SCENE 10: 眠らない街。眠れない街。
MUMBAI (BOMBAY), APRIL 18, 2004

どんなに夜が更けても、街を行き交う人々が絶えない通り。
前を通るたび、しかし誰一人として、立ち寄る気配のない露店は、それでも煌々と光り、
やる気があるのかないのかよくわからない、店番は腰掛けたまま、呆けたような顔をしている。

両足のない女が、板きれに車輪を付けた、まるでスケートボードのように汚れた道を走る。
その瞳はギラギラと輝き、口元は微笑んでさえいる。
汚れきった細い腕を差し出す老人や、ふらふらと歩く裸足の親子連れ。

側溝にしゃがみこみ、3歳ほどの子供を丸裸にし、乳飲み子を裸にし、ホテルから、
我々の泊まるホテルから流れ出る、汚れた水で、その子供らの身体を洗う、若い母親。

目をそらすことも忘れ、彼らの姿を、見つめながら通り過ぎる。
呆然としているくせに、その一方で、
(彼らの免疫力の高さといったら、かなりのものだろうな)
などと思う自分もまた、正直な自分。


ムンバイ滞在中、3度も訪れた中国料理店。

 

ホテルそば、ケバブ(肉の串焼き)の露店。大繁盛の様子だった。


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