March, 2003 下関→東京→ニューヨーク→ワシントンDC

18歳で親元を離れた。20歳のとき、学生寮を出て、アパート暮らしを始めた。
21歳の誕生日に、友達がくれた、浅めのシリアルボウル二つ。
シリアルを食べるときはもちろん。ご飯をレンジで温めるときに。スナックを食べるときに。
ブドウやイチゴを食べるときに。夕べの残りのシチューを食べるときに。

万能サイズのこのボウルは、いつも食器棚の一番、手が届きやすいところにある。
あれから、7回ほども引っ越したけれど。他の器も買ったけれど。
裏返しても、なんの刻印もない、名もなきボウルだけれど。

 

 March, 2003 南フランスの太陽の下で

初めて南仏のプロヴァンス地方を旅した1991年春。
湾岸戦争の最中の取材旅行だった。

エクサン・プロヴァンスという街の、これは伝統工芸。
サントン人形、と呼ばれる。
小さな工房で、店のオーナーでもミシェルさんが、粘土作りに精を出していた。

人形のモデルは、ミシェルさんの、おじいさんと、おばあさん、なのだそう。

 March, 2003 部屋の中を照らす、お日様のような黄色。

窓の外を見やれば、どんよりと曇り空。
けれど、テーブルの黄色いチューリップが、
まるで、穏やかな午後の太陽のように、
やさしく部屋を照らしている。

くるりとまるで、葉野菜のような、葉。
花瓶に挿す前、多すぎる葉を剥がす。
ネギの汚れた葉を剥がすときと、よく似た感じで。

 March, 2003 小鳥たちの出番が来た

桜の枝に、鳥の巣。
去年の春、ショッピングモールのインテリアショップで見つけて買った。

夏、秋、冬の間はクローゼットの奧に仕舞われていて、
春の間だけ、登場する。

わがやの玄関先の、小さな春。

 March, 2003 アパートメントでは、ペットを飼えないので……。

「スヌーピー」とは、夫が幼少時代、インドで飼っていたイヌの名前。
イヌが大好きな彼は、たまに、スヌーピーのことを懐かしげに話す。

そんなイヌ好きな彼のために、小さなミニクッションを買った。

かなり奮発して買ったのだが、あまり興味がない様子。

当たり前といえば、当たり前のことだった。

 

 March, 2003 甘いお菓子が大好きな、インドの神様。

我が家の神様その一。インドのガネーシャ神。もともとは王子だった。
父親であるシヴァが過って彼の首をはね、代わりにゾウの頭にすげ替えた。

甘い物が大好きで、手にはお菓子を持っている。彼の乗り物は、ネズミ。
足許に、必ず、小さなネズミがいる。
知恵と学問、そして富と繁栄の神。障害を除き成功をもたらす現世利益の神として、
インドでは広く一般に親しまれている。
我が家のガネーシャは、サンダルウッド(白檀)のいい香りがする。

 

 March, 2003 キャンディみたいなバラの花束

1ダース13ドルの、バラの花束。
近所のスーパーマーケットにて。

同じ色のバラばかりをまとめた花束がほとんどだったけれど、
いろんな色を混ぜ合わせた、こんな花束も紛れていた。

まるでキャンデーのようににぎやかで、遊園地のような色合いで。

 

 March, 2003 春、一番のりの、花。

春の訪れを真っ先に知らせてくれるのは、ラッパスイセン。
そういえば、早春のセントラルパークにも、黄色や白のラッパスイセンが、
そこかしこに咲いていたものだ。

daffodil、と英語では呼ばれる。

 

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