OCTOBER 23, 2004 今年最後の、秋の風景。それではインドへ行ってきます! |
月曜から金曜まで、一度も青空を見ないままだった。 毎日雨が降ったり、曇っていたり。 そして土曜日。今朝目覚めたら、ブラインドの向こうに青空が見えた。 長いトンネルを抜けたような気分の朝。 今日の午後3時には家を出て、午後6時の便でフランクフルト経由ムンバイ。 帰ってくるころはもう冬の街。 だから、この束の間の、秋の風景を惜しむように、朝の街を散歩した。 もう荷造りは終わっているし、あとは簡単な片づけ物など。 落ち着いた心持ちの出発間際。 さて、これから冷蔵庫に残った食料を取りだして、ブランチの準備。 それではみなさん、行ってきます! |
OCTOBER 22, 2004 Travel Journal |
旅行前の買い物に、と、ジョージタウンへ行った。本当は靴を買いたかったのだけれど気に入った物が見つからなかった。なので旅のノートを買いに行く。夫には仕事用の書きやすいノート、わたしは旅のジャーナル用ノート。気に入っていた文房具店がクローズしてしまったので、バーンズ&ノーブルで買うことにする。ここにはジャーナル用のノートがたくさんあって、旅行用のノートもたくさんある。あれこれを手にとって、見比べて、いつもなら中面がな無地のシンプルなノートを選ぶのだけれど、今回は中面にデザインや写真が施されたユニークなノートを買った。 スターバックスカフェは、チョコレートドリンクの香りが漂っていて、なんだかすっかり秋の気配。いつもはカフェラテなのに、今日はカフェモカをセミスィートで。そうして買ったばかりのノートを広げ、早くも綴り始める。早く帰って、荷造りをしなければならないのに。 |
OCTOBER 22, 2004 どうしたの? |
紅葉の街路樹の傍らを歩く。 ふと、視線を感じて見上げれば…… クマ……? |
OCTOBER 21, 2004 ハロウィーン間近 |
アパートメントのフロントデスクに、ハロウィーンのデコレーション。 電飾を施された黒猫が、ゆっくりと口を開け、尻尾を振り上げる。 傍らには、ハロウィン仕様のキャンディが入ったボウル。 受け取りの荷物を探してもらっている間、小さなパッケージに入ったM&Mを食べる。 最初に出てくる一粒が、黄色かオレンジだったらラッキー。と、昔からのささやかな遊び。 ハロウィン仕様は全部がオレンジ。 |
OCTOBER 20, 2004 秋に合う味 |
夕食の準備をするころ。いつもお腹がすく。こんな時間に食べてはいけない。と思うのだけれど、バナナをちぎって食べたり、ナッツをつまんだり。今日は、料理に使おうと室温にしておいたブリ・チーズが標的。マーマレードを上に載せて、それからミニトーストを添える。こうなるともう、ワインまで開けてしまう。そしてほろ酔いで、料理をすることになる。それもまた、心地のよい、秋の宵。 ブリ・チーズに甘いジャムを載せると、お菓子のような楽しい味になることを、ホールフーズマーケットの試食で知った。それは直径が20センチほどの大きめのブリの、上部の白かびをナイフで薄く剥がし、その上にイチジクのジャムを塗ったものだった。パーティーのアペタイザーにもふさわしく、ワインにも本当に、よく合うのだ。 |
OCTOBER 19, 2004 パンプキンの国 |
パンプキンがまっさかり。 スーパーマーケットの店頭にも、大きいのがゴロゴロとお目見え。 店内には、多彩な顔ぶれのパンプキン仲間が並ぶ。 オレンジ、黄色、緑にクリーム色、形も色も大きさもあれこれと。 いくつか買って並べたいところだけれど、もうすぐインド行きだから、今年はやめておく。 |
OCTOBER 18, 2004 インドからきた |
この半年間、愛用しているインド製のソープや化粧水。緑のパッケージはBIO TIQUE。アーユルヴェーダのレシピに基づいて作られたハーブ製のプロダクツ。ハイビスカスのヘアマッサージオイルにフルーツのパック、バジル&セロリのソープがお気に入り。KHADIはニューデリーの国営ショップに売っていた。ローズウォーターとトゥルシ(インドバジルorホーリーバジル)の化粧水はお風呂上がりの肌にたっぷりと。ピュア・ローズウォーターは、首筋や腕にも付けてしまう。すると身体が甘酸っぱい、バラの香りになるのだ。その香りは朝になるまで残っていて、まるで天然のパフュームのよう。青いボトルは100%ココナツオイル。週に一度、ヘッドマッサージをするといいと勧められたもの。これはもう、まるでお菓子のような甘いココナツそのものの香り。洗顔は、バンガロールのエステティシャンに勧められたジョンソン&ジョンソンのクリーン&クリア(インド製)。どれもこれもお気に入り。どれもこれも1ドルから2ドル程度。高いものでも3ドルくらい。こんなにリーズナブルでいいのだろうか。と思うほどに。重たいのが難だけれど、またインドで、買ってこようと思う。 |
OCTOBER 17, 2004 大切な日曜日 |
来週の今ごろは、ムンバイの空の下。それから3週間余りののちに帰国するころは、冬だ。 日差しは鋭く暑いくらいなのに、吹く風はとても冷たくて、アンバランスなところが秋。 |
OCTOBER 16, 2004 みるみるうちに。 |
土曜の朝はいつもよりゆっくりと。端折らずにヨガをやる。 |
OCTOBER 15, 2004 進化 |
この2年間、使い続けてきたオリンパスのカメラ。わたしにとって2台目のデジタルカメラだ。 |
OCTOBER 14, 2004 ふた種類の季節感 |
買い物の用事があり、久しぶりにヴァージニア州のタイソンズコーナーまで行った。 |
OCTOBER 13, 2004 Afternoon Tea |
ランチを食べずに2時を待つ。
CAFE
MOZUで、友人と、アフタヌーンティーの約束。 |
そして英国的「小振りでしっとり」ではなく、米国的「大きくがっしり」のスコーンが2種。 |
OCTOBER 12, 2004 仕事 |
空色のシャツを着た彼女は、スライド式のその扉は開け放ったままに、左手にはコークの缶、右手でステアリングを握りしめ、速度を落としながら路肩に迫り、きゅっと軽やかにステアリングを捌き、ブレーキを踏み込んだ。滑らかな停車の瞬間、厚く大きな唇をくっきりと三日月のように広げ、並びのいい白い歯を見せて微笑んだ。誰に向けてでもなく、彼女自身に向かって。鋭い西日が、褐色の額に照りつけて、その表情はいかにもまぶしい。エンジンを止め、車を降り、扉を閉め、海色のパンツのたるみを直し、トランクを開き、郵便物がどっさり入ったケースを2箱取りだし、重ね、がっしりと抱え、配達先であろうアパートメントの奧へ消えていった。 溌剌と。颯爽と。 |
OCTOBER 12, 2004 ジャパニ |
ヒンディー語の教科書最初の会話文。英国から来たプラタプが、デリーのホストファミリーを訪れるシーン。 |
OCTOBER 11, 2004 香り |
最近は、インドで買ってきた自然素材の石鹸がたくさんあるので、買う機会はめっきり減ってしまったけれど、ホールフーズ・マーケットの石鹸売場の、優しげな色をしたさまざまな石鹸は、手にとって匂いを嗅いでみたり、入っているハーブの名前を確認してみたり、ついついしたくなってしまう場所。その一画に、「お香」のコーナーがある。日本のお香の、どうやら輸入品のようだ。白雲 White Cloud、五山 Five Hills 、京桜 Kyoto Cherry Blossom、金閣 Golden Pavillion、京錦 Kyoto Autumn Leaves.....。のきば(軒端)はなぜかMoss Garden、「苔の庭」になっているけれど、それはそれで日本情趣。そこから先は、チャイニーズなムードで、寶永香 Ethernal Treasureに大元香 Great Origin。 思えばもう、お香の煙が、冷ややかな空気に染みいる季節。久しぶりに、白檀のお香を焚きしめよう。 |
OCTOBER 10, 2004 相変わらず |
あたかも2、3日前に話したばかり、というような声で、昨日電話がかかってきた。東京からDCへ出張に来ているS君だった。彼と初めて会ったのは1992年の夏の終わり、モンゴルのウランバートルでだった。同じ学年の彼は最初から「高校時代のクラスメイト」みたいな雰囲気を漂わせていた。以来、東京で何度か会い、わたしがニューヨークに移った後も、彼は出張の時に遊びに来たことがあった。前々回に会ったときは、最初の娘が産まれたばかりで、前回会ったときは二人目の娘が産まれたばかりだった。いつだったろうと日記を遡ったら、2001年の春だった。あのときのわたしは独身で、ワールドトレードセンターもあった。あれから3年余り。「大人になったから」と言いながら、手みやげにチョコレートを持ってきてくれた。すでに面識のある夫と3人で、近所のメキシカンでランチを食べた。今回は三人目の娘が産まれていたわけではなかったけれど、長女は小学校一年生になっていた。食事のあと、近所を散歩した。リスの写真を撮る彼を見て、夫が耳打ちする。「S君はリスが好きなのかな?」「多分娘たちに見せるんだよ」。秋風が心地よい午後。歳月は重なり、年を重ねる。容姿も変わり、心持ちも変わる。この次は、いつ、どこで会うだろう。また、クラスメイトみたいな感じで。 |
OCTOBER 10, 2004 足跡と記憶の扉 |
クローゼットの上の棚に、たくさんの地図が入った箱がある。旅先で手にする無数の紙類は、やがて捨ててしまったけれど、地図だけはいつまでも残っている。遠い日の旅のことも、地図を開けば思い出せる。縮尺の小さなドライブマップ、縮尺の大きなシティマップ、マーカーやペンで印がついたもの、泊まったホテルや訪れたレストランが書き込まれたもの……。地名や道路や、道や建物を目で追ううちに、過ぎし日の情景が蘇ってくる。 先日、ダウンタウンを歩いていたとき、地図や旅行書の専門店を見つけた。出版社ごとに分類された旅行書の背表紙が、書棚に整列しているさまが美しい。アジアの地図のコーナーで、インド全図を見つけた。3種類あったそれらの一つ一つを静かに開き、地名の書体や道の太さ、色、全体のバランスなどを見比べて、一番気に入った一つを買った。インドとネパール、パキスタンが網羅されたこの地図。買ってすぐにすることは、地図の裏の端々や折り目の部分にセロテープを貼り付けて補強すること。これから先、何年かの間に、きっと書き込みが増えるであろうこの地図が、すぐに破れてしまわないように。 |
OCTOBER 9, 2004 ふかふか |
好きな食べ物と話題に共通点が多いせいか、しばしばディナーを共にするルーマニア人カップル。今日はDCで最も「クール」なレストランの一つ、Zaytinyaで待ち合わせ。地中海の東側の国々 <ギリシャ、レバノン、トルコ> の料理が味わえる店だ。予約を取らないこの店の、だからバーにはグラスを片手にテーブルを待つ人々がひしめき合う。話し声が高い天井に反響し、恒常的な耳鳴り状態。バーの一隅にスペースを確保し、わたしたちも渦の中、半ば叫ぶみたいな声で語り合う。ようやく1時間後にテーブルへ。空きっ腹にカクテルは染み渡り、メニューを読むのさえもどかしい。料理の名前を目で追いながら、ふかふかのピタ・ブレッドへ手を伸ばす。中に温かな空気が入った焼き立てを、オリーブオイルにつけて食べつつ、Mezzesと呼ばれる小皿料理をいくつか注文。料理が来る前に、ピタを食べ尽くしてしまい、これは2籠目の写真。ナス入りのハモス(ヒヨコ豆のペースト)やスパイシーなエビのグリル、チキンのマリネ、ソフトシェルクラブなど、どれもピタとの相性抜群。相乗効果で食が進む。「アトキンズ・ダイエットなんてやってられないよね!」なんて言いながら、3籠ものピタを平らげた。 |
OCTOBER 8, 2004 格別の夜 |
わたしたちの住むアパートメント・ビルディングのサロンで、ニュージーランドワインのテイスティングが行われた。サロンは秋色に彩られ、キャンドルが灯る。ワイングラスを片手にご近所さんとおしゃべり。ニュージーランドのPuriri Hills Vineyardというワイナリーの女性オーナーと、ニュージーランドワインのバイヤーである息子によるプレゼンテーション。白ワイン2種にロゼ1種、赤ワインを2種。少しずつを味わいながら、さまざまな種類のおいしいチーズを食べながら。スーツ姿の男性はニュージーランド大使館員。わずか2週間前に赴任してきたばかりの彼と、ニュージーランドを語り合う。山、湖、渓谷、フィヨルド……。小さい島国だけれど、起伏に富んだ自然の美しさが散りばめられているニュージーランド。車を少し走らせるだけで、思いがけない光景が現れ、ドライブが最高に楽しい。そういえば今日、スーパーマーケットで、ニュージーランド産のラム肉と、キウイを買ったのだった。そして更に、わたしも夫も気に入った白ワインを、2本ずつ買い求める。 |
やがて、サロンの一画で「ニュージーランド料理」の準備が整っていた。ワイナリーのオーナーによるスピーチのあと、ダイニングルームのドアが開かれる。"Wow!" "Incredible!" "Amazing!" たっぷりの料理で埋め尽くされたテーブルに、歓声が上がる。シーフードのマリネ、スモークサーモン、ツナのディップ、ムール貝のグリル、ラムチョップのグリル、ポークのローストなどなど……。おいしいワインとおいしい料理は、よりいっそう、人々を饒舌にさせる。笑顔もまたよりいっそう。 ストックホルム郊外から赴任してきたスウェーデン人夫婦、ジョージタウン大学教授のインド人女性、国際機関で働く中国人女性、イタリア人女性、ホワイトハウスで働く米国人女性……。あちこちに星条旗が翻るワシントンDCにあって、インターナショナルな面々が暮らすこのアパートメント・ビルディング。初めての人たちと、初めての話を聞くことの、わくわくとする気持ち。第二回大統領公開討論が始まる9時になるまで、語り続けた夜。 |
OCTOBER 7, 2004 おみやげ |
夕べ夫は11時を少し回ったころに帰宅した。右肩にはビジネスバッグ、左手にはバケットの白い紙袋を抱えて。仕事の関係者が郊外に開店したレストランでのパーティーだったらしい。店の外には池があり、大きな鯉がいたという。オーナーの趣味は古書の収集で、本にまつわるさまざまなエピソードを披露してくれたという。「今度一緒に行こうね」と夫。「ぜひとも」とわたし。朝目覚めて、その小さなバケットを袋から取りだした。サルバドール・ダリの絵に出てくるようなバケット。二つに切り、更に二つに切り、表面を指先で触り、匂いを嗅いで、少しわくわくしながら、トースターに入れる。こんがりと焼けたところにバターを塗る。端っこをパリリ、と囓る。おいしい。こんなパンを焼いてくれるベーカリーが、近所にあったらいいのに。食後、そのレストランのホームページを探した。この道20年余のパン職人が、店のキッチンで1日に2回、パンを焼いているのだという。Cherry Chocolate/ Cumin Country Rye/ Sunflower Country Wheat/ Cranberry Pecan/ Fig Licorice Almond/ French Baguette/ Garlic Focaccia/ Golden Raisin Orange/ Mountain Gorgonzola/ Olive Rosemary/ Parmesan Cayenne Focaccia/ Pumpernickel Raisin/ Currant Walnut…… なんて楽しげなパンの数々! |
OCTOBER 6, 2004 変わり目 |
夏から秋への、ただなかにある木々。などを見ながら、今日は一日、とてもよく歩いたのだ。 マサチューセッツ・アヴェニュー
<大使館通り> の緩やかな坂を下ってゆく。 |
OCTOBER 6, 2004 携帯電話 |
桜の花が散るころ、大切な友だちが死んだ。 夜明け前。眠りの中で、わたしは、死んだ友だちと、電話で話をしていた。 電話できるんだったら、死んでしまった感じがしないな、会えないだけで。 地平線の真下に、太陽が潜んでいる時刻はまだ、夢と現が入り乱れ、 |
OCTOBER 5, 2004 目指す場所 |
また、カボチャの季節。毎年この時期に行われる夫の会社のパーティーへ。今年で3度目。 |
OCTOBER 4, 2004 試合 |
夕暮れ時。コンピュータのスイッチを切る。 ちいさな鞄に、ノートとペンと鉛筆と、2冊の本を入れる。 スニーカーを履いて外に出る。カテドラルの森のベンチに座る。 時折、鳥のさえずりの向こうで聞こえるホイッスルの音。人々の歓声。 ノートを閉じて、森の小径を抜け、フィールドに出る。 フットボールの試合をしている。冷たい芝生が気持ちいい。 |
OCTOBER 3, 2004 薔薇 |
わずかに咲き残る薔薇。 ほのかな香りを惜しむように。 小さきものらは、花びらを伝いて。 |
OCTOBER 3, 2004 残夏 |
最早この青空を秋晴れと呼ぶころ。今日は緑の中だった。 |
OCTOBER 2, 2004 インドなランチ。 |
午前中は身体のメンテナンス。夫婦揃って、上海出身の女医さんが診てくれる鍼治療院へゆく。終わった後は、極めてけだるく、しゃべることさえ億劫なほどだけれど、お腹は空いている。 ドサが食べたいという夫に従い、ジョージタウンのインド料理店へ。ドサとは南インドの朝食。わたしたちの好物だ。その店を知ってはいたけれど、行くのは初めてだった。まずはマンゴーラッシーを注文。それから前菜に「バトゥーラ」を。これは小麦粉の揚げパンで、豆の煮込みと共に食べる。前菜と言うよりはむしろ主菜のボリューム。食べ終えたころ、「ギー・マサラ・ドサ」がテーブルに届く。これは米の粉でできたクレープ状のパン。ギーとはタンパク質や不純物のない、極めてピュアな溶かしバター。それが表面に軽く塗られている。筒の中にはマサラ(スパイス)で味付けされたジャガイモが入っていて、パリパリと香ばしいドサと一緒に食べる。あと3週間もすればまたインドで、毎朝のように食べられるのだけれど。 |
OCTOBER 1, 2004 金曜の夜 |
金曜日の夕暮れ時を、ホテルのスパで過ごす。ミストのサウナの、温かな霧の中で、身体をホカホカにしたあと熱いシャワーを浴びる。コットンの肌触りが気持ちいいバスローブを羽織って、キャンドルの灯が揺れる部屋へゆく。蘭の花があしらわれたベッドに横たわる。遠くで森の音がする。果物のような香りがする。やがてその優しげな手が、顔をすべる。じわじわと、解け、いつしか深い眠りの中。 夫が来るのを、ラウンジで待つ。あかあかと燃える暖炉が似合う季節になった。ソファーに深く腰掛け、よく冷えた白いワインを飲む。新聞を広げ、夕べの大統領選討論の記事を読む。「9/11の報復でイラクを侵略することは、フランクリン・ルーズベルトがパール・ハーバーの報復にメキシコを侵略した、と言うのと同じようなもの」そう言ったという、解任させられた日系のシンセキ将軍のことが、改めて気になる。 |
OCTOBER 1, 2004 朝の風景 |
夜明け前に起きる。生まれたての世界を歩く。まだ薄暗いテニスコートでは、年老いた男たちが白いユニフォームに身を包んで、のんびりと球を追う。木立の影から顔を出す赤い太陽にハッとする。四方八方に真白い光の矢を飛び散らしながら、太陽は昇り続ける。ピチピチとスズメたちが草むらに集う。いくつもの声色を持つ小鳥が、木のてっぺんで独唱する。大きな木の実をくわえたリスが足許をすり抜ける。長い尾をした独唱の小鳥は、白い帯のような羽根模様をヒラヒラ見せながら優麗に飛び去る。赤い木の実を付けた木に、冠をつけた赤い鳥が舞い降りる。風がそよぎ、草が香る。朝露に濡れた薔薇の花びら。グリーンハウスの店番ネコが挨拶に出てくる。妖精物語に紛れ込んでいる。 ハチミツ色に染まるカテドラル。その向こうに沈むは白い月。 |