SCENE 20: そしてまたいつか。
MUMBAI (BOMBAY), APRIL 20, 2004

5泊6日が過ぎていた。ムンバイとも、まもなくお別れ。すっかり見慣れたこの回廊を、次に歩くのはいつだろう。

荷造りを終え、最後のランチは、プールサイドのテラスで、チキンティッカのピタ(チキンのカレーがポケット状のパン「ピタ」に入ったもの)を食べ、ビールを飲んだ。5泊もしたのに、淡泊だったなあと思いながら。

このホテルは夫にとって、懐かしい場所だった。祖父と一緒に暮らしていた子供のころ。祖父の出張の折、姉とともに同行し、何度かこのホテルに泊まったのだという。

ぎっしり詰め込んだ打ち合わせの合間、一緒に過ごしたわずかな時間に、彼は思い出の断片を、話して聞かせてくれた。


 
 


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