ムンバイに限ったことではないが、それにしてもこの街にはカラスが多い。海辺に舞うカモメの代わりにカラス。公園に集うハトの代わりにカラス。あっちこっちにカラスがいる。 彼らは日本のカラスよりは幾分か小振りで、真っ黒と言うよりは深いグレイをしている。インド人女性の黒髪はまさしく日本でいうところの「カラスの濡れ羽色」だが、インドのカラスの色は浅いから、この形容は使えない。 彼らは、ときに、楊子のような、細い木切れを加えている。まさに「旅ガラス」の風情で。ひょうひょうと、空を舞い、汚い場所、きれいな場所、どこへでも、塀を飛び越え軽々と、町中を「渡り飛んで」いる。
MUMBAI (BOMBAY),
APRIL 17, 2004