SCENE 31:
それぞれの常識。
NEW DELHI, APRIL 30,
2004
そしてニューデリーには2泊3日。夫の実家に滞在した。
ロメイシュもすでにバンガロールから帰ってきていて、スジャータもまた遊びに来ていた。
祖母ダディマに会い、ロメイシュの再婚者であるウマに会い、
そうして、現在はドバイに住んでいるウマの娘とその娘にも会う。
わたしの、インドの家族たち。
ここでも夫は仕事の打ち合わせ。
わたしはスジャータに連れられて、サリーを持って、町の仕立屋へ。
サリーのブラウスを作るために。
できあがったブラウスは、近々渡米する友人に託してくれるらしい。
買い物に出かけ、それから夫と合流し、お気に入りの「甘味処」でランチを食べ、
夜には近い親戚を集めて小さなパーティーをし、そうしてあっというまの2泊3日。
帰りの夜はひどい雨だった。空港までの道は渋滞している。
……と、周囲の車がなぜかすべて、チカチカと、ハザードランプを点滅させている。
雨に滲むフロントグラスが、光を反射して目がちらつく。
「どうしてみんな、ハザードランプを点けてるの?」
するとドライバーのカトちゃんが一言。
「雨で周りがよく見えないから、目立つようにだよ」
わ。気づけばこの車も点滅させている。
みんなが揃ってチカチカさせたのでは、余計に目がちらついて危険なのでは?
濃霧ならまだしも、この程度の雨で前方の車が見えなくなるということはないと思うのだが……。
第一、本当に危険を知らせる場合、ではいったい、どういう合図を送ればいいのだろう。
インドってやっぱり、おかしな国。
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