July 31th., 2003 来月から、16週間の大学生

来月末から、ジョージタウン大学の英語専門集中コースに行くことにした。
多彩なサブジェクトのある社会人向けのコースから、興味のあるものを選ぼうかとも思った。
でも、やっぱり、もっとしっかり、英語を勉強したい。という気持ちの方が強かった。

この「片隅の風景」も、最初は日英両方で書き始めていたのだけれど、
自分の英文の、あまりのつたなさに、公表できず、眠ったまま。

来年には、英語版「片隅の風景」を開設できるよう、英語力に磨きをかけるぞ。

 

 July 30th., 2003 エビのココナツミルクカレーはいかが?

スジャータが教えてくれた中で、もっとも濃厚でリッチな料理。とても簡単にできあがる。
●鍋に多めのオイルを入れて熱し、ベイリーフを数枚入れる。更に、クローブ、グリーン・カルダモンの実をそれぞれ5〜8粒入れて炒める●スライスしたタマネギ(中1個)を加えて黄金色になるまで炒める●ブレンダーでペースト状にしたタマネギ(中1個)を加え、ターメリックをふりかけ、全体にしんなりと薄茶色になるまで炒める●ココナツミルクの缶詰を1缶、ザブンと入れる●ぐつぐつしはじめたら頭付きのエビ(好きなだけどうぞ)をズササッと入れる●塩などで味を調える 分量は、自分の好みで適当に増減可能。多少量が違っても、「それらしいおいしさ」になるところが魅力。エビは頭・殻付きだと「だし」が出ておいしいけれど、食べづらいという人には剥いてから、どうぞ。豆のスープや野菜などの付け合わせとともに召し上がれ。

 July 29th., 2003 きらきら

形状記憶の針金に、きらきらのクリスタルの滴をつなぐ。
つけたりはずしたりが、とても簡単なのがいい。

Tシャツにも、タンクトップにもよく似合う。

日本じゃすっかり、おなじみだろうけれど、
アメリカじゃ、流行っているとはいえ、そんなには見かけない、ビーズのアクセサリー。

もうしばらくは、あれこれと、作ってみようと思う。

 July 28th., 2003 フルーツ。

このところ、食べ物の写真が続いているので、今日は違う「片隅」を、と思ったのだけれど。
昨日買ってきたフルーツを器に盛り付けたら、
そのさまが、まるで一葉の静物画のように美しかったので、思わず。

それにしても、今の季節はネクタリンやピーチ、プラムがおいしくて。

甘くて、香りがよくて、濃厚で。
1日のうちに、2つも3つも食べてしまい、
あっというまになくなってしまう。

 July 27th., 2003 日韓友好

月に1、2回、郊外へ車を走らせ、コリアン系「スーパーHマート」へ出かける。
野菜、魚介類、加工食品……、アジアの、特に韓国と日本の食材が豊富に揃っている。
一般のスーパーマーケットに比べて、生鮮食料品の値段が安いのもいい。

アメリカで暮らし始めるようになって、韓国がより身近な国に感じられるようになった。
日本の米の横に韓国の米。日本の海苔の横に韓国の海苔。日本の豆腐の横に韓国の豆腐……。
日本と韓国が、まるで兄弟のように、仲良く並んで陳列されている。
それが、ごく自然な、見慣れた光景になったこのごろ。

 July 26th., 2003 森永のホットケーキミックスに舞い戻る。

Upper West Sideの"Good Enough to Eat"。バナナ・ウォルナッツパンケーキが大好きだった。
ピンク色のストロベリー・バターに香りのいいメープルシロップ。頬張るひと口目の幸せ。
アメリカのパンケーキは、牛乳の代わりに「バターミルク」を使う。バターを作ったあとに残る脱脂乳を加工した、酸味のあるミルク。この酸味が、生地をふんわりさせるのだとか。
「理想の味」を求めて、色々なパンケーキミックスを試したり、小麦粉で一から作ってみたりしたけれど、結局、子供のころからなじみのある森永のホットケーキミックスに戻ってきた。でも、レシピ通りだと分厚くて少しパサパサするから、少々アレンジ。バターミルクを使うといいのだろうけれど、冷蔵庫に常備していないので、普段はレシピよりも多めの水に卵、それにヨーグルトを加えて作る。こんがりきつね色に焼き、3段に重ね、室温に戻したバターを載せ、メープルシロップをくるりとかける。きめが細かくて、しっとりとしたパンケーキのできあがり。
ベリー類とヨーグルトがたっぷりの、冷たいスムージーとともに、いただきます。

 July 25th., 2003 ロイヤルの思い出。

アメリカにダイナーが誕生したのは100年以上前。全盛期は第二次世界大戦の前後だった。
「機械時代(Machine Era)」を象徴するような、シルバー・メタリックなインテリア。朝から晩まで開いているダイナーは、ジュークボックスも賑やかに、当時の大切な「社交場」だった。
今日、郊外に出かけ、華やかなりしころのダイナーを再現したレストランでランチを食べた。
ファミリーレストランの先駆、ロイヤル創業者の江頭氏は、戦後訪れたというアメリカで、こんなダイナーに入ったのだろう。子供の頃、親に連れられて行った新天町にあるロイヤル。パンケーキ、ハンバーグ、ミルクシェーク、チョコレートサンデー、ドリア、ピザ……。そこにはきっと、アメリカの空気が漂っていた。そして今。日本の食文化の一端を担っているファミリーレストラン。今のロイヤルホストが米国にオープンしたら、きっと流行るのではないかと思う。

 July 24th., 2003 レストランでは味わえない、やさしくてマイルドな、インドの家庭料理を。

インドは広い。だから無数の家庭料理がある。義姉スジャータが教えてくれた料理を作った。
ホウレンソウとチーズのカレー。牛乳を煮立たせ、レモンを絞り、濾してチーズを作る。
豆のカレーは、タマネギやトマトをたっぷり入れて、ゆっくりぐつぐつと煮込む。
付け合わせは、皮付きのジャガイモ。ゆでたユーコンポテトをバターで炒めて風味付け。
そしてライスは、インド料理に合わせての、ちょっと乾いた長粒米を炊く。
ガーリック、ジンジャー、ベイリーフ、チリ、シナモン、クローブ、カルダモン、コリアンダー、ターメリック、キュミン、ブラウン・マスタード、フェネグリーク・シード、フェネル・シード……。さまざまな種類のスパイスを、少しずつ使って、香りのいい味に育てる。
お腹にやさしく、だけど食べ応えのある、とてもヘルシーなベジタリアンの食卓。

 July 23rd., 2003 20数年ぶりに。

アメリカでも、「グリーンティー・アイスクリーム」は定番になりつつある。
けれど近所のスーパーマーケットには売っていないので、作ってみることにした。
レシピは、高校時代、頒布会で購入していた千趣会の「お菓子の時間」という本。
抹茶アイスクリームは、思えば高校時代に、一度作ったきりだった。
抹茶、牛乳、砂糖、卵黄、生クリーム、バニラエッセンス、コーンスターチ、キュラソー。
固まるまでは、数時間おきに混ぜて空気を入れねばならず、それが面倒であり、楽しくもある。
夜には、クリーミーでやさしい味の、抹茶アイスができあがった。

「これ、本当に坂田が作ったと? おいしか〜!」 20数年前の、友人の声が、蘇る。

 July 22nd., 2003 夏の友

日本の家電に慣れていたわたしにとって、アメリカのそれはあまりにも大ざっぱだった。
使い勝手が悪いもの、騒音が激しいもの、耐久性のないもの……。扇風機も例に漏れず。
冷房が苦手なわたしにとって、扇風機は夏の必需品。「納得の商品」を見つけるのに苦労した。

ここ数年、愛用しているのは、この小さな、プロペラ機のような扇風機。
頑丈で、シンプルで、静かで、首が回り、風圧は3段階。もうそれだけで合格だ。
背丈の調節はできないし、タイマーもないし、少しもモダンではないけれど、
ややこしい機能をたっぷり備えた挙げ句、故障しやすいものよりはずっといい。
今日も、小さな台に乗せられた我が扇風機。右へ、左へと、首をふりふり、風を送る。

 July 21st., 2003 日曜夕暮れ散歩道

日が翳るころは、蒸し暑さも和らいで、木の葉を吹き抜ける風が涼しい。

空や雲や、鳥や犬や、木や花や、家や庭や、を、

ふわりふらり、ゆるりゆらり、見やりながら、めいめいに、歩く。

物も言わず。

たまに、思い出したように、手をつなぐ。

 July 20th., 2003 摘みたての朝。

「今朝、摘んできたの」
そう言いながら、昨日、友人がくれたブルーベリー。
大粒で、瑞々しくて、洗う前からもう、すぐに口に入れたくなってしまう。
そして日曜の朝。いつものように、ワッフルを焼く。
ブルーベリーは、ヨーグルトに混ぜようか。スムージーにしてもおいしそうだ。
いや、このまま一粒一粒食べるのが、一番だろうな。
そう思ううちにも、一粒、二粒と、口の中に消えていく。

それにしても、「摘む」という言葉の、かわいらしさよ。
花を摘む。果物を摘む。髪を摘む。爪を摘む。

 July 19th., 2003 罪なパン。

今日、何気なく入ったフレンチ・ビストロで。

注文をしたあと、料理が届くまでの間に、テーブルへ運ばれてくる水やワインやパン。
紙袋に入ったまま無造作に出されたブレッド。
袋から取り出そうとして、その温もりに思わず頬が緩む。
パリッとほどよく乾いたパン。ちぎれば、中はほんのり柔らかく。
こんなパンが、本当に好き。おいしいバターが添えられていると、さらに幸せ。
ついつい、料理が来る前にパンばかりを食べ過ぎてしまい、
いけないと思いつつも、やめられなくて。

 July 18th., 2003 匂い

バーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)は、この国で一番大きなブックストアのチェーン店。
初めてこの書店に入ったのは、1996年5月。ある晴れた午後のマンハッタン。
かつて住んでいたアパートメントの近く、66丁目とブロードウェイにある店だった。
地下1階から地上4階まで。そのスケールの大きさに驚いた。
店内のソファーでくつろぎながら本を読んでいる人がいるのにも驚いた。
店内のスターバックス・カフェで、店の本を読みながらコーヒーを飲む人たちにも驚いた。
以来、ここは、わたしのアメリカ生活で、かけがえのない場所の一つになった。
どの店にも共通して漂う、本の匂いと、コーヒーの匂いが入り交じった、独特の匂いが好き。
何となく、背筋がしゃんとする、ちょっと緊張感のある匂い。

 July 17th., 2003 蝋燭

どんな祈りも、炎に託す。
小さな蝋燭の、光に託す。

 July 16th., 2003 花柄回想

今から丁度10年前。わたしは東京都世田谷区用賀に住んでいて時に電車で二子玉川園へ行った。そこには高島屋がありお洒落な若奥様がたくさんいたがしかし、わたしは別世界に住んでいた。無論東京にいたころは、たいていどこにいても根本的には居心地が悪かったので全般的に別世界だった。ひとりの週末。別段楽しくもない二子玉川園へ行った。エスカレータを上っている途中、上階のブティックからこの花柄が目に飛び込んできた。NAF NAFというそれはパリのブランドで、当時のわたしにはやや高価なシャツだったが衝動的に購入した。今でもたまに着る。今日、脱ぎ捨てたまま無精をして放置していたらちょっと皺になったので、慌ててハンガーに掛けようとして華やかな柄を見ているうち、そんなこんなを思い出した。
あのころ、わたしが心を砕いていた人は、今ごろなにをしているのだろう。などと一瞬。

 July 15th., 2003 Stop! Then Open Your Eyes.

もう、あたりはすっかり、澄み渡る空の下。
砂は取り払われ、這い出しているというのに。

もう、あたりはすっかり、明るい太陽の下。
さやさやと、やさしい風が吹いているというのに。

自ら、盛大に、過剰な労力で、砂塵をまきあげ、
「ああ、まだ見ぬ空よ」と嘆きつつ、もがき続けている。
澄み渡る、空のした。

 July 14th., 2003 ことば

わたしが、ばらばらとこぼすことば。
わたしが、はらはらとこぼす日本語。

それらの、ほんのひとかけらさえ、
拾い上げられぬ人。
ふと足を止め、
無口に、
所在なく、
見つめる。

 July 13th., 2003 幸せ朝食

「このハチミツは、本当に、本当に、おいしいのよ!」
ドライブの途中、果物を買おうと立ち寄ったファームの露店で、店のお姉さんはそう言った。
土曜の朝。ワッフルに軽くかけて食べてみた。
なんともいえない、やさしい甘さ。ふわりと滑らかな、やさしい甘さ。
日曜の朝。焼き立てのパンに塗って、シナモンを軽くまぶして食べてみた。
ほどよい甘さの、お菓子のような、ひと口。
今度は少し、きな粉をまぶしてみる。これもまた、乙な味だ。

みんなして、おいしい、おいしい、とつぶやきながら食べる朝。

 July 12th., 2003 そうよ、母さんも、長いのよ。

スミソニアンの動物園へ、散歩を兼ねて出かけた。一年ぶりに見る象の母子。
あのときはまだ赤ちゃんで、母さん象の足許にまとわりついていたのに、
今ではもう、ずいぶん子供らしく、すくすくと育っていた。
かわいらしく、あどけなく、大きなボールを転がし遊んでいたのだけれど、
ボールはうっかり、ころころころころ転がって、池の中。
けれど水に入るのが怖いのか、池の端をうろうろ歩く。
たまに長い鼻を器用に使って、水を飲んでみたりして。なんてかわいい仕草だろう。
蒸し暑い、夏の日の午後。母さん象は日陰から、我が子の様子を見守っている。

 July 11th., 2003 楽しい時間

ザイオン国立公園のビーズショップで買っておいた、大粒のクリスタル。
これらを使ってアクセサリーを作ろうと、デュポンサークルのビーズショップへ。
最低限必要なキットと、思いつくまま、数種類のビーズを買った。
金曜の夕暮れどき。ラジオを聴きながら、ビールを飲みながら、時折、夕焼け雲を眺めながら。思うままにビーズを選び、好きだと感じるがままに、色を重ね、糸を通す。
編んだりねじったりしない、ただ真っ直ぐにつないでいくだけの簡単なものだから、
あっというまにできあがって、それがとてもうれしい。
マンハッタンのファッションディストリクトには、ビーズの卸屋がたくさんある。
今度、ニューヨークに行くときは、色々な色の、色々な形のビーズを、買い求めにゆこう。

 July 10th., 2003 天の裂け目

真夜中。白く鋭い閃光と、大気を揺るがす雷鳴で目が覚めた。
大地に打ち付ける激しい雨に気が付き、飛び起きて、窓を閉める。
光…音。光……音。光…………音。眠りが深くなるように、雷雲も遠くへ。
と思いきや、再びじわじわと、近づいて来た。
光…………音。光……音。光…音。  光音!
バリバリ、メリメリ、と、手に負えないエネルギーが、地上に降り注ぐ。

昔、キナバル山で見た、稲妻を思い出した。忘れ得ぬ、美しい夜。
心は澄み渡り、不思議と静かで、神聖な心持ちの、夜。

 July 9th., 2003 ソラリスという名の

アメリカに来て以来、6年の間に、いったい何台の掃除機を買っただろう。
ノイズばかりが大きくて、そのくせゴミを吸い取れないもの。
ブラインドの紐や電気のコードを巻き込むなど、周囲を荒らし回るもの。
日本製の、小回りがきくものを使ったこともあったけれど、米国の家屋には、繊細すぎた。

そしてついに1年前、我が家にやって来たドイツの掃除機。
ちょっと大きくて重いけれど、頑丈で、シンプルで、ともかく、よく吸う。見事に吸う。
高価なのが玉に瑕だが、働きぶりに見合っている。きっと長持ちすることだろう。
無闇に機能を携えない、無駄のない、強いものが、わたしはとても好きだ。

 July 8th., 2003 我が家の流行

インドから遊びに来ている義姉は、毎朝3時間のヨガが日課だ。
彼女に影響された夫は、連日まじめに早起きをして、1時間ほどのヨガをはじめた。
義姉がおすすめの本だといって、近所のBarnes&Nobleで買ってきてくれた分厚い本。
中を開いて、著者である
ヨガマスターの写真を見て、思わず大笑いしてしまう。
いやいや笑っている場合ではなく、腰痛のあるわたしは、ヨガをはじめるべきなのだ。
ちなみにヨガは我が家だけでなく、全米で流行している。
ニューヨークにはカリスマ・ヨガマスターがいて、大金を稼いでいるとの記事を週末読んだ。
ヨガの競技を企画するなど、ヨガ本来の在り方とはかなり違うようだが……。

 July 7th., 2003 鹿が住むところ

家を出て、カテドラルを背にして、カテドラル・アベニューをくだってゆく。
お気に入りの散歩道の一つ。
色とりどりの花が咲く、丁寧に手入れされた庭を眺めながら、歩く。
5分ほども歩くと、鬱蒼とした森が現れる。何種類もの緑が、辺り一面に広がる。
森には遊歩道があって、時折、ジョギングをしている人を見かける。

「この冬は雪が多かったから、鹿たちが、餌を探しに出てきたのを何度も見かけましたよ」
森のそばのアパートメントに住んでいる人が、そう言っていた。

 July 6th., 2003 ぶどうの丘

ヴァージニア州に、いくつものワイナリーがあることは知っていたし、
そのいくつかを訪ねたことはあったけれど、詳しく調べたことはなかった。
地元のガイドブックを読んでいるうち、もっといろいろと訪ねてみたくなった。
シェナンドアから我が家への帰り道に、とてもすばらしい景観のワイナリーを見つけた。
緩やかな斜面に、規則正しく、どこまでも続くブドウの木。
近寄ってみれば、こんなにも浅くて瑞々しい緑の、まだ若いブドウの実。

秋はあたりの山々も紅葉し、ブドウも熟し、格別の光景を見せてくれることだろう。
またその頃、バスケットにランチを詰め込んで、ピクニックに来よう。

 July 5th., 2003 もしも小さな小屋の戸が開いたら……

シェナンドアにほど近く。アメリカ人の夫と、日本人の妻が経営する、温泉宿。
その広大な敷地のほんの一画にファームがあって、ヤギや、ニワトリや、クジャクがいる。
池には鴨らが悠々と、スイスイと、泳いでいる。
宿で飼っているイヌたちと一緒に、そのあたりを散歩する朝。
クジャクが羽を広げているのを見ては騒ぎ。
清流で泳いだ犬が盛大に身震いして飛び散らす飛沫に濡れては騒ぎ。

騒がしい訪問者に、そそくさと逃げるヤギたち。そしてこちらの様子をじっとうかがっている。
Pembroke Springs Retreat

 July 4th., 2003 もぎたての果物を

連休。西へ向かって車を走らせる。目指すはアパラチアン山脈の東、シェナンドア方面。
ハイウェイを降り、時間をかけて緑の中を走る。
途中、いくつもの果樹園が、露店を出しているのに出くわす。

今はピーチの季節。大振りのもの、小振りのもの。果肉が白いもの、黄色いもの……。
買ったばかりのピーチを、待ちきれぬとばかり。
果樹園の脇のベンチで、軽く皮を剥き、そのまま丸ごと、がぶりとかじる。
たっぷりとしたたる果汁に、あごや手を汚しながら。
蒸し暑さを忘れて、「おいしい」「オイシイ」と言い合いながら、食べる夏の午後。

 July 3rd., 2003 虹色の光

凝りはじめると、やめられなくなりそう。やりはじめると、とまらなくなりそう。
興味はあったけれど、なんだか遠目に見ていたビーズ。
ボストンでふらりと入ったビーズショップで、
オーストリアのスワロフスキー製、クリスタルのビーズを見つけた。
一粒手にとって光に翳すと、なんてきれいな、虹みたいな光の反射!
ついつい数十粒を購入し、店の一画でブレスレットを作った。
透明のクリスタルだけのものと、黄色、紫、透明を組み合わせたものと。二連にして左手に。

太陽に翳してみたり、ライトに翳してみたりして、ゆらゆらとこぼれ落ちる虹色の光と遊ぶ。

 July 2nd., 2003 思い出の香りを

今から十年と少し前。フリーランスになったばかりのころ。
とある雑誌の仕事で「ティーハウス」の特集を担当した。
青山にできたばかりのマリアージュ・フレールに、初めて入ったときの感激。
ミックス・フレーバリーティーというものを、初めて味わったのはこのときだった。
花や果実の香りが、たとえようもなくかぐわしい、マルコ・ポーロ、エロス、アポロン……。
黒い缶の美しさにも心を奪われ、紅茶を飲んでしまったあとも、大切にとっておいた。
近所のグルメマーケットで見かけたマルコ・ポーロを、何年ぶりかに買い求める。
茶葉かと思いきや、こんなガーゼに一つ一つくるまれた、なんてかわいいティーバッグ。
懐かしい香り。フリーランスになりたてで、一生懸命だった自分を、束の間、思い出す。

 July 1st., 2003 窓辺にて

あいにく我が家は庭のないアパートメント・ビルディング暮らし。
時折、ガーデニングをしたくなる。
自家栽培で野菜やハーブを育てたくなる。

それはいつかまた、引っ越したときに。

取りあえず、今は窓辺で緑を育てる。これは買ったばかりのバジルの鉢植え。
スパイスとして使ったり、パスタの上に散りばめたり。
あっと言う間に、葉がなくなってしまいそうな予感。

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