれないし、腐る物でもなし。買っておいても悪くないだろうと、自分に言い聞かせながら。 サリー以外にも、シルクのショールを母や妹に買う。 さて、3軒目は民芸・工芸品店。ここではカルナータカ州特産のサンダルウッド(白檀)製品がたっぷりあった。小さなボトルに入ったサンダルウッドの精油を勧められる。ものすごくいい香り。バスタブに垂らしたり、アロマセラピーに使ったり、いろいろとできそうだ。 店の人曰く、この精油は政府のコントロールのもと、白檀の乱獲を防ぐため毎年数量が限定された上で作られている。従って非常に貴重品で、海外では高値で取り引きされている。これは20ドル程度と高いけれど、それ以上の価値は十分にある。 「ほんとうに?」「ちょっと高すぎない?」「2本買うから安くしてよ」 あれこれと交渉するが、彼は絶対に譲らない。それもまた、作戦か。しかし、サンダルウッドは母も好きな香りだし、いいお土産になる。2本、買うことにした。ホテルに戻ったあとインターネットで検索したら、海外の市場(日本を含め)に10倍以上の値段で出回っているのを知り、非常にうれしくなる。 ラルはわたしが買い物をする間、店の外で誰か顔なじみらしき人と話をしている。インドでは、どこにでも、手持ちぶさたで暇そうにしている人がたくさんいる。話し相手を見つけるのには困らないところだ。 マイソール・シルクの店にだけは彼も入ってきて、店主と顔なじみなのかおしゃべりをしていた。ちなみにどちらのサリー店も、わたし以外にお客はおらず、これで商売が成り立つのか、という感じの呑気さが漂っていたが、賑やかなツーリスト向けの店よりも職人気質の感じられるたたずまいだった。 Karnataka Cottage Emporium Mysore Silk Emporium Kaveri Arts, Crafts & Silk
Emporium すっかり買い物付いているわたしを見たラル。 「カシミア製品のいい店を知っているけれど、行ってみる?」 こうなったら行くしかない。ランチタイムで空腹にも関わらず、こんなに手際よくいい店を見つけられることは滅多にないことだから、連れていってもらう。 その店は、わたしが当初行きたいと思っていたSofina
Plazaのすぐそばにあった。背の高いハンサムなお兄さんが店番をしている。甘くておいしいお茶を出してくれた。何かのハーブ入りお茶で、名前を聞いたが忘れてしまった。 彼は棚に並んだパシュミナを差しながら、まずはクオリティについての説明をしはじめた。海外で売られている、薄手のパシュミナがいかに粗悪品か、パシュミナといってもぴんからきりまであって、織りが甘いものはすぐにだめになる……。といったことを、商品を取りだし、布をひっぱったりつまんだりしながら説明してくれる。 わたしは、大きなストールではなく、マフラータイプのものを買うことにした。前回、インド旅行の際、父がマフラーを欲しがっていたので探したのだが、見つからないままだった。 あれこれと広げてもらったところ、黒地にペイズリー風の柄が入ったおしゃれなデザインのものを見つけた。その1枚は父に。あと2枚、黒地に渋めの赤や茶色で美しい刺繍が施されたものもとりあえず購入することにした。3枚買うからと、しつこく値下げ交渉。 提示額の約2割引で何とか交渉成立。デザインは素敵だし、肌触りもいいし、シンプルなハイネックのセーターなどにとてもよく合いそうだ。 SAKS FIFTH AVENUE やBARNEYS NEW
YORKあたりでは3倍、いや5倍くらいの値段で売っていそうだ。なんて計算をしてしまうのもいささか浅ましいけれど、非常にご満悦。 United Cottage Industries
Emporium ■そして極楽のフェイシャル体験。おすすめコスメも教わる。 実は本日、待望のフェイシャルの予約を入れていたのだ。スパは、前回の旅行で行きそびれた、義父ロメイシュの友達の娘が経営する店。例の「父はインド人、母はフランス人とアイルランドの混血」の娘である。ちなみに彼女の姉はコマーシャルのモデルだ。詳しくは2003年12月の旅日記に書いたので割愛するが、オーストラリアで修業したという彼女のフェイシャルをぜひとも体験したかったのだ。 またしてもラルに送ってもらい、1時間半後に迎えにきてもらうことにした。わたしはランチを食べる時間もなく、近所の商店でビスケットを買い、歩きながら数枚食べてスパへ。 そこは非常にこぢんまりとした、おしゃれでもなんでもない店だったけれど、初めて会ったエステティシャンの彼女を見てびっくり。もう、「もち肌の極致」という感じの、滑らかですべすべなお肌なのだ。挨拶をしていると、髪を切ってもらっている女性が手を振る。あら、お母様だ! と、奥の部屋から髪の毛を拭き拭き笑顔でやってくる女性。あら、モデルのお姉さまも! 偶然に、彼女らも今日、スパな一日だったらしい。 詳細を記すと長くなるのでまたしても割愛するが、そのフェイシャルは、抜群だった。しかも、インドの安っぽい、しかしアーユルヴェーダの科学に基づいて作られたナチュラルなプロダクツもまた、わたしの肌に非常に合ったようで、べたつかない、滑らかな、しかし「もちっ」とした感触に仕上がって、最高だった。 しかも、値段が、猛烈に安かった。フェイシャルは色々とメニューがあるが、3ドルから。3ドル。300円ですよ! わたしが施してもらったのは、もっともゴージャスなアロマセラピー付きマッサージフェイシャルで、これが10ドル。1000円程度。自ずと顔がほころぶと言うものだ。 ほかにも、ヘアカットとかマッサージとか、いろいろあって、どれもこれもリーズナブルで、それはもう、インドの物価を考えれば適切な値段だけれど、米国や日本と比べるのはナンセンスだけれど、でもホテルのスパなんかは高いわけだから、やっぱり、このローカルの魅力は絶大。 毎週来たい! と思った。本当に、気持ちよかった。今こうして書きながらも、行きたい衝動が沸き上がってくる。次はマッサージもマニキュアもペディキュアも、フルでお願いしたい! と思う。 Soul Beauty
Salon 時間通りにラルが迎えに来てくれて、無事にホテルに戻る。ラルのお陰で、効率よく、楽しい一日を過ごすことができた。 夜はホテルのチャイニーズで、久々に夫とふたり、ゆっくりとした気分で夕食。しかし、ムンバイのあのチャイニーズのおいしさには及ばず。あの店は本当に、よかった。
BANGALORE, APRIL 23,
2004
ブラウスとペチコートを除けば、ただ、長い布を身体に巻き付けるだけ。
なのに、無数の素材の、無数の色の、無数のデザインの、その果てしない魅力。
もっと、色々なサリーを見てみたい。触れてみたいと思う。
今日もまた、街に出よう。
ホテルの外に出たら、いた。ニコニコしながら、ラルはこちらに近づいてくる。
「今日も何時間か、お願いしたいんだけど」
「ノー・プロブレム!(問題ない)」
普通、インド人が「ノー・プロブレム!」というときには、
プロブレムがたっぷり、の場合が多いのだけれど、
彼の場合は本当に、問題ない、という感じ。
さて、今日のわたしは、どこへ行って、何を見つけるのだろう。
4月23日(金)
47 St. John's Road, Bangalore/ phone: 5560367
65 St. John's Road, Bangalore/ phone: 5596426
49 St. John's Road, Bangalore/ phone: 5567245
139 Kalpatharu Super Bazar Building, Infantry Road,
Bangalore/ Phone 56974391
No.5 Ground Floor, 2nd Cross, Vasanth Nagar, Bangalore/
Phone 22350983
ラルが連れていってくれたジョンズ・ロードの土産物&サリーショップのある界隈。 ここがすばらしきフェイシャルを堪能できるスパ。設備はいまいちだけれど、いいんです。 右の二つは「政府公認」のサンダルウッド精油。統一したボトルではないところが怪しくていい加減。でもいい香り。背後はヘアマッサージのために買ったココナツオイル。もう、お菓子みたいな甘〜い香り!