●あさましいもの。日本のテレビ番組に見る「大食いバトル」 日本の新聞の衛星版を開く。お正月のテレビ番組の欄に目を走らせる。このテレビ欄というのは、日本の世相をつかむのに、実はとても役に立つ。詳細はわからなくても、見出しや説明文を読んでいると、大まかな見当が付くからだ。 それにしても勘弁して欲しいのが「大食いバトル」系の番組。この件については不快に思っている人たちが多いようで、たまたま訪ねたサイトでも辛辣なコメントが掲載されていて、大いに同意した。 いったいなんなんだろう。日本人の多くは、こんな番組を楽しく見ているのか?需要があるから供給するわけでしょ? どうにもわからない。 忌々しいが、手元にある1月3日の新聞を、そのまま書き写す。 ------------------- ●フードバトルクラブ!(1/3/2002 TBSテレビ) ●TVチャンピオン!(1/3/2002 東京テレビ) 「元祖・大食い選手権史上空前、かつて類を見ないスゴすぎる勝負『2時間ラーメン食いっぱなし駅伝』」白田、赤坂、岸…最強6人衆VS大食い屈強男100人最速1杯19秒、逆転また逆転…壮絶ゴール▽「甘味大食い女王戦」おしるこ7「ペロリ、赤坂を脅かす美女出現▽世界遠征タイ屋台30軒完食 ------------------- ああ。書き写しているだけで気持ち悪くなるくらいだ。これを見て楽しむ人がいるのかと思うと、本当にげんなりする。だいたい日本は不況なんじゃないのか? 別に分別くさいことをいいたくはないが、おかしくないか? 「右腕骨折…それでも意地とプライドで食べ続ける…感動決戦に涙」って、どう考えてもおぞましい。こんなもん見て涙流すヤツが本当にいるのか? 「厳選・高級料理が瞬く間に驚異の胃袋へ」 私が高級店の店主なら、こんな番組に絶対に参加しない。「有名店のカリスマ料理10「」にしても同じだ。 たとえそれが家庭のささやかな料理であれ、私はゆっくりと味わって欲しいと思いながら作る。高級店の店主ならば、料理に対する思い入れは尚更のことだろう。なぜ、「味わう」どころかゴミ捨ても同然の処理のされ方に対して、不満を抱かないのだろう。 まさか宣伝になると思っているのか。私なら、そんな「有名店」には絶対に行かない。 ところで出演者の「白田」という人物は両方の番組に出ているが、同一人物か。だとすると、いっそう訳がわからない。同じ日の同じ時間帯、別の番組に出演しているのだ。 番組のプロデューサーは、いったい何を考えているのだろう。 昔からこの手の番組は苦手だったけれど、正月早々何時間も、同じ様なことを2つの局がやっているということがどうにも信じられない。ばかみたい。 いやね、ニューヨークのコニーアイランドっていう昔ながらの遊園地で、元祖ホットドッグのネイサンズという会社が、毎年早食い競争をしてるんだけどね。数年前から、日本人の、それもひょろりと痩せた青年達が、連勝しているのだ。 他の参加者は大デブなアメリカ人ばかり。そんな中で、日本人の青年が、ホットドッグを「噛まずに飲み込んで」恐るべきスピードで食いまくるわけよ。 はっきりいって、気味悪い。はっきりいって、座が白ける。数年前、初めて日本人が優勝したというニュースを見たときには、「へえ〜」くらいにしか思っていなかったのだが、数年続きで、上位を日本人が占めていたり、飲み込んでいるという話を聞いた途端に、もう、なんともいえない気持ちになった。 恥ずかしい。情けない。格好悪い。素朴な遊園地の素朴な競技に、それは違う空気を吹き込んでいるよ。 今回、「世界遠征タイ屋台30軒完食」というくだりをみて、何としても一言言いたくなり、これを書き始めた。 日本でやるには構わない。でも、わざわざ海外でこんなバカなまねはやめてほしい。いろいろと善人めいたことをいうつもりはないが、あさましすぎる。みっともなさすぎる。 もっと世界に目を開け!! ※「あさましい」ついでに言えば、福袋めがけて殺到して6人が怪我をするというニュースも信じがたかった。 (1/10/2002) |