■買い物したり、散歩したり、プールで泳いだり。夜は「O」を観る
朝はゆっくりと寝て、遅くに起き出す。わたしが昨日、ホテル内のDKNY(ダナキャラン・ニューヨーク)で買ったジーンズをはいていたら、自分も何か買いたいとA男。
二人して訪れる。すると、男性のシャツがいくつもセールされており(半額以下の大特価!)、A男、いくつか購入する。
その後、ブランチへ。もうブッフェはやめようね。軽いものを、ということで、最初の夜に行ったヌードル・ショップへ。するとここが、昼間は飲茶をやっているではないか。そそられる。
野菜とビーフン(米麺)などをオーダーし、加えてワゴンサービスのチャーシュー入り包子(肉まん)、エビシューマイなどをついつい。
ここの料理は非常においしく、満足であった。隣に座っていた老齢のアメリカ人男性が、話しかけてきた。彼はなんでもここに4泊しているが、この店の料理がいちばんあっさりしているので、毎食、ここに来るのだとか。
ラスベガス通らしく、どのブッフェも食べたことがあるけれど、たいていは似たり寄ったり。値段は高いけど、ベラージオのブッフェだけは行く価値がある。と語っていた。
その話を聞いたA男。
「今晩、行ってみる?」
いやいや、だからもう、ブッフェは行かないのよもう。また、次回来たときにでも、ね。
その後、再びベネチアンへ行き、ウインドーショッピングなどをし、ホテルに戻ってプールへ。夕方はだいぶ気温が下がるので、プールサイドで横たわっても気持ちがいい。
それにしても、灼熱の太陽のもと、直射日光をガンガンに浴びているアメリカ人(白人)は、お肌、大丈夫なのだろうか。と人ごとながら気になる。日本人より、インド人より、ずっと肌のダメージが大きそうなのに。
わたしとA男が、軟弱にパチャパチャと水に戯れつつ、一画にある「真剣に泳ぐ人向け」レーンを見やったところ。そこには、真剣に、ひたすら泳ぐ、スジャータとラグバンの姿が! ともかく、どこまでも、二人は「まっすぐ」なのね。
それにしても、ラグバン、スリムだけれど本当にタフ。かなりの時間、泳ぎ続けていたらしい。
水中にて4人で話をしていると、向こうからニコニコとロメイシュ登場。うわっ! ロ、ロメイシュ! 上半身が相当に毛深い! 幸いにも白髪のため、印象はかなり緩和されているが、それでもかなりの「白クマぶり」である。
スジャータに思わず、
「パパはポーラー・ベアみたいだね」と耳打ちしてしまう自制心のない嫁。それにしても、いろいろと、驚かされることの多いことよ。
プールで遊んだ後、5人で夕食へ。ラグバンとスジャータが行きたいというので、ホテルパリス内のビストロへ。ここでもスジャータとラグバンは大振りのプライム・リブとチキンのシチューを平らげていた。
わたしたちはチキンのシチューと、シーフードのクレープ包み。まあ、それなりのおいしさである。
そして、いよいよ、ベラージオホテルへ。待ちに待ったシルク・ドゥ・ソレイユの「オー(O:eau)を見に行くのだ。これは、一言で言うと、水のサーカス。舞台の上に設置された、大がかりなプールを中心に、サーカスが展開されるのである。
以前から、もう何人もの人たちに「オーはすごい」と聞いていたし、ラスベガスに行ったら絶対に観ようと決めていたのだ。
このショーに関しては、文章ではうまく説明できない。舞台に設置されたプールのスケールの大きさ、仕掛けの大胆さ、芸の巧みさ、どれも目を見張るすばらしいものだった。
しかし、本当に、誰に聞いても、なにを読んでも、すばらしいという批評しかなく、従って本音をここに書くのははばかられるが、わたし個人としては、「ものすごく好き」とも、「またぜひ観たい」とも思わなかった。
好みの問題だと思う。
ピエロの演出や、いかにも素人を装ったスタッフの演技などが、あまり好きではないのだ。以前、同じくシルク・ドゥ・ソレイユの「ドラリオン」で、似たような演出を観ていたせいかもしれない。
途中で眠たくなってしまう自分に「わたしの感性、鈍っているんだろうか」と思う始末。
もちろん、「うわっ!」と驚くようなシーンはいくつもあって、すごいと感じるところもたくさんあったのだけれど……。
しかし、会場は、全体で大の盛り上がり。終わった後も大歓声で、みんな大喜びだったから、本当にすばらしいショーであるには違いないのだ。ロメイシュもスジャータ、ラグバンも、とても楽しんでいたみたいだし。
しかし、A男もまた、驚いたことに、わたしと同様の意見だった。
「ぼく、途中で寝てしまった」とのこと。
「みんながすごいっていうから、すごいと思ってみてるんだけど、なんだかストーリーも中途半端な感じでよくわからないし、ピエロの演技もわざとらしいし……、感動できない僕が間違っているのかなあ」
いや、ピエロがわざとらしい演技をするのは当然のことなのだけど、しかし、わたしもなぜか彼と同意見。二人して、妙なところで気が合う。
首を傾げつつ、ホテルへの道。
そういうわけで、ラスベガス最後の夜は更けていった。
明日は昼間の便でDCに戻る。10日間の濃厚な家族旅行が、まもなく幕を閉じようとしている。