SCENE 15: 二つの世界を隔てる歩道でまどろむ犬一匹。
MUMBAI (BOMBAY), APRIL 19, 2004

蒸し暑い午後。どこからともなく悪臭が漂ってくる路地を歩く。ぐるぐると歩く。
やがて、もう、ホテルへ戻ろうと思う。まるで逃げ込むように、ホテルへ戻ろうと思う。
この先を少し歩けば、左手にドアマンが立っていて、その重々しいガラスの扉を開けてくれる。
町歩きの果てにたどり着く建物の中は、まさにオアシス。
一瞬にして包まれる、冷たく軽い空気。香水のいい香り。

旅人として、ではなく、住民として、この国に身を置いたなら、
わたしの心はどのように、変化していくのだろう。
目に見える壁と、目に見えない壁とが、無数に張り巡らされ混沌と在る、この国で。


郵便ポスト

 

観光用馬車は進入禁止。の標識

 


BACK NEXT