SCENE 05: Go! Go! Mango!
MUMBAI (BOMBAY), APRIL 17, 2004

インドの夏。マンゴーの夏。

数あるマンゴーの中で、最も美味だと評判の「アルフォンソ・マンゴー」は、ムンバイ名物だ。街の露店の至るところで、ほのかに甘い香りを漂わせながら、マンゴーが山と積まれている。

昨日、ホテルの近くの露店でマンゴーを買おうと思った。値段を聞いたら、店の人は言った。

「1ダース、600ルピー」

1個あたり50ルピー。つまり1ドル程度。インドの物価にして、これは高い気がする。

「じゃあ、いらない」と、わたしが言うと、

「ちょっと待って。じゃあいくらなら買うのか?」と、店の人は問う。

なんだかくたびれていて、値段の駆け引きをするパワーがなく、そのまま立ち去る。

通りすがりの別の店で、また値段を聞いた。「3個で300ルピー」と言われた。つまり1個が2ドル程度。観光客だからって、それはふっかけすぎと言うものじゃなかろうか。

それではいったい、マンゴー1個の相場はいくらなのか。ホテルの人に尋ねてみた。彼曰く、

「そうですね。ひとつあたり、20〜30ルピー程度でしょうか」

そして今日。カメラ店に寄った帰り、ムスリムのエリアを歩いていたら、黄金色の見事なマンゴーを積んだ屋台を発見した。

ムスリムの、白い衣装を身につけた男性が二人。

「そのマンゴー、おいくら?」

「80ルピー、XXXXXX(聞き取れなかった)」

「えっ、1個が80ルピー?」

「ノーノー! 1ダース、12個で80ルピーだよ!」

二人は笑いながら答えた。や、やすい……。でも、12個は多すぎるから、半分の6個を買うことにした。

「じゃあ、40ルピーね。このマンゴーは本当においしいよ。また買いにおいで!」

「ありがとう!」

なんだかものすごくうれしくなって、ビニール袋を片手に、足取りが軽くなった。


ムスリムのエリアを過ぎると、今度はジュイッシュのエリアが現れる。これはシナゴーク(ユダヤ教会)。

→マンゴーを持ってホテルに戻ったら、なんとホテルからのサービスで、マンゴーが3つ、サイドテーブルに。一気にマンゴー三昧である。

でも、マンゴーを食べ過ぎると身体が冷えるから、一日1個、多くて2個程度にしておいたほうがいいと、のちにバンガロールにて、義姉スジャータに指摘された。ちなみに、バナナなども含め、南国のフルーツは身体を冷やす作用があるので、食べ過ぎに注意。

 

アルフォンソ・マンゴーは、夢みたいな味がした。甘酸っぱくて、柔らかくて、ほのかに花の香りがして、果汁が豊かで、目が覚めるような山吹色で……。


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