SCENE 16: どちらに属しているのか。どちらにも? どちらとも?
MUMBAI (BOMBAY), APRIL 19, 2004

涼しい空気に包まれた、ホテルの静かなラウンジで、ランチを食べ、コーヒーを飲む。
バンドの演奏を聴きながら、心に浮かぶをノートに綴る。
時折、窓の向こうを見やる。
インド門の周辺にあふれる人々を、まるで映画でも観るように。

さまざまな世界に足を踏み込むことができる自由のすばらしさ。
妨げられることなく、望む場所へ、行こうと思えば行けることのありがたさ。

その自由は与えられたものではなく、ましてや特権でもなく、
ひとつひとつを、自らの手で掴み取ってきたものだ、という自負がある。

しかし、この国にいると、掴み取ろうにも掴み取れない「出生」という刻印があることを、
しかし、この国にいると、目前に突きつけられて、生まれた瞬間からの幸運についても思う。


 

 

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