●Home Sweet Home

ニューヨークで生活をはじめたのも、仕事をがんばっているのも、私にとってそれらは「憧れ」から来るものではなく、あくまでも「目標」だった。

確かに渡米1年前に「ニューヨークに来たい」と思い始め、そのために努力をしたのは事実だ。しかし人から「憧れの街に住めていいですね」と言われると(ちょっと違うんだけどな)という違和感がいつも心にある。もちろん、何も言わずに同意してはいるけれど。

そんな憧れ体質ではない私にも、実は長い間、憧れていたことがあった。かれこれ十年ほど、心の隅にあった憧れ。それは自分の「ホーム」を持つことだ。この場合、日本語で「家庭」と言ってはしっくりこない。あくまでも「ホーム Home」だ。

今、引っ越しの最中で、手元に辞書がないから確かめられないが、ホームには「家庭」のほかにも、拠点だとか拠り所、故郷といったニュアンスの意味合いが込められていると思う。ホームという響きは私に、とても温かい場所を連想させる。

記憶は定かではないが、「風と共に去りぬ」ではスカーレット・オハラが「ホームに帰ろう」みたいなことを言ったような気がするし、E.T.だって、地球外から来たにも関わらず "E.T. go home!" と叫んでいたような気がする。違ったっけ?

ま、ともかく、私はようやく「ホーム」を築くことができたのだ。私も、夫も「ただいま」「おかえり」と言い合える一つの拠点ができたことを、心からうれしく思っている。二重生活からようやく一重になる。(1/21/02)

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