■初めて自分で、サリーを買う。
お腹が空いてきたけれど、ランチはホテルで食べるとして、今日はホテルに置かれていたシティガイドで見つけたサリー店にも行っておきたい。ラルに店名を告げると、「OK!」と行って、再び車を走らせる。
その店は旅行者相手の大型店で、だからこそシティガイドに広告が出ていたのだろうけれど、サリーの品揃えは今ひとつ、ピンとこない。値段も相当に高い。なんだか違うな。と思いながら、何も買わずに店を出た。するとラルが言う。
「マダム。サリーが欲しいのなら、僕がいい店を知ってますよ。すぐこの近くに。行ってみますか?」
ならば、と彼の勧めに従って、小さな店のドアを開けた。のんびりとしたムードの店内。壁にはサイババの写真が大きく貼られている。
店のおじさんは、次々にサリーを広げてくれる。でも、わたしには自分の好みの色があるので、「ちょっと待って」と、色とりどりの反物で覆い尽くされた壁を、しばし見つめさせてもらう。
店の人が冷たいジュースを出してくれた。ジュースを飲みながら、しばし、あれこれと見比べる。羽織ってみる。くるりと回ってみる。
最終的に絞り込んだ2枚を購入。1枚は、かなり高級感のあるゴールドとえんじ色の、厚みと光沢のあるシルクのサリー。全体に美しい花模様の刺繍が施されている。それからもう1枚は、ややカジュアル系の、しかし精緻な刺繍がすばらしい黒とえんじ色のシルクのサリー。どちらも相当に気に入った。しかも値段は、先ほどの店に比べると全体に「現地価格」で安い気がする。非常にうれしい。
買い物を終えたら、途端にお腹が空いたので、ホテルに戻る。ラルとのドライブ時間は3時間。とはいえ30ルピーでは余りにも安すぎる。いい店も紹介してもらったし……と、50ルピーを渡す(しかし、後になってそれも安すぎたと思う)。
ラルは笑顔で、「じゃあ、明日も!」と言って去っていった。オートリクショーの相場がよくわからないから何とも言えないが……。よかったんだろうか。
ホテルのランチが終わる寸前に滑り込むように、レストランへ入り、軽くスープとパンを食べる。
■嵐の夜。ディナーはロメイシュ&スジャータと4人で。
午後はホテルでリラックス。やはり読書をしたり書き物をしたりして過ごす。有料とはいえ、ワイヤレスのインターネットにも接続できるのでメールの送受信も問題ない。
プールサイドでくつろごうかと思いきや、夕刻になって雨が降り出した。やがてロメイシュとスジャータがやってきて、ホテルで夕食。猛烈な風雨で、天窓から雨漏りが! テーブルを移動したりで慌ただしい夕餉。
スジャータはホテルから車で15分ほどのところに住んでいて、ロメイシュもそこに泊まっている。ちなみにスジャータの夫ラグバンは、現在ロンドンに出張中で明後日、帰国するとのこと。
スジャータに今日のオートリクショーのことを話すと、その料金は安すぎる。おかしい。と驚いていた。多分、サリー店などからコミッションをもらっているのだろう、ということで決着した。
わたしが何も買い物をしない可能性はあったものの、しかし「質がよくリーズナブルな商品を見せられれば、誰でも買い物をする」という経験値に基づいての、ラルの作戦だろうか。いずれにせよ、お互いがいい思いをしているならば、何の問題もない。
ところでスジャータによれば、わたしが今日立ち寄った市場は「Shivajinagar(通り)にあるRussell
Market」であろうとのこと。
食後、二人は雨が止んだところで帰宅した。翌日彼らに聞いたところによると、この日の風雨であちこちの木がなぎ倒されたり、道路が水没して閉鎖されたりで、家に着くまで1時間以上もかかったとか。
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