FEBRUARY 29, 2004 スパイス

スパイスは、インドの食料品店で買うに限る。

普通のスーパーマーケットとは比べものにならないほど、

種類が多くて、しかも安い。

 

FEBRUARY 28, 2004 ポットラック

今までは、パーティーを開くとき、自分であれこれと料理を作ることが多かったけれど、
最近は、ゲストにも料理を持ってきてもらう「ポットラック・パーティー」が増えた。
その方が、準備も楽だし、気軽に集まれるし、誰かの作った料理を楽しめるし、とてもいい。
それぞれに「秘伝のレシピ(隠れ技)」を交換するのも、実用的で楽しい。

本日は、缶詰のいなり寿司の「皮」が、かなりいけること、ピ**ロのドレッシングに胡麻油を加えると、サラダが格別においしくなることなどを知った。わたしは「エバラ焼き肉のたれ」に豆板醤とおろし生姜を加え、豚肉とスナップ豆を炒めた「今日の献立」的お手軽料理と、愛夫(なぜ「愛妻」という言葉があるのに「愛夫」はないのだろう?)のために、インド風チキンカレーなどを準備。ルーマニア人カップルは、ジャガイモとソーセージを煮込んだルーマニア版「肉じゃが」を持ってきてくれた。その他、エビチリや、巻きずしや、炊き込みご飯や、食後のケーキやクッキーが食卓を賑わす。やはり集まるときは、料理や飲み物がたっぷりあると、より楽しい。

 

FEBRUARY 27, 2004 エノラ・ゲイ

思いがけぬほど、その飛行機は大きく、そして美しかった。そうして、醜くも、忌々しくもなかった。
そのことが、何よりも、衝撃だった。

澄み渡った青空のただ中を、太陽の光をキラキラと反射させながら、この銀色の飛行機は、飛んだだろう。
そうして、胴体をぽっかりと開いて、新しい爆弾を落とし、そうして、夥しい数の人々を、燃やしただろう。

あの朝の、空の下の風景を、ここでは知る術もなく、多分知ろうとする人もなく。
ただ、この飛行機は、半世紀を経て、ナチスの戦闘機や、日本の戦闘機を睥睨するように。
愛らしいほどの、神風特攻隊の、この小さな
戦闘機などを

 

FEBRUARY 26, 2004 主役の行方

ウイリアムズ・ソノマ。すてきなキッチン用品の店。

アジアの料理フェアをやっていた。

日本料理のコーナーには、米酢、コシヒカリ、押し寿司の型、巻き簀、電気釜、醤油などが飾られていた。

そして、寿司のクッキングブック。

でも、肝心の「新鮮な魚」は、いったいどこで手に入れるの?

 

FEBRUARY 25, 2004 雲

窓を開いて、ひょいと飛び降りて、

この上を駆け回ったり、寝転んだりできたら、どんなにか、気持ちいいだろう。

 

FEBRUARY 24, 2004 空

昨日、ロサンゼルスに住む友達と、4年ぶりに再会した。
夫は終日、カンファレンスに参加していたので、わたしは彼女の車でドライブに出かけた。
Huntington Beachの、太平洋を望む桟橋の、先端にあるレストランで、きらきら輝く海を見ながら、
ビールを飲んで、ハンバーガーを食べて、フライドポテトを食べて、コーヒーを飲んで、語り合う。
Balboa Islandでは、各々の家の前にクルーザーが停泊する、広い窓を持つ、優雅な住宅街を散歩した。
天気がよくて、青空がきれいで、風が爽やかで、本当に気持ちのいい一日だった。

彼女にホテルまで送ってもらったあと、空を見上げたら、
まるで笑顔の口のような三日月と、宵の明星。

 

FEBRUARY 23, 2004 南カリフォルニア

19年前の夏。十代最後の夏。

ここへ来て、この海を見て、この空を見て、この空気に触れていなかったとしたら、

わたしは明らかに、まったく違った人生を送っていた。

 

FEBRUARY 22, 2004 ディスニーランドの思い出

午前中は雨だった。夫はカンファレンスへ行き、わたしは部屋でくつろいでいた。
ホテルのテレビは日本語放送が流れるせいで、ついつい見入る。NHKの「のど自慢」なんかをやっていた。
10年近くぶりにそういう番組を見て、カルチャーショックを受けつつ、わたしはここで何をしているのだ?
さて、午後からは雨がやんだので、二人でランチ(ケイジャン料理の豆煮込み&ライス)を食べたあと、
ディズニーランドと、その隣にあるディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーに行ってみた。
二人して、「白雪姫の館」とか「ピノキオの館」など、軟弱なアトラクションを見学したり、
ついつい、MickyやMinnyのイラストがついたTシャツを買ってしまったり、
お決まりのパレードを見て、
ライオンキングのかわいらしさに見入ったり……。
わたしは、初めての海外旅行でロサンゼルスを訪れ、そしてここへ来た1985年の夏の思い出を、
夫は、まだ義母が生きていたころ、家族4人でここへ来た1987年の夏の思い出を、それぞれに語り合った。
語り合いながらもそれぞれに、自分の思い出のことばかりを、考えていた。

 

FEBRUARY 21, 2004 東から西へ

夫がロサンゼルスへ出張するという。カンファレンスが行われるのはディズニーランド内のホテル。
ディズニーランドそのものには、それほどの興味もないのだけれど、
それに、アミューズメントパークの乗り物は苦手だし(すぐに酔うので)、
だけど、新しくて感じのいいホテルに泊まるみたいだし、西は東より暖かいし、
なんだか急にわたしもついて行きたくなって、急遽、マイレージで航空券を買った。
グランド・カリフォルニアンというそのホテルは、ログハウス風。ロビーの天井が高くて気持ちいい。
子供が走り回るのは、ディズニーランドだから仕方ない。部屋が広々快適だから3泊4日、楽しめそうだ。
ダイニング・ガイドでステーキの写真を見た途端、食べたくなり、ステーキハウスへ行く。久々の牛肉。
こういうところへ来ると、食欲がより一段とアメリカナイズされて、いけない。

 

FEBRUARY 20, 2004 居心地のいい場所

静かで、居心地のいいカフェが、DCには少ない。
スターバックスとか、そういう場所ではなく、欧州の街角にあるような、味わいのあるカフェ。
そういうカフェが、ジョージタウンに最近できた。
Bonaparteという名のクレープリー&コーヒーショップ。
食事のできるフレンチビストロのような店だけれど、ランチタイムを過ぎたあとは、とても静か。

本当は、カフェオレだけを頼むつもりが、クレープまでも頼んでしまった。レモン風味の甘酸っぱいクレープ。
2時間近くも、書き物をしたり、本を読んだりして、静かに過ごせた。
シャンソンが流れてて、今朝のNew York Timesの記事(週末を利用しての欧州旅行が人気)を思い出して、
急にパリへ、行きたくなった。この店には多分これから、しばしば訪れることになるだろう。

 

FEBRUARY 19, 2004 BABY SHOWER

ベイビーシャワー。出産を間近に控えた友人を祝して、女友達が集まる。

みんな手に手にプレゼントを携え、待ち合わせのレストランに集まる。

彼女のお腹はもう、目を見張るほど大きくなっていて、

まもなく新しい人が、家族の一員として、彼女の家にやってくる。

 

FEBRUARY 18, 2004 また焼いた

数日前に焼いたクッキーが好評だったので、また焼いた。
ピーカンナッツ入り、アーモンドスライス入りココア風味、アーモンドスライス載せ、の3種類。
手で適当に丸めてペタンとつぶして、焼いた。だからちょっと不格好だけど。
やっぱり、砂糖やバターをたっぷり使った方が、サクッとした歯ごたえでおいしい。
カロリーを気にして量を減らしたこともあったけど、硬くなったり粉っぽくなったりして、あれはいけない。
だから、しょっちゅう作ってはいけない。なのに1週間とおかずに焼いてしまった。

去年も、おととしも、そうだったけれど、春が近づいてくると、お菓子を焼きたくなる。なぜだろう。
この次は、夫の好きなエクレアを焼こう。

 

FEBRUARY 17, 2004 たまご

手に入らなくなると、それが、貴重な物に思えてくる。例えば、生で食べられる卵。
日本では、「たまごかけごはん」は日常だけれど、アメリカの卵は、生で食べられない。
だから、のびのびと生活しているニワトリが産んだ、産み立ての卵をわけてもらうのは、ことのほかうれしい。

お椀に割り入れると、太陽みたいな濃い黄色の黄身。やはり太陽みたいに円く張りがあって、見惚れる。
指先で、ちょっとつついてみたりして、しばし鑑賞する。

朝も夜も、たまごかけごはん。
もちろん、ほかにもおかずはあるのだけれど、主役は、気分的に、たまごかけごはん。

 

FEBRUARY 16, 2004 2年ぶりに

温泉からの帰り。遅めのランチ。
わたしがまだ、DCに移る前、夫がまだ、ひとりでヴァージニアのアーリントンに住んでいた頃、
例えば金曜の夜など、わたしがニューヨークから来るたびに、よく訪れていたベトナム料理の店へ行った。
最後に来たのは2年前。久しぶりに訪れたら、周囲に新しいビルが立ち並び、風景が一変していた。
わずか2年のうちにも、街はどんどん変わる。世界はどんどん変わる。

でも店には、顔なじみのウエイターがいた。
香ばしい春巻きのおいしさも、変わっていなかった。
少しほっとした。

 

FEBRUARY 15, 2004 日がな一日。

凍える日。雪を眺めながらの温泉が、一段と気持ちいい。
今日は一日、宿のリビングで読書をしたり、書き物をしたり、他のゲストとおしゃべりしたりしていた。
夫は、子供のころから好きだったという「ロッキングチェアー」に座って、分厚い本を読んでいた。
朝の入浴、昼の入浴、夕方の入浴、夜の入浴。一日に何度も湯船に浸かり、本当に気持ちいい。
そして、湯上がりの、よく冷えたビールのおいしいこと。
本当は、ランチを食べに外出する予定だったけれど、二人ともなかなか立ち上がらない。
ランチがわりに、クッキーをかじったり、グレープフルーツを食べたり、ワインを開けたり。
日暮れ前、キッチンで夕食を作り、早めのディナーをとり、また温泉に浸かる。
ほかほかと、温まりながら、漂う湯気を眺めながら、自分たちの、将来について語り合う。
しんみりと、穏やかに、語り合うのにふさわしい、冬の週末。

 

FEBRUARY 14, 2004 HAPPY VALENTINE!

プレジデンツデーの三連休を、ヴァージニア州の温泉宿で過ごすことにした。
初日の今日は、バレンタインデー。B&Bを経営するご夫婦に誘われて、
ブルガリアンレストランへ行く。
ブルガリアに行ったこともなければ、ブルガリアの料理も食べたことがない。
知っているのは、ブルガリアヨーグルトくらいだ。
メニューには、いくつかのコース料理が用意されていた。
豆の煮込みのスープ、フェタチーズがたっぷりのサラダ。
アントレはラムやポークのグリルとクラブケーキをオーダーし、夫と分けて食べる。どちらもおいしい。
そして食後は、ハンガリーが発祥のパラチンケン。厚めのクレープにジャムなどを折り込む温かいデザートだ。
クランベリーソースのかかったパラチンケンは、バターの香りがやさしくて、とてもおいしかった。
また来たいな、と思える、
素朴でかわいらしい店だった。

 

FEBRUARY 13, 2004 クッキー

いつもより暖かい晴れた午後。急に思い立ってクッキーを焼く。
砂糖、小麦粉、バター、卵。それさえあれば、簡単にできるお菓子。
お菓子作りに目覚めた子供のころは、色々な型で抜いたり、ココアで色を付けたりが楽しかった。
でも今は、型さえ使わず、ポトン、ポトンとスプーンで落としながらの不格好でも気にならない。
砂糖とバターを混ぜて、更に卵黄を加えたときの、その色の気持ちよさ。まろやかなクリーム色のやさしさ。
小麦粉を加え、鉄板に並べ、ウォルナッツを砕いたのや、アーモンドのスライスを載せて、オーブンに入れる。
ほどなくすると、甘い香りがアパートメント全体に広がる。これがまた、いい。
ほんのりと焼き上がったのを、網の上で冷まして、さあ、最初の一枚が楽しみ。
熱い紅茶をいれて、最初の一口は、ホロホロと崩れる、けれど香ばしいクッキー。うまく焼けた。
あなたも一枚、いかがですか? と、紅茶と共に、差し出したくなる。
夕食の約束をしているカップルへのプレゼントにと、いくつかをナプキンでラッピングする。

 

FEBRUARY 12, 2004 LOVE

履き心地より、見た目を優先して買ったとしても、結局は、履き心地のいい靴ばかりを履いてしまう。
だから、靴箱には、数年前から、数えるほどしか履いていない靴がいくつかある。

以前は、歩きやすい靴といえば、やぼったいデザインのものが多かった。
でも最近は、ずいぶんといい。それはとてもうれしいこと。
AEROSOLES, ROCKPORT, EASYSPIRIT, WALKING COMPANY.....。
履き心地のいい靴を履いていると、どこまでも歩いていける気がする。バスが来なくても大丈夫。
歩いて帰ればいいのだから。履き心地のいい靴は頼もしい。いつまでも歩ける。
AEROSOLESのセールで見つけたこの靴。部屋履きに丁度いいので買った。家の中でも、快活に歩く。

 

FEBRUARY 11, 2004 LOVE

財布の底で押しつぶされていた、タクシーの小さなレシート。

その、小さなハートのかわいらしさに、いまごろ気づく。

 

FEBRUARY 10, 2004 サラベス

たまに買う。トーストに載せる。ヨーグルトに入れる。すぐになくなってしまう。
マンハッタンで、よく知られているペイストリーショップ、サラベスのジャム。

「ペイストリー作りで大切なのは、毎日、同じ形、同じ味のものを作り続けること。完璧でなければならない」
サラベスは言った。そのキッチンは、焼き立ての甘いお菓子の香りと、緊張感とに、包まれていた。
休みなくキッチンを歩き、スタッフの手つきや、仕上がりの形や、焼き加減に、鋭い視線と指示を送る。
「彼女は毎朝4時に来て、夜11時頃帰宅するのよ」「彼女は普通じゃないの」 店のスタッフが耳打ちする。
孫もいる年齢のサラベス。仕事に対するその熱意と体力は、どこから湧き出てくるだろう。
彼女のビジネスの出発点が、この「オレンジアプリコット・マーマレードジャム」だ。
この、甘くて、フルーティーで、やさしい味の向こう側に、キリリととした、厳しいサラベスがいる。

 

FEBRUARY 9, 2004 書店にて。

ブックストアで長い時間を過ごす。

読みたくないときは、重たい本ばかりを抱えて、カフェへ行く。

たとえば、写真集とか、建築の本とか、料理の本、旅の本、それから雑誌も。

コーヒーを飲みながら、パラパラとページをめくりながら、

そこはかとなく、うれしい時間。

 

FEBRUARY 8, 2004 ひどい道。

ジョージタウンのウィスコンシン・アヴェニュー。大きめの、大切な道。

ワシントンDCの道が、どれだけひどいか、というと、こんな感じ。

鉄板が被せられているのね。道に。こういう箇所が、結構、あちこちにあるの。DCには。

車が、バスが、ガンゴン・ガンゴン鳴らしながら、走る。

ニューデリーでも、こんな舗装路はなかったわよ。

 

FEBRUARY 7, 2004 花

久しぶりに気温が少し上がった土曜日。青空が気持ちいい。久しぶりに、散歩に出かけた。
いつものように、ジョージタウンへ向かって、ウィスコンシン・アヴェニューを下っていく。
「そうだ。エクレアを、食べようよ!」と夫が言うので、いつものお菓子屋さんをのぞく。
ここのエクレアは人気があって、だから今日も、まだ午後3時だというのに売り切れていた。
「この小さいのにする?」とプチ・ガトーのエクレアを示す夫。
「それは1ダースでの販売になります」と店の人。
エクレアのかわりに、フルーツが載った、円いチーズケーキを選ぶ。二人で一つ。そしてカフェラテ。
かわいらしいお菓子にフォークを入れる瞬間は、どうしてこんなに、ときめくものだろう。
ひと口目で、それがおいしいとわかったときの、得も言われぬ充足感。今日一日に花を添えるみたいに。

 

FEBRUARY 6, 2004 ほんとにもう。

我が家は車が一台しかないので、わたしが郊外に出かけるときには、カーシェアリングサービスを使う。
時間制で車をレンタルできるシステム。幸い、わたしたちの住むビルの駐車場に1台あるので便利だ。
ところが今朝。約束があって外出。駐車場に行って目を見張る。車が、凍っている! つららが下がってる!
我が家の車は屋内の駐車場だから大丈夫だけど、外に停められた車は、こんなひどい目に遭っているのだ。
ガラスにぴったりと分厚い氷が貼り付いて、びくともしない。暖房をガンガンに入れても、ちっとも溶けない。
ガリガリと工具で削ってみても剥がれない。まだ部屋にいた夫に電話をし、お湯を持ってきてもらった。
それをかけて、ようやく溶けはじめた。30分の浪費。ようやく車を出そうとして、ところが下り坂で、今度はタイヤが氷で滑り、ゆるゆると壁にぶちあたる。雪と氷でタイヤが空回り、身動き取れず。近所で除雪作業をしていた人に手伝ってもらって、ようやく脱出。これで更に30分の浪費。みぞれ降る朝。濡れながら、何をやる朝。

 

FEBRUARY 5, 2004 ニューヨーク・タイムズ

1997年に暮らし始めたPARK SOUTH TOWER。
当時、コロンバスサークル周辺では、最も高層のアパートメントビルディングだった。見晴らしがよかった。
しかし、わずか5年間のうちに、南に2棟の高層ビルが、東に1棟の高層ビルが、
さらには、大切な、セントラルパークの景観を遮るように、トランプ・ホテルが建った。
歳月を重ねるごとに、景色が、窓だらけになった。……そして今月。
長いこと工事中だったコロンバスサークルのタイムワーナーセンターのオープン。パーティーの記事。
ワールドトレードセンターを思わせるツインタワーの完成予想図を
9/11以降にその工事現場で見かけるのは、とても複雑な気持ちだった。でも、その気持ちも、今は遠い。
もう、あのアパートメントからは、セントラルパークのかけらも見えないだろう。
わたしはもう、ずいぶんと長いこと、この国に暮らしているのだと、改めて思い至る朝。

 

FEBRUARY 4, 2004 うしろのドアをきちんとしめて、一旦、部屋を真っ暗にしなければ、次の小さな明かりは見えてこない*

やめると決めて、手紙を書いて、ホームページに書いて、一息ついた直後にかかって来た電話。

「もしもし、あの、『muse DC』は、マクレーン地区ではどこで手に入りますでしょうか?」

発行を楽しみにしてくれていたという読者からだった。

ドアは、開けるときよりも、閉めるときの方が、もっと力がいる。


*友人の母の言葉

 

FEBRUARY 3, 2004 必要最低限でいい。

近所にある電化製品の大型チェーン「BEST BUY」へ行った。カラープリンタを買い換えるためだ。数年見ないうちに、なんだかややこしいことになっている。ともかく、機能が込み入ったものばかり。わたしは、ただきれいに印刷できるものがほしいのだ。なのに色々ついている。いかにもすぐ故障しそうだ。
わたしは、日本の電化製品が優れているのは認めるが、何もかもがデジタルで、ピーピー鳴るのが嫌いだ。数年前、実家に帰ったときのこと。お行儀悪く冷蔵庫をいつまでも物色していたら、ピーピーと警告音。電気釜、電子レンジはもちろん、コーヒーメーカーだのお風呂のお湯が沸いただの、気ぜわしいのなんの。アメリカの家電は進歩がなく、使い勝手が悪く、決して優秀ではないけれど、黒や銀、白などシンプルな色が多く、さっぱりとした機能を備えたものが多く、わたしには性に合う。そもそも、パステルカラーの家電というものが、わたしは嫌いなのだ。曖昧な色。周囲と調和がとれないことこの上ない。話が少しそれたが、プリンタは、店の人に、ともかくシンプルで、丈夫なものを選んでもらって、買った。

 

FEBRUARY 2, 2004 春恋し

それでも、年の瀬は、賑やかなホリデーシーズンがあるからいい。
年が明けてからの、長々と続く冬は、本当に、つまらない。
外を出歩くのも寒すぎるし、風景も冷たすぎるし、どうしても、家に閉じこもってしまう。
だから、いかに室内で、満たされた時間を送るかが、問題なのだ。

月曜と水曜の夜に、また学校に通い始めた。今度はジョージタウン大学の、社会人向け「生涯教育」コース。
主にライティングを中心としたクラスを選んだ。英語の文章力を、ともかくつけたいのだ。
それにしても、シャトルバスを待つ間も、寒くてならない。早く、春が来て欲しい。

 

FEBRUARY 1, 2004 いただきもの

ダウンタウンにある、わたしの行きつけの歯科。夫も歯のチェックアップをしたいというので勧めた。
初めての患者に、歯科がくれる小さな贈り物。

オリジナルのロゴが入ったマグカップの中には、
歯ブラシ、デンタルフロス、やはりロゴの入ったマグネットシートにボールペン。

そして、数粒の、キッスチョコレート。
こういうところが、わたしの好きなアメリカ。

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