その11 日本に一時帰国して思ったこと


久しぶりの(いつもこの書きだしばかり・・・)駐在員日記です。実は、先月、日本に一時帰国していました。今回は『駐在員 日本に帰る編』です。

約半年ぶりに日本に帰りました。まだ冬の終わらない寒いNYを出発し、飛行機に約13時間も閉じ込められて、やっと着いた日本は、もう春でした。私が帰国したときには桜はまだ咲いていませんでしたが、気温は摂氏で17度くらいもあり、もう疑いようのない春でした。日本の春はいいですねぇ・・・寒いNYから来たせいか、いつも以上にそう思ってしまいました。

成田空港に着いて、電車に乗って都内へ移動しました。まず始めに、とっても不思議だと感じたことは、『ここには日本人しかいない・・・』ということです。こんなことに違和感を覚える自分も不思議なのですが、それよりもなによりも、電車に乗ってすぐにそう思ってしまったのです。NY生活、たった10ヶ月で何を生意気な!とお思いでしょうが、事実なのです。NYには、どこの国の人だか分からない人がたくさんいます。いわゆるアメリカ人っぽい人(西洋人)でもヨーロッパからの人やカナダからの人、オーストラリアやニュージーランドからの人もいます。加えて、南米からの人やスペインやイタリアからのラテン系な人々もいます。もちろん日本・中国・韓国の人もたくさんいます。それがひとつの街にゴチャゴチャになっているのがNYなのです。

東京で英語の学校に行っていたとき、クラスの先生が、『東京は日本の首都だ。でも、NYは世界の首都だ。』と言いました。その言葉の意味はなんとなく理解したつもりだったのですが、実は理解できていなかったのですね。(私の英語のレベルとは関係ないですよ) 

先日、東京で電車に乗ったときに違和感を覚えて、初めてこの言葉の意味がわかったような気がしました。

NYで生活していると、日本人とか外人(NYでは私が外人)とかは関係ないように思えてきます。要するに個人なのです。個人が大事なのです。個人の考え方が大事なような気がします。日本人しかいない日本においては、個人の考え方と同じくらい、社会の風習(常識や評判)が大切なように思われます。もちろんNYでも社会の風習はあります。しかし、個人の考え方のほうが社会の風習より優先されることが多くあるのです。日本ではあまりないように思うのですが、いかがでしょう?

どちらが良いとか、どちらが悪いとか、といったことではないのです。ただそういう違いがあると思っているということです。(ちなみに私は日本の社会が大好きです)

海外で生活していると、日本のこととか日本人についてとかよく考えます。

たまに外国人(欧米人)と比較して、なんとなく私たち日本人が劣っているような気になるときもあります。でも、きっとそれは間違いでしょう。民族に優劣もないし、文化や習慣に優劣もないのです。ただ、もう少し自分たちに自信が持てるようになったら、そして、自己主張する習慣が生まれたら、海外の人ともうまく付き合っていけるし、日本の社会も少しは良くなるのかも、などと思うことはあります。

『日本人としての誇り』など考えたこともなかったのですが、海外で生活していると少しそんなことを考えてしまいます。日本人の多くは“外人(特に白人)=アメリカ人”だと思い、多くのアメリカ人は“アジア人=中国人”と思っています。(←本当ですよ!)

日本人=メガネをかけていて、カメラを持っている人という誤解を晴らして、日本人についてもっとたくさんのことを少しでも多くの外国人に知ってもらいたいな、と東京に帰って思ってしまいました。

もちろん今の日本に“メガネをかけていて、カメラを持っている”ような日本人なんかいなかったですよ。でも、日本人しかいない景色を見て、何故だか不思議と『日本人って何だろう?』と考えてしまいました。

ではまた。


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