SCENE 23: わたしをマーケットへ連れてって。
BANGALORE, APRIL 22, 2004

オートリクショーのドライバー、ラルが連れていってくれたローカル・マーケット。
野菜や果物の店が立ち並ぶ市場。
子供からおじさんまで、この街の人々もやはり「写真撮られたがり」。
楽しげな笑顔があちこちに散らばっていて、野菜や果物を眺めるよりも、
彼らの表情に引き込まれる。


(Russell Market)

ジャスミンの花輪に網をかけている少年。いい香りが漂っている

ターザンみたいにぶら下がって出入りするのがいかにもクール!

 

外では日差しをよける傘を差して商う人が

マンゴーのシーズン。大きいもの小さいもの、黄色いもの緑のもの、いろいろとあります

ひたすら山の如く積み上げられたトマト。これは何日で売れるのだろう。下の方は腐らないの?

 

こちらも「ターザンの綱」を誇らしげに握りつつ、記念撮影を。

市場の斜向かいにある1818年建設の聖メリー・バジリカ教会

選挙の最中でしたので。ソニア・ガンディの全身写真。


■初めて自分で、サリーを買う。

お腹が空いてきたけれど、ランチはホテルで食べるとして、今日はホテルに置かれていたシティガイドで見つけたサリー店にも行っておきたい。ラルに店名を告げると、「OK!」と行って、再び車を走らせる。

その店は旅行者相手の大型店で、だからこそシティガイドに広告が出ていたのだろうけれど、サリーの品揃えは今ひとつ、ピンとこない。値段も相当に高い。なんだか違うな。と思いながら、何も買わずに店を出た。するとラルが言う。

「マダム。サリーが欲しいのなら、僕がいい店を知ってますよ。すぐこの近くに。行ってみますか?」

ならば、と彼の勧めに従って、小さな店のドアを開けた。のんびりとしたムードの店内。壁にはサイババの写真が大きく貼られている。

店のおじさんは、次々にサリーを広げてくれる。でも、わたしには自分の好みの色があるので、「ちょっと待って」と、色とりどりの反物で覆い尽くされた壁を、しばし見つめさせてもらう。

店の人が冷たいジュースを出してくれた。ジュースを飲みながら、しばし、あれこれと見比べる。羽織ってみる。くるりと回ってみる。

最終的に絞り込んだ2枚を購入。1枚は、かなり高級感のあるゴールドとえんじ色の、厚みと光沢のあるシルクのサリー。全体に美しい花模様の刺繍が施されている。それからもう1枚は、ややカジュアル系の、しかし精緻な刺繍がすばらしい黒とえんじ色のシルクのサリー。どちらも相当に気に入った。しかも値段は、先ほどの店に比べると全体に「現地価格」で安い気がする。非常にうれしい。

買い物を終えたら、途端にお腹が空いたので、ホテルに戻る。ラルとのドライブ時間は3時間。とはいえ30ルピーでは余りにも安すぎる。いい店も紹介してもらったし……と、50ルピーを渡す(しかし、後になってそれも安すぎたと思う)。

ラルは笑顔で、「じゃあ、明日も!」と言って去っていった。オートリクショーの相場がよくわからないから何とも言えないが……。よかったんだろうか。

ホテルのランチが終わる寸前に滑り込むように、レストランへ入り、軽くスープとパンを食べる。

 

■嵐の夜。ディナーはロメイシュ&スジャータと4人で。

午後はホテルでリラックス。やはり読書をしたり書き物をしたりして過ごす。有料とはいえ、ワイヤレスのインターネットにも接続できるのでメールの送受信も問題ない。

プールサイドでくつろごうかと思いきや、夕刻になって雨が降り出した。やがてロメイシュとスジャータがやってきて、ホテルで夕食。猛烈な風雨で、天窓から雨漏りが! テーブルを移動したりで慌ただしい夕餉。

スジャータはホテルから車で15分ほどのところに住んでいて、ロメイシュもそこに泊まっている。ちなみにスジャータの夫ラグバンは、現在ロンドンに出張中で明後日、帰国するとのこと。

スジャータに今日のオートリクショーのことを話すと、その料金は安すぎる。おかしい。と驚いていた。多分、サリー店などからコミッションをもらっているのだろう、ということで決着した。

わたしが何も買い物をしない可能性はあったものの、しかし「質がよくリーズナブルな商品を見せられれば、誰でも買い物をする」という経験値に基づいての、ラルの作戦だろうか。いずれにせよ、お互いがいい思いをしているならば、何の問題もない。

ところでスジャータによれば、わたしが今日立ち寄った市場は「Shivajinagar(通り)にあるRussell Market」であろうとのこと。

食後、二人は雨が止んだところで帰宅した。翌日彼らに聞いたところによると、この日の風雨であちこちの木がなぎ倒されたり、道路が水没して閉鎖されたりで、家に着くまで1時間以上もかかったとか。


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