5月14日深夜。DC発パリ経由のエールフランス機は、無事にムンバイ国際空港に到着した。この街を訪れるのは初めてだが、もうすでになじみのある、この国特有の匂いと喧騒。湿気を含んだ空気。オレンジ色の夜。 今回は、夫の出張に伴っての旅である。つまり、わたしはほとんど、連日自由行動だ。いつもなら、ある程度、細かな旅のプランを立てて出発するところだが、今回は何の用意もない。敢えて予定を詰め込みもしない。これからの約2週間を、ただ気ままに、インドという国に身を置いてみようと思う。 さて、旅の起点、ムンバイ。ここは、インド随一の大都会だ。ニューデリーとムンバイの位置づけは、ワシントンDCとニューヨークのそれに、少し似ている。 ムンバイは、貿易の拠点であり、インド経済、文化の中心地でもある。映画王国インドの、映画産業が集中しているのもまたこの都市だ。ハリウッドにちなんだ「ボリウッド」という通称も、広く知られるところである。 人口も格別に多く、貧富の差もまた著しい。大金持ちと大貧民が渾然一体となって息づいている。 ……ということだが、さて、どんな街なのだろうか?
MUMBAI (BOMBAY),
APRIL 14, 2004
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