アーユルヴェーダの勧める「健やかな一日」

参考文献: Vasant Lad, B.A.M.S., M.A.Sc., The Complete Book of Ayuruvedic Home Remedies,
Three Rivers Press, New York, NY, 1999.

アーユルヴェーダの権威であるVasant Lad氏の著書より、
簡単に日常生活に取り入れられそうなアドバイスをここでご紹介します。
すべてを実行するのは無理だと思いますが、少しでも生活に取り入れると、
心や体の調子がよくなるかもしれません。


【目覚め】

基本的には、日の出前に起きるのが、心身のためにいいとされています。

目覚めたら、すぐにベッドから起きあがらず、まず自分の両方の手のひらをしばらくの間、見つめましょう。手のひらを軽く擦り合わせたあと、顔、首、胸、腹部をやさしく撫でます。こうすると、すっきりと目が覚めます。

 

【祈り】

目覚めてすぐに祈ることは、いい一日をスタートさせるのにとても大切なこと。自分の好きな方法で、あるいは自分の宗教に基づいて祈りましょう。祈りの言葉が思い浮かばない人は、この祈りを使ってください。

神様、あなたはわたしの中におられます。
わたしの呼吸の中に。小鳥たちの中に。大きな山々の中に。
あなたの優しさは、すべてのものに届いています。
だからわたしも、守られています。

神様、ありがとう。この、すばらしい一日のはじまり。
わたしと、わたしを取り巻く全てに、
喜び、愛、平和、そして思いやりがありますように。
わたしは癒し、わたしは癒されます。

 

【顔、口、目を洗う】

まずは鏡を見て、自分に「おはよう」と挨拶をしましょう。

冷たい水で顔を洗い、口を濯ぎ、そして目を洗います。まぶたを指先でやさしくマッサージしたあと、瞬きを7回します。それから眼球を上下左右、時計回り、反時計回りにぐるぐると回して、目の体操をします。

 

【コップ一杯の水を飲む】

室温の水を、コップ一杯、静かに飲みます。冷たすぎる水はよくありません。この水は、体内に吸収されるのではなく、消化器官や腎臓を洗浄します。また、腸の蠕動を促し、働きをよくします。
一日の始めにコーヒーや紅茶を飲むのはよくありません。腎臓の働きを弱め、便秘の原因にもなります。

 

【排泄】

水を飲んだあとは、便座に座りましょう。便意を催していなくても、数分間、無理せず静かに大腸の働きを待ちます。

 

【歯を磨き、舌を掃除する】

やわらかい歯ブラシと、できればハーブの自然な歯磨き粉を用いて歯を磨きます。
そのあと、ステンレス製の舌掃除、なければスプーンで、舌の表面をやさしく擦ります。奥から手前に向けて、7回から14回、繰り返します。
舌の表面からバクテリアを取り除くことは、身体にとってとても効果的です。

このとき、昨夜の食べ物の匂いが口に残っているようでしたら、それは夕食の時間が遅すぎたか、あるいは重いものを食べ過ぎて、まだ食べ物が消化されていないことを示していますから、朝食を抜きましょう。胃に食べ物が残っているのに朝食を食べるのは、身体に負担がかかります。

 

【うがいと鼻のそうじ】

温かい胡麻油でうがいをすると、発声を良くし頬の皺を取り除きます(しかしこれは、日本人にはちょっと不向きな気がします)。

温かいギー(バターのような油)、もしくは胡麻油を数滴、両方の鼻孔にいれると鼻の通りをよくし、頭をすっきりとさせ、また発声もよくなるとのことです(しかしこれもまた、実行をためらわれます)。

 

【オイルマッサージ】

温めたオイルを手に取り、頭から身体全体をやさしくマッサージします。オイルでマッサージをすると、気分が落ち着き、体内の循環をよくします。また、肌に艶とはりを与え、柔らかくさせます。

 

【シャワー、もしくは入浴】

オイルマッサージのあと、シャワーを浴びるか湯船に浸かります。

 

【エクササイズ】

ヨガやストレッチ、ウォーキングなど、軽いエクササイズをしましょう。

 

【瞑想】

 

【朝食】

体質にあった物を食べましょう。夏場は軽い物を。

 

【仕事】

通勤や通学の途中、一つ一つに気持ちを払って行動しましょう。
上司や同僚を見るときは、同時に内面も見るようにしましょう。思いやりの心を忘れずに。仕事中は、コーヒーやお茶を飲むよりも、ぬるま湯やフルーツジュースを飲む方がいいでしょう。

 

【ランチタイム】

ランチは12時頃、お腹がすいたときに。スープとサラダ、もしくはご飯と野菜など、自分の体調と体質に合った食事を取りましょう。
食事中、水を飲む場合は、コップ一杯を少しずつ。決して氷の入った冷たい水ではなく、室温の水を。

 

【背筋を伸ばして】

椅子に座っているとき、また歩いているときは、意識的に背筋をのばしましょう。背筋が伸びているとエネルギーの循環が円滑になります。

 

【帰宅後は散歩をしましょう】

仕事などを終えて帰宅したら、一人で静かに、森や公園、川のほとりなどを散歩しましょう。せせらぎの音や鳥のさえずり、木の葉のざわめき、犬の鳴き声などに耳を傾けながら。こうしていると、一日一日が、とてもすばらしいものに思えてきます。
「日々、繰り返すこと」は、とても大切なことなのです。続けていれば、いつも新鮮で、心豊かに、目覚めながら暮らしていけます。

 

【夕食】

夕食は6時頃、食べるがいいでしょう。日没前に食べるのが理想的です。食べるときはテレビを観ないでください。食べることに気持ちを払いながら、よく咀嚼して食べることは、即ち瞑想にもなります。それは同時に食べ過ぎを防ぎます。夜遅く食べると、身体の調和を崩し、睡眠を妨げることになります。

 

【夕食後のひととき】

歌を歌いながら食器を洗いましょう。楽しく笑顔で。食後、1時間ほどしたら、テレビを観たり読書をするのもいいでしょう。ニュースで世の中に起こっていることを知るのは大切なことです。

 

【ベッドにはいる前に……ホットミルクとオイルマッサージ】

眠る前に、コップ1杯のホットミルクを飲みましょう。ショウガとカルダモン、ターメリックを少々いれて温めます。ミルクは身体の細胞組織に働きかけ、深い眠りに導きます。

少量のオイルを足の裏や足の角質にすり込み、リラックスさせます。

ベッドに座り、目を閉じて数分間、瞑想します。自分の呼吸に神経を払い、何も考えずに、頭の中を空白にします。

ベッドに入ったら、今日も一日過ごせたことに感謝をし、静かに眠ります。

おやすみなさい……。

 

【セックス】

セックスはわたしたちの生活に大切な要素です。頻度はドーシャのタイプによって異なります。「カパ」は週に2、3回、「ヴァータ」は月に1度か2度、「ピッタ」は2週間に1度か2度がいいでしょう。

おすすめの時間帯は午後10時から11時で、朝や日中はよくありません。