夏に生まれたせいか、ひまわりの花が好きだ。太陽に向かってすんなりと伸びる茎、鮮やかな黄色い花びら。元気いっぱいの姿がすがすがしくていい。 その日はわたしの誕生日だった。ボーイフレンドは祖国に帰省していたし、友人に祝福を強要するわけにもいかず、華やかさに欠けていた。子供じゃないんだし、そう大げさに祝うこともないわよね、と思いつつも、せめて花ぐらい買おうではないかと思い立ち、近所にオープンしたばかりの花屋に足を運んだ。 いちばんに目に飛び込んできたのは、ひまわりの花束。すぐにも花瓶に生けられるよう、短めに切りそろえられている。15ドルほどのその花束を抱え、レジに持っていった。店のマネージャーらしき女性が尋ねた。 「これはプレゼント用? それとも自宅用?」 「プレゼントといえば、プレゼントだけど……。今日はわたしの誕生日だから、自分への贈り物なの。だから包装は簡単でいいわよ」 そう言ったあと、なんだかわたしって寂しい女かも、などと思っていると、彼女はその花束に、きれいなリボンをかけてくれた。そしてこう言った。 「はい、お誕生日おめでとう! これはわたしからのプレゼント」 えーっ、そんなつもりで言ったんじゃないのに! いいの? 本当にいただいて? うれしいやらびっくりするやらで、もうたいへん。ありがとうを連発して店を去った。 帰り道、花束を抱えて、わたしはもう、幸せである。ああ、なんてやさしい人なんだろう。わたしはこれから、ずっとあの花屋で花を買おう、などと思いをめぐらせた。 透明の花瓶に生けたひまわりを窓辺に飾った。マンハッタンの澄み渡る青空をバックに、満開のひまわりは微笑んでいるようだった。(M)